引き上げられる負担額はどのくらい?
高齢化、医療の高度化によって高額療養費総額が年々増加していることから、社会保障費の急増を抑えるため、今年8月に所得区分全体で限度額の引き上げ、さらに来年には所得区分を細分化したうえで、上位2区分をさらに引き上げる予定となっている。
今年の8月の引き上げは、年収約1,160万円超の区分で15%、年収約770万円~1,160万円の区分は12.5%、年収約370万円~770万円で10%の引き上げ率とする案が出ている。この引き上げ率で負担上限額を算定すると以下になる。
住民税非課税世帯や年収約370万円までの世帯では高額療養費はそこまで引き上げされないものの、上位2つの所得区分は数万円引き上げられる。
現役世代は医療保険の加入や見直しをすべき
今年8月の上限引き上げでは、年収約770万円では12.5%、さらに年収約1,160万円で15%引き上げられる予定で、来年には所得層が細分化されるが上位2つの区分、つまり年収約1,160万円でさらなる引き上げが予想される。仮に年収1,160万円の人で、今年の8月に予定通り上限が29万円となり、来年仮にさらに15%上がったら、ひと月当たりの上限額は約33万円となる。もし、入院や手術等で高額となり、月をまたげば66万円の上限まで高額療養費の支給とならないことを想定しておかなければならない。
基本的に高額療養費制度のおかげで、保険適用対象外の医療を受けない限り、高額な保障の医療保険に加入する必要はないのだが、特に高所得の人はここで医療保険の加入や見直しするのがおすすめだ。また、この高額療養制度は差額ベッド代は保障されないため、もし1人部屋がよい等の要望があれば、入院保障は1日5,000円ではなく1万円にするなど、さらなる保障をつけることが必要となるだろう。
(参考)
高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省
厚生労働省 保険局 「医療保険制度改革について」
001345774.pdf
文/大堀貴子