凛々しい制服に身を包み、安全と法規を遵守しながら列車を運行する鉄道運転士。読者のみなさんの中にも、幼き頃にこの仕事に憧れた方がいらっしゃるかもしれない。「鉄道を運転してみたい」。そんな夢が叶う場所が、実は日本にたくさんある。
大阪モノレールの「モノレール運転体験会」
今回、僕がお邪魔をしたのは大阪モノレール株式会社。大阪空港と門真市、彩都西を結ぶ日本最長のモノレール路線を運行する鉄道会社で、ここもそんな夢が叶う場所のひとつ。蛍池駅で阪急電車と接続し、伊丹空港~大阪市内のアクセスもリムジンバスに比べて、渋滞知らずで定時性も高い。しかも運賃も650円のリムジンバスに対して、440円(大阪空港~阪急線大阪梅田)と安価なのもうれしい。(運賃は2024年12月現在/おとな一人あたり)
太陽の塔をバックに走る大阪モノレール。2度目の関西開催となる万博もまもなく
そして同社では、定期的に実際のモノレール車両を運転できる「モノレール運転体験会」を実施。コロナ禍、未曾有の経営悪化となった鉄道会社では運賃収入以外の収益確保を狙い、先述のとおり実際の鉄道車両を運転体験できる鉄道会社は増加傾向にある。しかし、同社は国内で唯一、モノレール車両が運転できるという強い個性を持つ。
本社で運転体験参加者を待つ貸与用の制帽と持ち帰り可能な白手袋を用意
大阪モノレールの運転体験は2023年10月にスタート。参加費は2万円で午前·午後の部それぞれ定員8名。全長60mほどの体験コースで、モノレールを自らの手で発進させ、ブレーキを操作して停止位置目標に合わせて停車させる。小学4年生以上が対象。これまで開催した過去回の実施についても、高い応募倍率で注目度の高さを感じる。「モノレールというややマイナーな存在を知っていただく機会になれば」と本イベントを担当する大阪モノレール株式会社河内康雄さんは語る。
大阪モノレール株式会社 総務部 広報室長 河内康雄さん
「弊社もコロナ禍での運賃以外の収入源を検討したところがスタートのきっかけでした。現在、モノレールを運行する会社では弊社が唯一運転体験をしているということもあり、鉄道ファンはもとより、普段はあまり鉄道にご興味がない方や女性、関西外からのご参加も少なくありません。実施に際し、関西圏で実施されている他社の運転体験に参加し、弊社でできることを検討しました。運転体験ができる唯一のモノレールというだけでない付加価値は必須だと思い、乗務員教習用のシミュレーター体験もしていただいています」とこだわりを見せる。
乗務員養成用の運転シミュレーター。こちらの体験もプログラムの中に含まれている
そんな中、この日行われたのは通常の運転体験会ではなく、なんと体験会の“貸切”開催。企画したのは「DAE12 鉄道体験運転士会」という有志グループで、全国の運転体験会を渡り歩くメンバー12名が集結した。