フォスターペアレンツ募集中の猫ちゃんたち
今回の記事をまとめるにあたり、特別にお願いして、他の猫のフォスターペアレントさんへのレターも見せてもらった
◎おでんちゃん
元野良猫で出産経験あり、美人のお母さんです。
お引き受け前は下半身不随でしたが、シェルターにくる直前に、保護主さんより「よたよた歩けるようになった」とお知らせいただきました。排泄関係も自力で出来ており、トイレにもちゃんとしています。
基本はシャーシャーで手が出ます。
だんだん慣れてきて、人間に攻撃する頻度は減って、遠くからこちらを見つめている時間が増えました。
顔を撫でられるのは好きなので、孫の手を使って撫でています。
おやつが大好きで、孫の手に乗せるとがっついて食べます。
撫でられるのは好きなのに警戒心が強いので、孫の手でしか撫でさせないというおでんちゃん…。でも、その後のスタッフさんのレターを見ると、少しずつ心を開いていく様子がわかりました。
おでんちゃんは、下半身不随ながら、昔と比べるとあちこち動き回るようになりました。
基本的にはケージ内に閉じこもり、引きこもり生活中で、たまに散歩がてらフロアを散策しています。他のスタッフがいる日は、タワーの中腹で気持ちよさそうに伸びていることもあると聞いています。
少し複雑ではありますが、気を長く持とうとおもいます。
◎そまりちゃん
そまりは腎不全があり、毎日お薬を飲んでいます。またうんちが緩くなることもあり、状態に合わせて投薬しています。
週2回で始めていた皮下補液も週1になり、変わらず落ち着いて過ごせています。
そまちゃん、何よりかまってちゃんなのでケージから出して放牧する時間を増やしました!
まだ他の猫にはシャーシャー言いますが、手が出るケンカなどは今の所なくある程度の距離を保って過ごしています。
人には甘えたくて甘えたくてすごいアピール!撫で方が気に食わないと「わにゃわにゃ…」とお経を唱えながら人間の鼻を噛みます。食欲のムラはありますが、大きな声で鳴いてお膝に乗せてと言ってきます。
元気になってよかった!!
代表のお膝嬉しいんだけど、カメラも気になる(左)頭突きで愛情爆発させた後だいたい顔噛みます笑(右)
誰も挫折せず傷つかない保護猫の支援方法を、たくさん増やしていく
山本代表によると、フォスターペアレント制度は、今のようにクラウドファウンディングなどのような資金集めのための方法が少なかった時代に、高齢の猫や闘病中・治療中の猫の医療費などを募る目的で昔から多くの保護動物団体が行われていた方法だそう。長らくフォスターペアレントの制度をやっていて、実績のあるシェルターもあるが、少人数で多くの猫の世話をしているため厳しい状況にあることが多い。さらに昨今の物価高騰や増税などの影響で、高度医療の治療費や処方食の購入がますます厳しくなっている。
そうした状況だからこそ、保護猫活動をしている人の善意や頑張りに頼りすぎている現在の状況を変えていかなければならないと山本代表は語る。
「保護猫支援につながる買い物をする、保護猫活動をがんばっている人のSNSを応援して拡散するといった行動はほとんどお金もかからないですし、挫折して傷つくこともありません。またそういう関わり方のほうが、結果的に多くの猫を助けることにつながる場合も多いと思います。大切なのは、多くの人が気軽に支援に参加できる、普通の生活とシームレスな支援システムがたくさん存在すること。当団体では、ボランティアビギナー向けの企画を多数用意していますので、興味がある方はぜひサイトをチェックしてほしいですね」(山本代表)。
山本代表の話を聞いて、筆者が保護猫活動に関わるのを躊躇していた最大の理由は、挫折して傷つくことことへの恐れだったと気がついた。だがフォスターペアレント制度を体験し、動物も人も傷つかない支援活動がたくさんあることを実感した。まずはそうした活動から着手し、少しずつ情報収集や経験の蓄積をしていくこともひとつの方法だと今は考えている。
支援する猫を特定しないフォスターペアレントとして、現在20名が登録している
取材・文/桑原恵美子
取材協力/ NPO法人 東京キャットガーディアン