パナソニック エナジーと米国の電気自動車(EV)メーカーであるルシッドは、生産を開始したルシッドの新型電動SUV「Lucid Gravity Grand Touring(ルシッド グラビティ グランド ツーリング)」にパナソニック エナジーの車載用円筒形リチウムイオン電池が搭載されたことを発表した。
この車両は、両社の技術の融合により、優れた航続距離、高い走行性能、そして広々とした車内空間を実現した革新的なSUV。
最新世代の高性能セル採用により、圧倒的な航続距離、走行性能、快適性を実現
ルシッド グラビティは、ルシッドの先進技術により、中型SUVのサイズでありながらフルサイズSUVの広い車内空間を誇り、最大約3.3平方メートルの荷室容量(2列シート、5人乗りの場合)を有し、3列シートで7名が乗車できる優れた積載性を備えている。
ルシッド グラビティ グランド ツーリングの最高出力は、828PSとなり、さらに時速60マイル(約96km)まで僅か3.5秒未満で加速できるスポーツカーのような走行性能を誇るほか、競合他社より最大40%小型化されたコンパクトなバッテリーパックでありながら、EPA(米国環境保護庁)推定で最大約450マイル(約724km)の航続距離を持つ、EVの新たな可能性を示す革新的なモデル。
これらの優れた性能は、パナソニック エナジーの最新世代の円筒形リチウムイオン電池2170セルによって実現されており、セルのエネルギー密度は800Wh/L超と業界最高水準を誇る。ルシッド グラビティは、この高性能な最新世代2170セルを量産に採用する初めての車両のひとつとなる。
パナソニック エナジーの小型で高エネルギー密度かつ高出力のセルは、安全性、急速充電、走行性能、バッテリー寿命などに関するルシッドの高い要求水準を満たし、ルシッド独自のパワートレインシステムを更に強化した。
また、パナソニック エナジーは、リチウムイオン電池業界のグローバルリーダーとして、電池生産における高い品質と安全性を有している。同社は、EV300万台分に相当する約150億個の車載用円筒形リチウムイオン電池を供給し、その間、同社の電池に起因するリコールは一切発生していない。この実績は、パナソニック エナジーの品質と安全への揺るぎないコミットメントを示している。
なおパナソニック エナジーとルシッドのパートナーシップは、2022年に車載用円筒形リチウムイオン電池の供給契約を締結したことに始まった。パナソニック エナジーの電池は、エア ピュアに搭載され、この実績により、このたび後続のグラビティにも電池が採用された。
2024年12月にアリゾナ州の工場で生産が開始されたルシッド グラビティ グランド ツーリング(販売価格9万4,900米ドル~)、 2025年末に発売が予定されているルシッド グラビティ ツーリング(販売価格7万9,900米ドル~)の両モデルともパナソニック エナジーの2170セルが搭載される予定となっている。この2170セルは、現在日本で生産されているが、将来的には現在建設中のパナソニック エナジーのカンザス工場で生産される計画となっている。
■ルシッド CEO兼CTOのPeter Rawlinson氏のコメント
「ルシッド グラビティは、一切妥協のない、革新的なSUVです。フルサイズSUVの広い室内空間、スポーツカーのような性能と極上の快適性、さらにEPA推定最大約450 マイルの航続距離という、これまで実現不可能だった特性を一つの形にしました。
私たちは、先進的な技術とパナソニック エナジーとの協業を通じて、他社と比較して驚くほど小型のバッテリーパックを実現しました。これは貴重な資源を守るうえで非常に重要な要素です。持続可能なモビリティをすべての人々のためにさらに推進していく中で、パナソニック エナジーとの協業が今後も続くことを楽しみにしています」
■パナソニック エナジー社長 只信一生氏のコメント
「この度は、ルシッドとの再びの協業を大変嬉しく思っています。高性能なパナソニック エナジーのセルとルシッドの技術を組み合わせることにより、当社の円筒形リチウムイオン電池の特性を最大限に引き出すことができ、その結果、これまでにない性能と航続距離を持つ電動SUVが実現しました。
これは、EV業界における新たなスタンダードの確立と、『幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現』を目指す当社の継続的な取り組みを示すものです」
関連情報:https://www.panasonic.com/jp/energy/
構成/土屋嘉久