生活の拠点となる住まいの快適さは、QOLと直結する。特にコロナ禍を契機にリモートワークが普及し、多くの人が家に滞在する時間が長くなった今、その傾向はより強まったと言える。
では、都市圏の単身者にとって「快適な住まい」とは具体的にどんな住居だろうか?
ANAファシリティーズはこのほど、都市圏に住む20~50代の単身者1,000名を対象に「都市圏の単身者が賃貸物件に求める条件に関する調査」を実施し、その結果を発表した。
都市圏に住む単身者の約80%が、ワークライフバランスや生活の質の向上において、住環境の整備が重要と回答
都市圏の賃貸物件に住む単身者に対し、ワークライフバランスと住環境の関係性について尋ねたところ、約80%が生活の質を向上させるために住環境の整備の必要性を感じていることがわかった。
約96%が都市圏に住み続ける意向、都市圏外への移住希望者はわずか約3%
新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に移行した2023年5月以降に、引越しの実施または検討の状況を尋ねたところ、約96%が都市圏に住む意向があることがわかった。対して、都市圏外への移住を検討している人はわずか約3%。都市圏への人口集中を裏付ける結果となった。
また、引越しの実施・検討のきっかけを尋ねたところ、最も多くの回答が集まったのは「通勤・出張のアクセス改善」で、次いで「住居の広さや快適さの改善」「転職・異動」という結果となった。交通の便と自室の快適さを求めて引越す人が多いことがわかった。
完全出社で勤務している人は約70%
現在のワークスタイルについて、出社とリモートワークの比率を尋ねたところ、完全出社と回答した人が約70%となった。
一方、リモートワークを実施している人の割合は約30%にとどまった。総務省「令和3年版 情報通信白書」(2021年度)によると、企業のリモートワーク実施率はピーク時に56.4%に達しており、調査結果と比較するとリモートワーク実施率は低下していることがわかる。このことから、オフィスへの出社回帰の傾向を裏付ける結果となった。
休日を家で過ごすことが多い人は約64%
対して休日は、約64%が家で過ごす傾向にあった。家でくつろぐ時間が長いことが、住環境の整備に対する意識の高さにつながっていると推察される。
家賃の目安は年収に応じて上昇する傾向が明確に
引越しを検討する際の家賃の目安を調査した結果、年収に応じて家賃が上昇する傾向が明らかになった。全体では、「5万円以上~15万円未満」が主な価格帯である一方、年収が増加するにつれて「15万円以上」の価格帯を選ぶ人が増えている。
住まいに求められる条件は収入やライフスタイルによって異なるが、特に高収入層は、ゆとりのある空間や充実した設備に加え、快適さを追求した居住空間を重要視する傾向があると考えられる。
賃貸物件の必須条件は、1位「間取りの広さ」2位「駅徒歩分の短さ」3位「バス・トイレ別」
賃貸物件に求める必須条件を尋ねたところ、1位が「間取りの広さ」、2位が「駅徒歩分の短さ」、3位が「バス・トイレ別」という結果となった。
家賃が高くても欲しい自室の専有部分に求める条件は、1位「ゆとりのある部屋の広さ」
自室の占有部分について、家賃が高くても欲しいと考える条件を尋ねたところ、1位が「ゆとりのある部屋の広さ」、2位が「家具の配置がしやすい居室の形」、3位が「ウォークインクローゼット」という結果となった。
間取りや収納に関する条件が上位であることから、居室の広さや形状が快適な住環境に大きな影響を与えていると考える。
家賃が高くても欲しい共用部分に求める条件は、1位「衛生的なゴミ置き場」2位「オートロックドア」3位が「多機能宅配BOX」
エントランス等の共用部分について、家賃が高くても欲しいと考える条件を尋ねたところ、1位が「衛生的なゴミ置き場」、2位が「オートロックドア」、3位が「多機能宅配BOX」という結果となった。
共用部分に対しては、利便性だけでなく、衛生面やセキュリティへの意識が強い傾向にあると考えられる。
約35%が現在住んでいる賃貸物件の「部屋設備のグレードアップ」を希望
現在住んでいる賃貸物件の設備や居住後のサービスについて、改善して欲しい点があるか尋ねたところ、約35%の人が「部屋設備をグレードアップして欲しい」と回答した。人々が自室の快適さや利便性の高い住環境を求めていることを反映している。
自室部分の設備には「利便性」、共用部分には「セキュリティ・衛生面」を求める傾向
賃貸物件の設備に対するニーズを深掘りするべく、家賃が高くても設備を求めている人を対象に、各設備の具体的な活用イメージを尋ねた。
自室部分の各設備については、居住空間を広く使うための収納力や、生活の質を高める効果を期待する声があった。また、共有部分の各設備については、セキュリティレベルの向上と、一人暮らしならではの不便さをカバーする機能を求める声があった。
また、先進的な住宅設備として注目されるスマートホーム設備に対するイメージについても尋ねたところ、利便性の向上に期待を寄せる声があった。
<調査概要>
調査名称:都市圏の単身者が賃貸物件に求める条件に関する調査
調査手法:インターネットリサーチ
調査対象:東京都、神奈川県、大阪府、千葉県、埼玉県、京都府、兵庫県、福岡県、愛知県、宮城県の賃貸物件に住む単身者、20~50代の男女
回答者数:スクリーニング調査 1,000名
本調査 346名
調査主体:ANAファシリティーズ株式会社
調査期間:スクリーニング調査 2024年11月5日
本調査 2024年11月27日~2024年12月10日
構成/こじへい