2024年夏、還暦を迎えた女優の高島礼子さん。人生においては様々な壁に突き当たり、その都度、大きな選択を迫られてきました。若い時に母と死別し、その後、15年にわたる父の介護、事務所の移籍など…。セカンドステージを歩き出した高島さんは、一体、どんな「選択」をして壁を乗り越えていくのでしょうか。ティータイムトーク2回目は、「選択」について。大好きなスイーツを前に、その時々の決断を振り返り、語っていただきます。
【高島礼子のMe Time, Tea Time】第2回 勇気と努力を味方につけて、即決即断
人生の中で選択を迫られた時、結構、即決が多いんです。何か問題に突き当たると、一応、悩むのは悩むんですけど、実はもうすでに頭の中では結論が出ている。どんな選択をするか決まっている気がします。
例えば、日常の中での選択も即決。スイーツを食べるときやお洋服を買うときとか、どれにしようか迷った時は、両方買います(笑)。自分の懐が痛むだけで、誰にも迷惑をかけないでしょ。そういう時は、迷わず両方買っちゃえ、って。
マンションや家など大きな買い物は、さすがに両方買えないけど(笑)、あれこれ物件探しに時間をかけるより、条件を見て即、コレって判断して買うタイプですね。
決断するときに大事にしている判断基準
基本的に、悩んだり壁に突き当たったりしたとき、すべて自分で選択し決断してきました。ただしそこには自分の大事な判断基準があるんです。それが「周りに迷惑をかけないこと」です。
例えば事務所の移籍とか、介護の治療方針とか、今までお世話になった方や家族、友人など多くの人を巻き込むことに関しては、自分だけの判断で決めちゃいけないことだと思うんです。
自分と周囲の人との意見が違った場合、周りを説得するのってすごくプレッシャーがかかりますよね。そのプレッシャーを押し退けてまで自分の意見を通せば、確実に周りに迷惑がかかってしまう。そういうときは多くの人の意見を聞いて、総合的に判断して決断します。
自分が決めたことの責任は、他人や何かのせいにはしない
女優という職業の中にも選択があります。この役柄、自分に合うのか合わないのか、とか。ドラマなど同時に二つの仕事がきて「どっちを選ぶか」とか。これらに関しては即、「両方やりたい!」ですね。どんなに忙しくても、どんな役柄でも「両方やらせてほしい」というのが、私の芸能生活の一貫したやり方です。
NHKの大河ドラマでお世話になった監督が、ドラマ『大河ファンタジー 精霊の守り人』(2016~18)を撮るらしいと聞いた時は、「どんな役でもいいから出たい!」と、マネージャーに懇願してしつこく通ってもらって手に入れたお仕事です。
ところがキャステイングしていただいた役がなんと、200歳という年齢設定のトロガイというキャラクター。メイクに5~6時間かかる老婆の役で、アクションシーンも多く、これはどこまでできるか自分との戦いでした。
でも「やる」と決断したからには勇気をもって、最後までやり通そうと意気込みました。みんなが寝ている時間に支度をスタートさせて、メイクが仕上がっていくとともに、役になりきっていく過程は、本当に忘れられない貴重な時間でした。
人生の中での選択で、一番大事なのは「後悔しないこと」だと思います。みんながこう言うから自分もこうしようという考えは、私にはないですね。自分が決めたことに対しての責任はすべて自分。たとえその選択が失敗に終わっても後悔しない。決して他人や何かのせいにはしない。どんなに忙しくても努力して最後までやり通す。それが私の信条です。人生において、忙しいにこしたことないと思うので。
Have a sweet tea time!
オーストラリア・シドニー発のモダンギリシャレストラン。銀座数寄屋橋「東急プラザ銀座」に2016年にオープン。新鮮な野菜や魚介類をたっぷり使ったヘルシーなギリシャ料理は、世界無形文化財にも登録され、世界中で人気に。
高島さんが食した「レモンパイ アポロスタイル」2090円(税込)。サクサクふわふわのレモンの風味を活かしたメレンゲが人気。テイクアウトもできる。
高島礼子(たかしま・れいこ)
1964年、神奈川県生まれ。1988年『暴れん坊将軍Ⅲ』でデビュー。以後、ドラマ、時代劇はもちろん、舞台、CMなど、多岐にわたって活躍。2001年3月、映画『長崎ぶらぶら節』で、第24回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。2025年『新・暴れん坊将軍』に、め組の「おさい」役で出演。
Instagram:@reico.official
構成/松浦裕子