
「留意」の意味や使い方、ビジネスでの適切な表現、注意や配慮との違いを解説。さらに「留意点」「留意事項」といった言葉の具体的な使い方や言い換え、英語表現も紹介する。
目次
「留意とは何か?」と聞かれると、「注意する」「気をつける」などと答える方も多いかもしれない。しかし、ビジネスシーンを中心に用いられる「留意」という言葉は、似た表現である「注意」や「配慮」とは微妙にニュアンスが異なる。
正しく理解することで、ビジネスメールや報告・連絡などのやり取りがよりスムーズになるだろう。本記事では、意味や使い方、関連する言葉との違いをわかりやすく解説する。
「留意」とはどういう意味?
「留意」とは、「心に留(と)めて気を配る」という意味を持つ言葉だ。日常生活でも使われるが、特にビジネスシーンで頻出し、「留意はビジネスシーンで使う敬語表現」という捉え方をする人も多い。
「留意とは注意と同じなのか?」と疑問を抱くかもしれないが、実はそのニュアンスには微妙な違いがある。正しく押さえておくと、ビジネスメールのやり取りや商談でのコミュニケーションが円滑になるだろう。
■「留意」とは?
「留意(する)」とは「何か特定の点を、頭の中にしっかりととどめておく」という意味合いを持つことだ。例えば「健康に留意する」「品質に留意する」というように、「常に意識して配慮する」姿勢を示す表現として多用される。
簡単に言うと、いわば「油断せず、気を配り続ける」というニュアンスだと捉えると良い。
ビジネスメールや会議でよく目にする「ご留意ください」や「留意事項」は、「注意事項」と同じように扱われる場合が多い。
しかし「留意事項」と「注意事項」では、実は微妙に含まれる意味合いが異なる点にも気をつけたい。また、「留意と注意の違い」に加え、「留意と配慮の違い」に関しても混同されやすいテーマだ。
■留意と「注意」はどう違うのか
「留意」と「注意」は、どちらも「気をつける」という意味合いを持つ。しかし「注意」のほうが、危険や不利益を回避するために警戒を強めるイメージがある。
一方で「留意」は、それほど切迫していないが「意識しておく必要がある」状態に使われやすい。言い換えれば、「留意する」は「心に留めて意識を払い続ける」ニュアンスが強いと言える。
実際、「留意するとはどういう意味ですか?」と尋ねられれば、「心にとどめて意識し続ける」と簡単に答えることができる。
基本的には「相手や物事に配慮して行動する」「その点を見落とさないように心がける」ニュアンスを含むため、「注意する」とはやや異なる言葉として使い分けよう。
■留意と「配慮」の違い
「配慮」は、対象となる相手や状況に対して「より良い結果をもたらすために、細かな気遣いをする」ニュアンスを持つ。一方「留意」は、「忘れずに気を配る」「意識を続ける」ことが中心だ。
「配慮」は相手のためを思って働きかける色合いが強いが、「留意」は自分自身が意識しておくという意味合いがメインだ。使う場面によっては印象が変わってくるので、正しく区別しよう。
ビジネスでの留意とは?使い方やメール文面での注意点
ビジネスシーンでは、「留意」はメールや報告書、会議などで頻繁に使われる。特に「ご留意ください」や「留意点」は、依頼や注意喚起の場面でよく見られる。
また、取引先や上司へのメールでは、言葉の選び方一つで相手への印象が変わるため、丁寧で適切な表現が求められる。ここでは、「ビジネスメールでの留意の具体的な使い方」や「目上の人に対する表現の工夫」を例文とともに解説する。
■ビジネスメールでの「留意」はどう使う?
会議やメールなどビジネスシーンで「留意」は頻繁に登場する。例えば、「納期の遅延を防ぐため、スケジュール管理にご留意ください」「価格改定に伴う影響について、十分ご留意くださいますようお願いいたします」のような文面だ。
具体例としては、「お忙しいとは存じますが、下記の点にご留意の上、ご対応いただけますと幸いです」といったフレーズがよく見られる。
「ご留意いただけますと幸いです」は、命令口調を避けつつ、相手に柔らかく「気をつけてほしい」と伝えたいときに重宝する。
■目上への「留意」は表現に注意が必要
ビジネスシーンでは、社内外を問わず「目上の人」への配慮が欠かせない。「ご留意ください」という表現自体は丁寧だが、「ください」を使いすぎると指示のように響いてしまう場合もある。
そのため、「ご留意くださいますようお願い申し上げます」「ご留意いただけますと幸甚です」など、より丁寧な言い回しを意識すると良い。
■留意事項・留意点の意味と例文
ビジネスでは、「留意事項」「留意点」もしばしば目にする。例えば会議の資料や契約書に「以下の留意事項を踏まえてください」とあるとき、それは「必ず把握しておくべき重要なポイント」を示すものだ。また、ビジネスメールで「今後はこの点に十分留意いたします」と謝罪表現として使うケースもある。
「留意事項」は「意識しておくべき複数の事項」を指し、より範囲が広い。一方、「留意点」は、何らかの作業や行動を行う際に「意識しなければならない点」を指す。
どちらも「注意すべき事柄」という意味合いを持つが、「留意事項」は総合的な要点をまとめたもの、「留意点」は個別のポイントと考えるとわかりやすい。
【例文】
・本企画を進めるにあたっての留意点として、コスト削減と納期管理を徹底する必要があります。
・以下にまとめた留意事項を十分に確認の上、業務フローを組み立ててください。
■「留意いたします」は謝罪などで使用する
「留意いたします」は、自分に対して「今後は気をつけます」を意味する表現だ。特に謝罪メールなどで「以後、留意いたします。ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした」と締めくくるのは定番だ。これは「次からは同じようなミスをしないよう気をつけます」という姿勢を示すフレーズとして有用である。
謝罪の際に「次回以降は留意いたします」と添えると、「二度とミスを繰り返さない」という意志を明確に伝えられる。表現自体もビジネスライクで堅苦しさがないため、相手への印象を悪化させにくい点もメリットだ。
健康に留意とは?日常生活で意識したいポイント
「健康に留意」とは、心身の状態を常に意識し、無理や油断をしないように配慮することを指す。例えば、人事考課や就業規則などに「健康に留意すること」と記載されている場合、「体調不良が起こらないよう、日頃から気を配る必要がある」というメッセージだと捉えよう。
■「健康に留意」の具体例
健康に留意することの具体例としては、以下が挙げられる。
・適切な睡眠時間を確保する(過労による事故やミスを防ぐため、十分な休息を取る)
・生活を整える(栄養バランスを見直し、健康的な食習慣を心掛ける)
・定期的な健康診断を受ける(早期発見・早期対処で症状の悪化を防ぐ)
■ビジネスで相手を気遣うメッセージとして使うのもおすすめ
「健康に留意する」という言い回しは、「健康管理をしっかり行う」「体に無理をさせない」といった日常的な心構えを示す。ビジネスメールで「くれぐれも健康に留意してお過ごしください」という一文を添えるのは、相手を思いやるメッセージとしても効果的だ。
留意の言い換え表現や英語表現をチェック!
「留意」は場面によって適切な言い換えが求められる場合がある。また、グローバルなビジネスシーンでは英語表現を押さえておくことも重要だ。ここでは、代表的な言い換え表現や英語での使い方を紹介する。
■留意の言い換え表現
「留意」の言い換えとして代表的なのは、「注意」「用心」「配慮」「気をつける」などが挙げられる。
・注意する:危険回避やミス防止を強調したい場合に使う
・用心する:身の安全や損失を防ぐために警戒を払う場合に使う
・配慮する:相手や状況に対して気を配り、良い結果を導く場合に使う
・気をつける:もっとも一般的でカジュアルな表現
相手に対して依頼・お願いのニュアンスを伝える際に、「ご注意ください」「ご用心ください」「ご配慮ください」などに置き換えることもできる。しかし「留意」のほうが柔らかい印象を与える場合もあるため、シーンや相手との関係性を考慮して選ぶと良い。
■留意の英語表現
「留意する」を英語で表す場合、以下のような表現が一般的だ。
・Please note:「~にご留意ください」や「~にご注意ください」に相当する表現
・Please pay attention to:「~に注意してほしい」というニュアンス
・Keep in mind:「~を心に留めておいてほしい」という柔らかいニュアンス
・Give heed to:ややフォーマルな言い回しで「~に注意を払う」
例えば「以下の点について留意してください」は「Please note the following points.」と表現できる。「健康に留意してください」を英語にすると「Take care of your health」が自然でわかりやすい。ビジネスシーンでは「Please be aware of the following points.」というフレーズもよく用いられる。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部