夫婦や家庭の生活を円満に送るために、お金の使い方はとても重要だ。ただし夫婦でもお金の使い方は違うため、喧嘩の原因にもなる。では、夫婦間でお金に関する喧嘩は、なぜ起こるのだろうか。
そこでエミリスは、既婚男女500人に「お金に関する夫婦喧嘩」についてアンケート調査を実施、その結果をランキング形式でまとめたので紹介しよう。
お金に関して夫婦喧嘩することがある人は59.6%!お金に関する夫婦喧嘩の原因1位は「金銭感覚の違い」
既婚男女500人に「お金に関して夫婦喧嘩することがありますか」を聞いたところ、「よくある(12.8%)」「たまにある(46.8%)」と答えた人が59.6%にのぼった。
家庭をうまく運営していくうえで、お金の問題は重要なポイントだ。そのため「価値観の違い」や「お金が足りないこと」「お金に関する約束事を破ること」は、夫婦喧嘩につながりえる。
お金に関する夫婦喧嘩の原因の圧倒的1位は「金銭感覚の違い(44.2%)」であった。お金の使い方や管理方法に関する「夫婦間の意識のズレ」が原因で喧嘩になることが多いことがわかる。
<1位 金銭感覚の違い>
・お金の使い方や貯蓄に対する考え方の違いから、ストレスや不満が生まれる(30代 女性)
・お小遣いの使い道です。私からすると夫はどうでもいいことにお金をかけているように見えるので、よく考えて使ってほしいと伝えると喧嘩になります(40代 女性)
・子どもの学費等は気にするくせに、自分はコンサートなどに度々行っているので、金銭感覚について問い正すことがある(50代 男性)
「何にお金を使いたいかの優先順位」や「貯蓄に回す割合をいくらにするか」などは人それぞれ。
夫婦になって共有財産として管理するようになると、自分の収入を自分ひとりで使う生活ではなくなるので、配偶者とお金の使い方や予算配分をすり合わせていく必要がある。
しかし金銭感覚のズレが大きく、意識の共有が難しい夫婦もいるようだ。「相手の行動や考えを理解できない」「自分の感覚をわかってもらえない」というストレスから、喧嘩になってしまう人が多いとわかった。
<2位 生活が苦しい>
・夫の勤めている会社の経営悪化により給料が給料日になっても入らない。月給なのに金額が理由もなしに減っている(30代 女性)
・夫の給与だけでやりくりしているが、足りないときにもめてしまう(40代 女性)
・主に給与額と子どもの教育費です。私の給与が教育費をカバーしきれていないので、どうするかという言い争いです。「妻も働くこと」を提案していますが、なかなかうまくいきません(50代 男性)
経済的な苦労から喧嘩になってしまう家庭も多いとわかった。「生活費が足りないのに渡してもらえない」という意見も複数あったことから、生活費を夫あるいは妻からもらっているご家庭で起こりやすい喧嘩だと言える。
「生活費が足りないのに、人に奢る夫が信じられない」など、生活の苦しさと金銭感覚の違いが重なっているケースも。
また「収入に波があるのに、毎月同じように使われると困る」という意見もあり、自営業や業務委託で収入に波があり、支出とのバランスが難しくなって喧嘩することもあるようだ。
「お金がないとイライラする」というコメントもあり、心配が多くてちょっとしたことでも感情的になって喧嘩に発展するケースもみられた。
<3位 お小遣いの額>
・私の小遣いより、子どものお菓子や遊び代のほうが多い。小遣いを増やしてもらおうと提案はするが、最終的には喧嘩になる(30代 男性)
・給料が増えたのに、お小遣いを勝手に減らされた(50代 男性)
・お小遣い額を他人と比較され、少なすぎると文句を言われる(60代以上 女性)
お小遣い制の場合は、「自由に使えるお金を増やしたい」「節約を考えるとお小遣いの額は上げられない」というせめぎ合いが起こる。
とくに額を減らされたり、周りと比べて少なかったりなど、お小遣いをもらう側が理不尽さや不公平を感じていると、喧嘩になりやすいとわかった。
また「お小遣いを渡すほう」からも、「お小遣いを渡しているのに自分でやりくりせず、足りなかったら家計から出そうとする姿勢にイラっとする」などの声が寄せられている。
<4位 家計の負担割合>
・お互いの生活費を出す割合。育児休暇中で給料は出ないのに、「家賃+生活費を半分出せ」と言われたので、「すぐには出せないし、家事育児はほぼやっているのに折半はおかしい」と返したら喧嘩になった(30代 女性)
・家計の負担割合でたまに喧嘩になります。食費以外は私が負担して、妻は食費を負担していますが、物価高に妻の収入が追いつかず、結局私も負担しています(40代 男性)
・学費や生活費の一部を誰が出すかで喧嘩するときがあります。自分の給料はほとんど生活費に消えていくのに、さらに出せと言われると不満で、喧嘩になります(50代 男性)
共働きの家庭では、生活費をどちらがどれだけ負担するかという問題がある。「頑張って稼いでいるのに、自分の収入がほとんど生活費に消える」「収入が少ないのに負担が大きい」という不満がある人も多い。
また「光熱費は夫」「食費は妻」などと費目別に分けると、物価高や電気代高騰などで予想外の出費になり、不満をもつこともあるようだ。
<5位 勝手に高価な買い物>
・相談もなく高額な買い物をされたとき(30代 男性)
・夫が突然大きな買い物をしてくる。私は少ないパート収入も生活費にして月に数千円のお小遣いありません。夫はいい物を好きなときに買えるので、自慢されると腹が立って喧嘩になってしまいます(30代 女性)
・夫が好きな物を買ってきては、家計から返金を要求すること(40代 女性)
家計管理しているほうは家計や貯蓄に対する意識が高く、節約に励んだり、欲しい物を我慢したりする。
上記のような場合に配偶者が相談なく高価な買い物をしてしまうと、「なんで?」と喧嘩になってしまうことも。家計に大きく影響するような買い物なら、なおさらだろう。
「クレジットカードで買って、請求が来るまで黙っている」など、隠そうとする態度にイラっとしてしまう人もいるようだ。
お金に関する夫婦喧嘩の話し合いは「当日中にする」
「お金に関する夫婦喧嘩をした際に、どのようなタイミングで話し合いをするか」という問いには、「当日中(67.0%)」という人がもっとも多く67.0%にのぼった。ほとんどの人が早いうちに話し合いの場を設けているとわかる。
早めに話し合う理由としては、「早く言いたい性格だから」「すぐ話し合うほうが、認識が正確だから」「溜めると爆発するから」などが挙がった。
喧嘩の原因が発覚した時点で連絡をとって話し合う人もいれば、寝る前に夫婦で話し合う人もいた。「子どもが寝たあと」「車の中で二人きりのときに」といった回答もあり、お金に関する言い争いをお子さんや他人に聞かれたくないという意識も伺える。
一方数日経ってから話し合う人からは、「冷静に話し合えるから」などの理由が挙げられた。ただし話し合った日に解決できるとは限らない。そのため「当日に一回話し合い、さらに数日後に改善案を持ち寄る」というケースも。
お金に関する夫婦喧嘩の解決法は「どちらかが妥協する」
「お金に関する夫婦喧嘩の解決法」を聞いたところ、1位は「どちらかが妥協する(39.6%)」で、4割近くとなっている。2位は「納得するまで話し合う(18.8%)」、3位「お互い妥協する(13.8%)」を挙げた人も多い。
「どちらかが妥協する」「お互い妥協する」など、喧嘩は終わるものの根本的な解決には至らない人も多いようだ。はっきりと「解決しない」と答えた人も6.6%いた。
<1位 どちらかが妥協する>
・どちらかが妥協する。今回私が我慢したら、次回は夫が譲るなど、お互い生活の中でストレスが溜まらないようにしています(30代 女性)
・妻が強いので、私の意見は却下されることが多いです。そのため本質的な解決になっていないですね(40代 男性)
・私が妥協します。結局お金を出しているのは夫なので(50代 女性)
妥協する理由としては、「長く喧嘩したくないから」「相手がしつこいから」「相手が話を聞こうとしないから」などが挙がっていた。
夫婦間の力関係で上位に立つほうに従っている家庭も。パワーバランスは「稼いでいる夫が強い」「家計を管理している妻が強い」「夫がおっとりしているので妻が強い」など、性格や収入差によってさまざま。
なお納得していないのに折れている人も複数いた。納得していないのに「喧嘩したくないから」という理由で妥協している場合、根本的な問題の解決には至っていないと考えられる。
<2位 納得するまで話し合う>
・問題が起きた理由を双方納得するまで追求し、一緒に解決策を考えることで解決を目指す(30代 女性)
・お互いが納得するまで話す(40代 男性)
・冷静に考えて話し合って解決します。使える金額は決まっていますので、範囲内でお互いが納得するよう、優先順位をつけて解決します(60代以上 男性)
納得できる話し合いにするために、資料や数字を用意している人もいた。お金を使いたいことがあっても、「そもそも貯金や余裕がない」と収支や口座残高を見ながら説明されれば、納得せざるを得ないこともあるだろう。
反対にお金を使いたい理由に納得してもらいたくて、必要性や緊急性をプレゼンする人もいた。「相手が納得してくれるか」が、お互いに気持ちよくお金を使うポイントだと言えそうだ。
<3位 お互い妥協する>
・すぐにお金が増えることはないので お互いの妥協点を見つけつつ、収支によって都度見直しをする(20代 女性)
・どちらかの意見が通ったときは、意見が採用されたほうが何かを我慢する(30代 女性)
・お互いの主張を聞いたうえで折り合いがつかない場合は、双方が歩み寄った地点で折り合いをつける(40代 男性)
どちらかが一方的に妥協するのではなく、意見をすり合わせてお互いに妥協するケースもある。
不満は残るかもしれないが、お互いに妥協しているため不公平感が少ない解決方法だといえるだろう。具体的な例としては「ライブには行っていいが、年◯回と決める」などがあった。
<4位 ルールをつくる>
・二人でルールを決めて、今後同じことが起きないようにする(30代 男性)
・次は事前に話すことを約束してもらう(40代 女性)
・今後どうするかを決めたら、大概おさまる(40代 男性)
同じことを繰り返さないように、ルールをつくって喧嘩を終わらせる夫婦も多くなっている。具体的なルールとしては「使用の限度額を決める」「高額な物を買うときは、事前に相談する」など。問題発生を根本的に防ごうという意思が感じられる解決方法だ。
<5位 言いたいことを言い合う>
・お互い言いたいことを言い合って気付くと話し合いが終わっているので、きちんとした解決はしていないことがほとんどです(30代 女性)
・お互いに言い合うことで、ストレスを解消して解決すると思います(50代 男性)
・言いたいことを言えば終わり。「こんな物にお金をかけるのか」と思う物を買ったとしても、価値観は変えようがない(60代以上 女性)
言いたいことを言って、すっきりして終わらせる人もいる。ただ「思っていることを言い合うが、相手の金銭感覚はあまり直らない」というコメントもあったように、言いたいことを言っても原因の解消には至らないケースも多いことがわかる。
調査概要
調査対象:既婚男女
調査期間:2024年10月8日~17日
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットによる任意回答
有効回答数:500人(女性369人/男性131人)
回答者の年代:10代 0.4%/20代 14.6%/30代 39.8%/40代 26.0%/50代 15.6%/60代以上 3.6%
構成/Ara