日用品やDIY用品を扱うホームセンターの優待は、業績を調べていくと連続増配銘柄や累進配当銘柄もあり、地味だけれど景気に左右されにくい特徴を持つ「ディフェンシブ銘柄」とも言われます。
株主優待銘柄もあり、優待券は必ずしもホームセンターで使わなくてもよく、中にはとんかつ、から揚げを買えるものも。DIYをしなくても注目しておきたい「ホームセンター優待」はどれだけあるでしょうか。
※株価は2025年1月17日時点
【株主優待】名付けて「ホームセンター優待」はどれだけある?
ひと昔前に流行った「マイホームパパ」という言葉。これは、@DIME世代には理解してもらえるかもしれないですが、“仕事や会社よりも家族を大切にするパパ”のことで、しかし「モーレツ社員」や「企業戦士」などと同じく、すでに死語らしいのです。
それでも、育児や子育てを楽しみながら自分自身も成長する男性を表す「イクメン」という言葉が流行るなど、時代はいつも家族を大切にするパパを求めているに違いないと断言しておきたいところ。
ホームセンターで季節の花を買い、ホームセンターでペットの餌を買い、ホームセンターで使うかわからない木材や工具を買ってしまう人間味溢れるパパに憧れる人も少なくないはずです。
■DCMホールディングス(3050)(株価1,407円、最低投資額14万700円)
「DCM」や「ホダカ」を展開するDCMホールディングス。
株主優待は、買い物優待券で100株では3年未満500円、3年以上2,000円分がもらえます。権利月は2月。配当利回りは3.13%。
注目は長期3年以上の保有で配当+優待利回りが上がることで、例えば、100株で3年以上保有する場合の配当+優待利回りは4.55%に。約15万円で買え、配当金が年々増えていく連続増配銘柄でもあります。
■ジョイフル本田(3191)(株価1,826円、最低投資額18万2,600円)
ホームセンター大手で関東地方に多く店舗を構えるジョイフル本田にも、株主優待があります。本社は茨城県。超大型店舗を展開していることでも有名でしょう。
権利日は6月20日で配当利回りは3.50%。株主優待は選択制で、商品券(2,000円分)、茨城県産のお米(2kg)、茨城県特産品のカタログギフト(2,000円相当)などから選べます。
100株を保有し、株主優待の金額を2,000円と計算すると配当+優待利回りは4.60%に。配当額が減らない累進配当銘柄でもあるので、減配しないことへの安心感もあります。
また、DOE(株主資本配当率)は2.5%を目安にすると公表もしています。
■ナフコ(2790)(株価1,926円、最低投資額19万2,600円)
家具販売からはじまり、九州、中国を中心に展開するホームセンターのナフコ。
株主優待券は100株保有で、UCギフト券かナフコで使えるお買物券。権利月は3月、9月の年2回です。株主優待は、ナフコのお買物券の方が額面は多いです。ナフコで使えるお買物券を年2回選んだ場合は、3月2,000円分、9月1,000円分の合計3,000円分。一方、UCギフト券を選ぶと3月1,000円分、9月500円分の年間1,500円分です。近くに店舗がない場合もオンラインストアで株主優待券は使えます。
配当金の推移を見ると、減配をしない累進配当で、2020年には年間39円の配当金だったのが、2024年には年間58円の配当金にまで増えています。
■アークランズ(9842)(株価1,686円、最低投資額16万8,600円)
新潟県を中心に展開する「ムサシ」を運営するアークランズは2020年に「ビバホーム」を買収し、業界5位になった企業です。
株主優待は株主優待券で、100株なら550円を2枚で1,100円分(年間2,200円分)。200株なら4枚2,200円(年間4,400円)。配当利回りは2.37%。権利月は2月と8月。
100株保有の配当+株主優待の利回りは3.68%。
アークランズの株主優待券の面白いのが、とんかつ、から揚げを食べることもできる点。これはなぜかというと、傘下に外食チェーン店の「かつや」、「からやま」を運営しているから。
アークランズの株主優待券は、“「ビバホーム」など対象ホームセンターでも、傘下の外食チェーン店でも”どちらでも使えるわけです。ホームセンターで使いきれないのであれば、とんかつやから揚げを食べることもでき、逆も然り。とんかつやからあげを食べきれないのであれば、ホームセンターで使えます。独特で面白い優待内容です。
■コメリ(8218)(株価3,100円、最低投資額31万円)
新潟県を本社とするホームセンター大手。「コメリ」のほか、「コメリパワー」などのホームセンターを運営しています。
株主優待は、100株で1,000円券のギフトカード。継続保有期間が3年を超えるなら1,000円券の追加贈呈もあります。つまり、配当+株主優待の利回りは、長期特典だと2.38%になります。権利月は3月。
年間配当の推移を見ると、1988年3月は2.4円が2024年3月には52円にまで増えています。2025年3月は54円予想。累進配当銘柄です。
■コーナン商事(7516)(株価3,485円、最低投資額34万8,500円)
ホームセンター大手の「コーナン」を運営。関西に店舗が多いですが、M&Aにより首都圏へも本格的に進出しています。
株主優待は100株保有なら1,000円券1枚、200株なら2枚、300株なら3枚と、最大10枚まで商品券がもらえます。権利は2月。3年以上の長期保有株主で300株以上保有者には1,000円分の株主優待券を1枚、1,000株以上保有者には1,000円分の株主優待券を3枚追加されることも注目したいものです。
100株保有の場合、配当+株主優待の利回りを計算すると3.14%。300株保有、長期保有の場合では、配当+株主優待の利回りは3.24%です。
ディフェンシブ銘柄?連続増配・累進配当銘柄も多い
ホームセンターはコロナ禍で追い風となり、「巣ごもり消費」先としても有名でした。そのため、コロナ禍でも株価が下がりにくいディフェンシブ銘柄(業績が景気によって左右されにくい銘柄)に区別されています。
このディフェンシブ銘柄は、食品、電気・ガス、鉄道、通信が有名ですが、今回紹介した日用品を扱うホームセンターも含まれています。
株主優待を取り入れている企業もあり、ふだんから利用している企業の株を保有し、定期的に商品券がもらえるのなら、利用することで節約にもつなげられます。面白いのは、ホームセンターの金券以外がもらえる株主優待もあることで、ジョイフル本田ではお米が選べる、ナフコではUCギフトカードが選べる、アークランズでは傘下の「かつや」や「からやま」でも株主優待券が使えるといった内容でもあります。
気になることとしては、ホームセンターは広い敷地が必要なので、初期費用がかかりやすく、土地代も支払う必要があるため利益率が悪くなりがちな点。また、地域内にホームセンターの店舗が多すぎるなら、飽和状態となり、いかに他社との差別化を図り営業利益を上げるかがカギとなってきます。今後の売上が伸びていくか、店舗の魅力があるかなども投資の判断材料として考える必要があります。
それでも、連続増配銘柄や、累進配当銘柄(減配をしない銘柄)もあり、配当利回りが3%以上のものもあります。中長期保有ができないか考えてみるとよいかもしれません。
文/谷口久美子