10年前、某サイト経由で保護猫を引き取ってから、保護猫活動に関心を抱くようになった。
わが家の愛猫、ドーラ。ほかの猫を異常に怖がるため、1頭飼いが里親となる条件だった
一方でさまざまな保護猫シェルターの取材を重ねるほどに、それに携わる方々のご苦労を痛感し、中途半端な気持ちで保護活動に手を出すことへの恐れも抱いていた。保護施設にいる動物を金銭面で支援する「フォスターペアレント」というシステムも知っていて興味もあったが、そんなわけで実行するのを躊躇していた。そんなヘタレな筆者が昨年、一歩を踏み出して保護猫のフォスターペアレントになったのは、一匹の猫との出会いがきっかけだった。
それは昨年1月、能登半島地震で被災した動物たちへの支援について、「NPO法人 東京キャットガーディアン」(以下「東京キャットガーディアン」)代表の山本葉子氏にインタビューした時のこと。
※その時の記事「能登半島地震で被災した動物たちを救うために私たちが今できること」
「東京キャットガーディアン」サイトのトップ画像。同団体は行政(保健所や動物愛護センターなど)から猫を引取り、適正な飼育者へ譲渡する活動と地域猫活動をおこなっていて、設立の2008年から2024年12月までの譲渡数は9858頭以上、不妊去勢手術数は12080頭以上の実績を持つ
インタビュー時の「東京キャットガーディアン」代表の山本葉子氏と、持病や障がいを持つ猫たち
取材にうかがった時、たまたま開放型のシェルターが混雑していたため、別棟にある障がいや持病を持つ猫専用のシェルターに移動してお話を聞くことになった。山本代表の話を聞きながらメモをとっていたら、私の膝に、後ろ脚が動かないのに、すごく俊敏な動きをする一匹の猫が飛び乗ってきたのだ。
わが家の愛猫はいっしょに暮して10年もたつが、撫でさせてはくれるものの、膝に乗ってくれたことは一度もない。脚が動かないことなんかちっとも気にしないで、元気いっぱいに甘えてくるまるちゃんの健気さと可愛さにメロメロになり、少しでも役に立ちたいと思い、その場でフォスターペアレントになることを即決したというわけだ。
まるちゃんには、すでに複数のフォスターペアレントがいた!
保護施設によって違いはあるが、キャットガーディアンのフォスターペアレントのシステムは以下のとおり。
・月々、1口3,000円単位で、指名した猫のフォスターペアレントになることができる。
・フォスターペアレントになると、月2回ほど報告メールがもらえる
・里親が決まって譲渡となった際や、力及ばず永眠した際も、連絡してもらえる
・複数の猫のフォスターペアレントとなることもできるし、猫1頭につき複数のフォスターペアレント登録も可能
・その猫に必要な医療費を越えて寄付が集まった場合は、余剰分を他のフォスター募集中の猫たちに平等に振り分け、活用
さっそく申し込もうと、東京キャットガーディアンのフォスターペアレント募集サイトのまるちゃんの箇所をチェック。その時、あることに気がついた。
紹介文の下に、フォスターペアレントの名前(仮名OK)が記されているのだが、まるちゃんにはすでに3人のフォスターペアレントがいた。まるちゃんのかわいさにメロメロになったのは筆者だけではなかったのだ。
一方、募集中の猫のリストを見るとフォスターペアレントが一人もいない猫も多い。やはり、そういう子の支援をしたいと思い、その中からインスピレーションを感じて決めたのが、眼球炎を発症していて右目肥大になっているアコちゃんだった。
フォスターペアレント募集当時のあこちゃんのページ※現在は削除(「甘栗」は筆者のHN)
登録の手続きは本当に簡単だし、自分の状況や気が変わった時にはすぐに引き落としをストップできるというので、気軽に始めることができた。始める前は、「ただお金を寄付するだけだと、支援している実感が薄いのでは?」と思っていたが、毎月届くスタッフからの写真付き近況報告メールが、愛情とユーモアたっぷりで、もらうたびにほっこりするし、支援している猫の状況が具体的にわかり、いっしょに世話をしているような連帯感が味わえる。また引き落とされるたびに確認メールが来るので、そのたびに「善行を積んでいる」というひそやかな満足感も…。「3000円でも、精神的なリターンが意外に大きい」というのが始めてみての実感だった。
しかし、登録した翌月、驚きの展開が待っていた。
アコちゃんとの突然の別れ
アコちゃんについて、本日ご縁がありました!
ハンデについてもよくご理解してくださる方とご縁をつなぐことができました。
このあと、ホームページに譲渡写真を掲載予定です。
もちもちと元気に過ごしていたアコちゃんですが、今後は里親さんのお家で走り回ることと思います。
短い間となりましたが、アコちゃんを応援してくださりありがとうございました。
東京キャットガーディアンには猫が常時350頭以上いて、一カ月に50~60匹の猫が里親に譲渡されている。だがやはり健康な猫から先に引き取られていき、持病のある子は選ばれにくいと聞いていた。だからフォスターペアレント申し込んだ時点で「一生、見守っていくから!長いつきあいになるけどよろしくね!」というイメージを勝手に抱いていた。それだけにあまりに短いご縁で拍子抜けしたし、ちょっと寂しくもあった。でもそれ以上に幸せになってくれて嬉しかった。「アコちゃんのハンデを承知で決断してくださった里親さんに山ほどの幸あれ」と、心から祈った。
「フォスター猫の登録変更やキャンセルなども可能ですので、ご希望ありましたらいつでもお知らせください」とメールをいただいたので、もう1頭、アコちゃんに決める時に最後まで迷った「めいちゃん」という子に登録変更した。
山本代表のXを見てから、ずっと気になっていためいちゃん(わが家の初代猫に激似だったのが決め手だった)
◎めいちゃんの紹介
No.1244 めい (推定10歳)
推定9歳でシェルターにきました。来た当初はブチ切れで話題になりました!実はとっても甘えん坊で、誰よりも甘えたいめいちゃん。
かなり重度の膵炎持ちです。シニアに突入して、心臓も悪く、毎日少しずつ、体調と相談しつつ補液やお薬を投与しています。好きなものを食べたい時に食べたいマイペースなめいみゃん。毎日スタッフと「何食べたい?」と会話してご飯を食べます。
そこからは月に1~2回、めいちゃんの近況報告が写真付きで届くのが楽しみになり、現在に至っている。こちらから返事を書くことはできないが、もらいっぱなしでいいのはかえって気が楽だ。そして読むたびに痛感するのが、持病のある猫たちのお世話の大変さ…。本当に頭が下がるし、自分が引き取ったとしてここまで徹底できるかと自問自答したり、わが家の愛猫の参考になりそうなフードや薬の情報をメモったりしている。
以下は、これまでにいただいたメールのごく一部。
◎2024年4月24日
めいちゃんは膵炎持ちで食欲にムラがあり、腎臓の数値も少し上がってきたので、投薬と皮下補液を毎日しています。食にはかなりこだわり強め。これしか食べない!!が数日続いて急に飽きる(゜o゜;;を繰り返しています。最近は糖コントロールドライと三星ドライ、カルカンパウチがブームのようです。
シェルターに来たばかりの頃はお耳見えないくらいのイカ耳!触れないブチ切れシャーおこ猫でしたが少しずつ心を開いてくれました。今では人間大好きなデレデレ甘えん坊猫です。特に人間がトイレに座っている時のお膝が好き。毎日、めいと2人きりの時間を作っています。
トイレに座るたびにめいちゃんが膝に乗ってくるため、いやおうなく二人っきりの時間になってしまうスタッフさんの姿が目に浮かんで声に出して笑ってしまった。もしかしたらトイレタイムじゃないとスタッフさんを独占できないため、めいちゃんにとっては苦肉の策なのかもしれない。そのいじらしさを思うと、さらにめいちゃんが愛しく思えてくる。
◎2024年5月10日 ※一部抜粋
この2週間は食べられるご飯にピュリナワンが仲間入りしました。
また涙目になりやすく、(特に左目)目ヤニも出るため、点眼も継続中。
このかわいい見かけによらず、低い声で「オーゥ」と鳴くのもまたツボです。
◎2025年1月9日
めいちゃん、変わらず朝はなかなか起きてこずですが、お昼過ぎに起きてきてご飯完食すると言う中学生のような毎日を送っています(・・;)
今までは三星やシーバといった美味しいのをよく食べていたのですが、どういう心境の変化か最近は消化サポートやベッツワンの腎臓ケア系のご飯がブームのよう。すごい!!!えらい!!どうした!!食べてくれたらもうなんでもいいんですけどね^ ^
今年もどうぞ、応援よろしくお願いいたします!
トイレから出ようと思ったらめっちゃかわいい顔して待っててくれた((* ´艸`))