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「みかんていいな」世界一わかりやすい心のストレスを軽くする認知行動療法

2025.01.18

認知行動療法はうつ病の治療法として開発され、その後不安症などのほかの精神疾患の治療でも効果が確認された、世界で最も多く使われている精神療法(心理療法)である。認知行動療法の第一人者である精神科医の大野裕(おおのゆたか)先生によると、認知行動療法は慢性の痛みや耳鳴り点・めまいなど、体の慢性的な不調に伴う心理的ストレスを軽くするためにも、使われるようになっていると言う。

精神的な不調を感じていなくても、毎日を自分らしく生きて行く手法のひとつとして、自治体や企業でも積極的に使われるようになってきた認知行動療法について、一般社団法人認知行動療法研修開発センター理事長であり、ストレスマネジメントネットワーク(株)代表を務める大野先生の新刊書より紹介する。

認知行動療法って何?

認知とは理解・判断・論理などの知的機能全般のことを指し、認知行動療法における認知とは、受け取った情報を判断し対応する心の動きのことである。認知行動療法では心の力を生かすために、この認知の働きを上手に使えるようにして行く。大野先生の解説によると、認知行動療法とは、【「現実の受け取り方」や「ものの味方」=認知】に働きかけて、心のストレスを軽くしていく方法である。

そして、認知行動療法を使えば、多くの人が感じる日々のモヤモヤやクヨクヨ、イライラから抜け出して心を楽にすることができるという。

多くの人にこの認知行動療法について知ってもらうため、大野先生は「マンガ ネコでもできる! 認知行動療法 ニャンだかツラい…がニャンだかタノシい?! に変わる本」(SBクリエイティブ刊、定価1540円)を発刊した。新刊書で大野先生は認知行動療法のについて次のように述べている。

“私たちは誰もが人間関係や仕事勉強などいろいろな悩みを体験しています。そのことを考え込んでいると、自分らしく生きて行くことができなくなります。悩みにとらわれて、思うような生活が送れなくなります。いつの間にか、悩みが人生の主役になってしまっているのです。そうした時に人生を自分の手に取り戻すのに役に立つのが認知行動療法の考え方なのです”

認知行動療法では、自分にとって大切なことに目を向け、それを手に入れることができるように手助けしてくれる。そして、心の多くを占めていた悩みから距離を置き、自分がどのように生きて行きたいかをもう一度考えてみることが可能になる。

認知行動療法の3つのCを理解しよう

病気の治療に使うだけでなく、認知行動療法には自分の夢や希望に近づくヒントがたくさんあると主張する大野先生。先生によると、「認知行動療法の考えは日々の生活の中で使ってこそ意味がある」と言う。そして、これら認知行動療法のエッセンスをまとめて「3つのC」として紹介してくれた。

認知行動療法の一つ目のCはコグニションcognition(認知)
:しなやかに考えて解決に向けて工夫できる力

二つ目のCはControl(コントロール感覚)
:環境や心を自分が主体性を持ちながらコントロールしているという感覚

三つ目のCはConnection and Communication(つながりとコミュニケーション)
:他の人とわかり合い、助け合える人間関係

これらは「心を元気にする3つのC」であり、認知行動療法における大切なポイントだと、大野先生は指摘している。一つずつ解説してみよう。

■1つ目のC:コグニションcognition(認知)

認知度は脳の情報処理のプロセスのことを指す。私たちは情報を取り入れ、それを判断しながら生きている。でも、これらの判断はほとんど意識されないまま瞬間的に行われ、瞬間的に流れ去っている。なぜならいちいち意識していたら、時間がかかって、先に進めないからだ。

考えには「速い考え」と「遅い考え」の二つがある。例えば原始時代、草むらでガサッと音がした時、危険な動物が飛び出してくるのかどうか、その可能性を素早く考えて危険に対して身構える。これが「速い考え」である。

認知行動療法ではこの「速い考え」を「自動思考」と呼ぶ。自動的に頭に浮かぶ考えやイメージという意味で、気持ちをコントロールするときに、重要な手がかりになる。

草むらでガサッと音がした時、まずは身構えた後、私達は次に実際に何が起こっているかを確認する。これが「遅い考え」だ。情報を集めて、何が起きているかを確認し状況に対応する。

この速い考えと遅い考えのデータが、何かの理由で良くない可能性ばかりが頭から離れなくなることがある。そうなると、ずっとつらい気持ちが続き、ストレスがたまってしまうのである。

自動思考は極端な形をとっているのが普通なので、結論は焦りすぎていたり、白か黒かで判断していたり、相手の気持ちを深読みしていたり、将来を悲観的に考えすぎていたりする。

大野先生によると自動思考は特に極端になることがあるだけでなく、過去や将来にとらわれすぎることがあると指摘している。私たちはできるだけ、「過去や将来に目が向きすぎていないか」に注意して、立ち止まり、心の中の考えを振り返ってみたい。そうすれば、対処する手立てを工夫できるようになる。

さらに自動思考から逃れ、心を整える四つのステップを大野先生は提唱している。まずは1)気づくこと:気持ちや体の変調に気づく。2)ひと息入れること:深呼吸をしてひと息入れることで自分を取り戻せる。3)考えを整理すること:思い込みから自由になろう。4)期待する現実に近づくこと:こうなりたいという現実に近づくために、工夫しよう、と、4つのステップを提唱している。

大野先生はこの4つのステップをAIの力を使って進めることができるサイトを作成した。「こころコンディショナー」というチャットボットで、誰でも自由に利用できるのでぜひ使ってみたい。

■2つ目のC:Control(コントロール感覚)

3つのCの2つ目のコントロールとは、「自分が主体的に何かを知っている、できている」という感覚のことである。よく「笑顔でいれば心の悲しみや苦しみは薄れる」とか、身体の姿勢を正すと気持ちがシャキッとした体験をした人は多いはず。こうした外から内への働きかけによって心を元気にして行こうというのが、コントロールである。

行動を通して心を元気にすることを「行動活性化」という。自分を取り戻す行動に目を向けて、できそうなことを工夫して一つずつ積み重ねることで、心が元気になる。

考え込んでいる時には、楽しかったことを思い出したり、体を動かしたりして、いったん考えるのを止めてみるのも良い方法の一つ。大野先生は「考えすぎている時には、いくら考えてもいいアイディアは出ません。心を明るくするためには、楽しいことや、やりがいのあることなど、好きなことを増やして行くようにすると、気持ちが軽くなります。こうして気持ちをコントロールしてみては?」とアドバイスしてくれた。

■3つ目のC:Connection and Communication(つながりとコミュニケーション)

コネクションとは人と繋がること、コミュニケーションは自分や他人と上手に付き合うことである。人と人との交流は心の緊張を和らげることができる上、人と話をしていると気持ちや考えを整理することができる。心の健康のためには重要な要素のひとつである。

他者との心のつながりは、心と体の健康のためには必要であり、また困った時は誰かに話したり相談することで、問題解決につながる。他人との会話で、自分の考えや心を振り返り、思考を整理することが可能になる。大野先生はさらに、「話をする時には、できるだけやわらかい雰囲気でお互いに話し合うこと。自分が相手の人に示す感情の反応は、それと同じ感情の反応を相手から引き出すことができます。相談を受ける人は聞き上手になって、相手の話に耳を傾けるように意識して、さらにその上で自分の考えを伝えるようにすることで、コネクション&コミュニケーションが成功します」と教えてくれた。

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