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侍ジャパンの優勝を共に勝ち取った指導者が語る、大谷翔平から学んだこと

2025.02.15

大谷選手は彼の周囲で接する人たちにも大きな影響を与えてきた。北海道日本ハムファイターズや侍ジャパンで一緒に戦った城石憲之さんもそのうちのひとり。大谷選手の本当のすごさとは何か。指導者としてどう感化されたか。大谷選手と出会ったことで得られた経験について聞いた。

北海道日本ハムファイターズや侍ジャパンの優勝をともに勝ち取った指導者が語る

「ビハインドで迎えた9回裏。
追い込まれても悲壮感はなく勝利への欲を周囲に感じさせました」

大谷選手

 城石さんは、2016年に北海道日本ハムファイターズの一軍打撃コーチに就任。大谷選手が海を渡った17年まで、ともに戦った。

「僕が出会った頃は、すでに二刀流が完成の域に達していたので、どう表現していいかわからないくらいすごい選手になっていました。打撃だけに関しても、僕がそれまでの野球人生の中で見てきた、どんな選手よりも上でした」

 驚異的な打球の飛距離。巧みなバットコントロール。それらを実現する圧倒的な肉体の強さ。当時を知る城石さんは、MLBでも無双する現在の大谷選手の姿を、容易に想像できたという。

「さすがにMLB史上初の50-50を達成するとは想像できませんでしたが、本塁打王のタイトルを獲得したことに驚きはありませんでした。当時から、それほどポテンシャルが高かったんです」

 城石さんが間近で接して感じた大谷選手の一番のすごさは「野球に対する姿勢」だという。

あんなに野球中心の生活を送っている選手はほかにいません。単純に能力が高いだけでなく、明確に『自分はこうなりたい』という目標を定め、そこから逆算して、必要な努力をする。きっとあの頃から、現在のようにMLBで活躍することを最終的な目標に定めていたのだと思います。翔平はそこに向かって、寄り道することなく真っすぐに進んでいました

 当時、城石さんが最も気にかけていたのは、コンディションと練習量の管理だという。

「一般的に、打撃コーチとして、選手たちに『練習では最低限これくらいは打ち込んでほしい』というスイング数があるんです。でも、翔平の場合は『二刀流の調整』なので練習時間が限られる。だから、ほかの選手の半分程度しか打撃練習ができなかったんです。それでも、調整不足になるようなことはなかった。翔平には『彼のような特別な存在の選手もいる』ということを教えてもらいました。下手にノルマを設けるのではなく、選手に合わせた練習量が功を奏す場合もある。彼に出会って指導者としての引き出しを増やせたと思います

2023年のWBC

 城石さんは2023年開催のWBCで侍ジャパンの作戦コーチに就任。世界一を目指して再び大谷選手とともに戦った。

 6年ぶりに日本でプレーした大谷選手は、阪神タイガースとの強化試合で、野球ファンのド肝を抜く。才木(浩人)投手の投じたフォークボールに対し、体勢を崩されて左ひざをグラウンドにつけながらも、すくい上げるようにスイング。打球はスタンドに消えた。

「ファイターズ時代に一度『フォークボールはどう打ったらいいですか?』と質問されたことがあるんです。プロの世界でフォークボールは狙って打つ球種じゃない。見極められたのなら、引っ掛かってスイングしないように見送るのがセオリーなんです。そんな特殊球を打とうだなんて……。翔平はプレー面だけでなく、考え方もオンリーワンなんだなと。その阪神戦のホームランを見た時、当時の記憶がよみがえりました。『あぁ、彼がやりたかったのはこういうことなんだ』と(笑)」

 指導者として大谷選手と接したことは、城石さんにとってかけがえのない経験だという。

「唯一無二の存在なので『第二の大谷』を育ててみたいなんて思いません。翔平の素晴らしい技術は、彼の圧倒的な肉体があってこそ実現するもの。同じような練習をしたからって、同じレベルの選手になれるわけではない。真似のできない領域です。ただ、ほかの選手でも真似のできる部分もあります」

 それは、大谷選手が心から野球を楽しむ姿だという。

「先ほど、彼は野球に全てをかけているようだと言いましたが、そこに悲壮感は見られないんです。むしろ野球中心の生活が嬉しそうでもある。本当に楽しそうに野球をしているんです」

 目標に向かって努力をして、結果を出す。その結果が新しい目標を生み、さらに成長していく。大谷選手はそんな自分の姿を楽しんでいるように見えたそうだ。

「残念ながら『楽しもう』と伝えると、ラクをしたり、ダラダラ練習したりするシーンを思い浮かべる選手もいます。これは選手の心に響かないと意味がないので、単純に教えても役に立たないこと。コーチとしては、伝えるのが役目だと思っています。本当に野球を楽しむとはどういうことか。翔平のように本当に野球を楽しめる選手を一人でも多く育てたい。それが彼と知り合って僕の中に生まれた指導者としての目標です

2023年のWBC2023年のWBCでは、投打の二刀流だけでなく、盛り上げ役としてもチームを引っ張った。「翔平から積極的にほかの選手へ声をかけていました。敬語を使うべき相手なのか……何度か選手の年齢を確認していましたね」

城石憲之さん
東京ヤクルトスワローズ
総合コーチ
城石憲之さん
1973年、埼玉県生まれ。2009年に東京ヤクルトスワローズで現役を引退。同チームのコーチ経験を経て、2015年にファイターズの二軍打撃コーチ。翌年、一軍同コーチに昇格。現在はスワローズの二軍総合コーチ。WBCでの出来事や、ファイターズコーチ時代の話を綴った『世界一のベンチで起きたこと』(ワニブックスPLUS新書)を2023年に上梓。

『世界一のベンチで起きたこと』

取材・文/田中周治 撮影/藤岡雅樹(城石さん)、田口有史(WBC 2023)

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