DIME MAGAZINE
人気カテゴリーであるコンパクトSUVの中でも、特に人気の高い2台が登場。売れているのは走行性能か、実用性か、それとも価格か。人気の理由を探ってみた。
コンパクトSUVの大人気モデル2台を比較試乗
フォルクスワーゲン『T-Cross』は2020年に日本に上陸。コンパクトなサイズ、ポップな外観、充実した安全装備などが高い評価を受け、若年層や女性客を中心に人気を集めた。その結果、車両の供給も順調だったこともあり、2020〜2022年まで3年間連続で輸入SUVカテゴリーで登録台数1位を獲得。その『T-Cross』が2024年7月に初のマイナーチェンジを実施、質感と先進装備を拡充した。
スズキ『フロンクス』は2024年10月に登場したコンパクトSUVのニューフェイス。スズキのインド工場で生産され、すでに世界各国で販売されているグローバルカーだ。日本市場向けには専用モデルを製造。駆動方式はFFに加え、4輪駆動を新たに設定した。さらにルーフのアンテナをフィンタイプにし、全高を下げて1550mmとした。安全装備には最新の予防安全技術を搭載。ミリ波レーダーと単眼カメラによる衝突被害軽減ブレーキやナビ、シートヒーターも標準装備となっている。4WD車で273万9000円と手頃な価格を設定しており、月販目標1000台のところ約9000台の受注が入るほどヒットしている。そこで今回は、コンパクトSUVの大人気モデル2台を比較試乗した。
パワーユニットは『T-Cross』が3気筒999ccのガソリンターボ、『フロンクス』は1.5L4気筒エンジンに3.1PSのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド。『T-Cross』の1L3気筒エンジンはトルクが太く、スタートからの加速も中間加速も文句なし。0〜100km／hの加速は速くないが、アクセルの反応が鋭いので体感加速が小気味よく感じる。ハンドリングもドイツメーカーだけに高速走行でのどっしり感、ボディーのガッチリ感はレベルが高い。中高速のカーブで前輪駆動であることを思い出すぐらいだ。
一方『フロンクス』の1.5Lマイルドハイブリッドはスポーティーとはいえないが実用性は高い。FFより車重が60kg重い4WDは、Mモードでパドルシフトを使えば爽快な走りも可能。走り出す前に車両の周囲360度を俯瞰で表示できる全方位モニターなど安全装備が満載で、この価格ならヒットするのは確実。2台ともお買い得感のあるコンパクトSUVであることは間違いない。
遊びゴコロとクラフトマンシップが詰まった人気者
フォルクスワーゲン『T-Cross』
Specification
■全長×全幅×全高：4140×1760×1575mm
■ホイールベース：2550mm
■車両重量：1260kg
■排気量：999cc
■エンジン形式：直列3気筒DOHCガソリンターボ
■最高出力：116PS/5500rpm
■最大トルク：200Nm/2000～3500rpm
■変速機：7速AT
■燃費：17.0km/L（WLTCモード）
■車両本体価格：359万9000円
※TSI Style
マイナーチェンジを施した新型のフロント部はヘッドライトがカメラで前方を検知し、LEDを最適制御するLEDマトリックスを装着。縦長のデイタイムライト周りのデザインも変更した。
ホイールベースの長さは変わらないが、全長は15mmだけ長くなり、全高は5mmだけ低くなった。全幅は『フロンクス』のほうが5mmだけ広いが、車重は『フロンクス』より130kgも軽い。
リアもライトのデザインが新しくなった。形状はXの3Dデザインで、ウインカーは光が流れるように点滅する。リアゲートの開口部は路面から約690mmと低く大きい。バンパーガードは樹脂製。
デザインも装備も走りも高次元で追求
スズキ『フロンクス』
Specification
■全長×全幅×全高：3995×1765×1550mm
■ホイールベース：2520mm
■車両重量：1130kg
■排気量：1460cc
■エンジン形式：直列4気筒ガソリン＋直流同期モーター
■最高出力：99PS/4400rpm＋60PS/100rpm
■最大トルク：134Nm/4400rpm＋60Nm/100rpm
■変速機：6速AT
■燃費：17.8km/L（WLTCモード）
■車両本体価格：273万9000円
※フルタイム4WD
ボンネットに近い3灯式ライトはLEDのデイタイムランニングランプを採用。ヘッドライトも3灯式だがロービームが下の2灯、ハイビームは上の1灯。ヘッドライトの位置は低め。
デザイン的に『T-Cross』より長く見えるが、全長は145mm、ホイールベースは30mm短く、全高も25mm低いプロポーション。ルーフが黒いツートーンカラーは8万8000円のメーカーオプション。
クーペスタイルなのでリアウインドウは狭い。リアゲートの開口部は路面から約800mmと高め。ルーフの後端に小さなシャークフィンアンテナが備わっている。
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