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子どもの「文理選択」に親はどれくらい影響を与えているのか?

2025.01.12

高校や大学で考えることになる、文系と理系どちらを選ぶかという問題。進路や将来の仕事にかかわる重要な選択なだけに周囲の人の意見を参考にする学生も多いだろうが、では文理選択に、親や教員はどれほどの影響を与えているのだろうか?

公益財団法人山田進太郎D&I財団はこのほど、スタディプラスが運営するStudyplusトレンド研究所と連携して、2024年4月に高校生・大学生8,831人を対象に「文理選択に影響を与える要因:高校生・大学生の進路実態調査」を実施し、その結果を発表した。

文理選択や将来の職業に関する項目

文理選択前の中学3年生の時点では、全体の約5割が理系を志望していた。しかし、男女で差があり、男子の理系志望は58.7%に対し、女子は45.2%で、13.5ptの差が見られた。

文理選択前の回答者を除くと、中3時点で文系・どちらかといえば文系だった回答者で最終的に理系進学した女子は15.4%、男子は14.7%となった。一方、中3時点で理系・どちらかといえば理系だった回答者で最終的に文系進学した女子は15.7%、男子は15.0%となった。概ね、15%前後が理転あるいは文転する結果となった。

都市と地方では職業志向に違いが見られた。都市部では「技術職・専門職」がより高い支持を集めており、女子において都市部は12.1%と、地方(9.2%)よりも2.9pt高い結果になった。最も支持が高いのは都市部の男子で、30.3%となった。地方では「医療・看護・保健」分野が人気で、特に女子において31.2%と、都市部女子(26.6%)よりも4.6pt高く支持されている。

進路選択における周囲からの影響

周囲から受けるプラスの影響について、女子の場合は29.5%が母親、ついで22.4%が教員、その次に10.9%が父親となるのに対して、男子は18.7%が母親、ついで18.1%が父親、次に17.2%が教員となった。女子は母親と教員から影響を受けており、特に母親からの影響は男子と比較すると1.6倍。一方、男子は母親と父親から影響を受けるという結果となった。

周囲から受けるプラスの影響について、文系女子の場合は30.3%が母親、ついで24.7%が教員となり、父親から受ける影響は7.8%で、友人から受ける影響(9.0%)よりも低くなった。

一方、理系女子の場合は28.7%が母親、ついで20.5%が教員となり、父親から受ける影響は13.7%となった。理系女子は文系女子よりも父親からプラスの影響を受けた人が約2倍弱高い結果となった。また、理系女子は文系女子よりも教員からプラスの影響を受けた人は4.2pt低くなった。

マイナスの影響については、女子の場合は23.9%が母親、ついで20.2%が父親、その次に19.0%が教員となるのに対して、男子は19.2%が教員、以下、友人が17.1%、有名人やインフルエンサーが16.2%と続き、母親は15.8%、その次に父親が14.0%となった。女子は母親および父親からマイナスの影響を受け、男子は教員や友人、有名人、両親と多様な要因からマイナスの影響を受けたことがわかった。

理系体験が与える影響

全体では約4割の人が理系体験があると回答しており、理系選択者のほうが63.9%と、文系選択者の57.1%と比較すると、6.8pt高い結果となった。

男女間、地域間の差異はあまりない結果となった。

「最も印象に残った理系体験はどのような体験でしたか?」という質問に対する回答として、学校外の体験に絞って結果を確認したところ、都市部では「プログラミングやロボット製作のワークショップ」で男子が17.4%と最も高く、都市部女子は10.9%、地方女子は9.5%となった。

文系・理系のバイアスの影響

男子は女子よりも「自分が理系に向いている」と強く感じる割合が高く、男子の50.1%が「理系に向いている」と考えるのに対し、女子は31.2%となり、18.9ptの差が出た。女子は「理系に向いていない」と感じる割合が約5割も占めており、男性よりも理系に関する自信が低い傾向が見られた。

男子は女子よりも「理系科目で良い成績を取れる」と強く感じる割合が高く、男子の60.5%が「良い成績を取れる」と考えているのに対し、女子は41.7%であり、理系科目に対する自信は男子のほうが18.8ptも高くなった。理系適性および理系科目での成績に対する自信については、男女間で明確な差が出た。

一方、最終的には女子の51.2%が理系を選択しており、自己認識と実際の進路選択にギャップがあることもわかった。

親が理系に進むことを期待していると回答したのは男子が39.5%と女子よりも8.8pt高くなったが、女子の30.7%も親からの理系進学に対する期待があると回答した。

親が文系に進むことを期待していると回答した割合は、男女ともにほぼ同じで、女子16.8%、男子16.3%となった。全体として理系進学への期待より低い結果となった。

有識者コメント

■かえつ有明中高等学校 理科主任 深谷新先生

今回の調査結果は、中高生に理科を教える立場として日々感じていることを裏付ける内容でした。探究学習では、生徒が自ら問いを立て、方法を考え、結果を整理して考察する過程で、特に女子生徒が内容を深めたり夢中になる姿をよく見かけます。調査では、中学3年生時点で女子生徒の約45%が理系志望であり、その7割が実際に理系進学していることがわかりました。

興味深いのは、文理選択に影響を与えた存在として、母親や父親、教員などの「身近な大人」を挙げた割合が女子では7割に達している点です。また、最も印象に残った理系体験として、プログラミングやロボット製作よりも職場体験や科学系イベントなど「人との対話」が生まれる場が挙げられる傾向が強いことも特徴的です。

これを踏まえると、中学1~3年生の段階で、理系分野で活躍する大学生や社会人と直接触れ合う「対話会」を学校で実施することが有効と考えられます。さらに、1回きりで終わるのではなく、継続的に授業に来てもらって探究学習の発表や活動中のアドバイスなどに関わってもらうようなしくみができると、「身近な」存在となり、理系進学にプラスの影響を与えられる可能性があります。

■学校法人創志学園 クラーク記念国際高等学校 教務開発部 部長 兼 京都・彦根キャンパス長 阿部賢太先生

「男子は理系、女子は文系」という固定概念があることから、今回の調査結果はある意味で納得のいくものでした。しかし、なぜそのような概念があるのかという点から、いくつか興味深い結果がありました。中学3年生時点で理系志望は男子の方が13.5pt高いということ。そして、「理系に向いていると感じる」「成績に自信がある」という質問に対し、それぞれ男女で20pt近い差があるのに関わらず、最終的には女子の51.2%が理系を選択しているということ。

この2点から最終的な進路選択をゴールと捉えた時、男女差は想像よりも少なく、その要因として、学校における文理選択時のイメージと男女における自己認識の点が大きいのではないかと感じます。

学校現場においては、まだまだ集団教育の要素が強く、中・高校生という集団形成が未成熟の状態では、他人に影響されやすい傾向にあることから、自己認識とは別に集団に動かされる傾向もあると感じます。今後、より一層、個別最適な学びが浸透していった時、本調査における文理選択の分類については、多少変化が生まれてくるようにも感じます。

<調査概要>
調査対象 : 全国の「Studyplus」ユーザー(高校生、大学1年生、大学2年生)
回答者  : 8,831名
調査時期 : 2024年4月19日~4月22日
調査方法 : 学習管理アプリ「Studyplus」上でアンケート回答を依頼し、オンラインで回答を回収。
調査内容 : 文理選択で選択した進路、文理選択に影響を与えた人物、経験したことがある理系体験、理系科目や成績に関する自己認識など

出典元:公益財団法人山田進太郎D&I財団

構成/こじへい

スタンフォードでAIを学ぶ医師が開発!1か月で図形問題が得意になる小学生向け算数ドリルが登場

 いよいよ受験シーズンがやってくる。年が明けてまもなく始まるのが中学受験だ。ところで、小学校の勉強科目で、好き嫌いや得意・不得意が一番はっきりしているのが算数。特に図形問題については、苦手としている子どもが非常に多い。中でも立体図形問題は苦手意識をもっている小学生が多いといわれている。ところが、平面図形を正確にイメージする力が身につき、図形の性質を正確に理解する作図力が上達するようになるという小学生向けの図形計算ドリル「AI脳が身につく最強の図形ドリル」(小学館)が登場。さらに、平行・対称・回転の3つの平面感覚を養うことができるほか、立体図形を俯瞰・展開する力を高めることができるという。この画期的な小学生向けの算数ドリルを開発したのは、現在、スタンフォード大学大学院のAI専攻コースでAIを学び続けている岩波邦明医師だ。岩波氏によると、このドリルをマスターすることで「AI脳」が身につくという。早速、岩波氏に話を聞いてみた。

岩波邦明さん
医師。AI研究者。現在、スタンフォード大学大学院コースでAIを専攻。1987年生まれ。東京大学医学部卒。MENSA会員。在学中に暗算法「岩波メソッド ゴースト暗算」を開発。著書は66万部を超えるベストセラーに。AI資格「Stanford AI Graduate & Professional Certificate」を取得。

 突然ですが、みなさんは算数の図形問題が得意でしょうか?
「小学生時代は苦手だった」「図形問題のせいで算数が嫌いになった」 という方も少なくないはずです。 みなさんが小学生だった頃と同じように、 図形問題を苦手とする子どもたちは今でもたくさんいます。そして、当時と同じように、図形問題は中学入試を目指す子どもたちが乗り越えるべき算数の最重要分野であるといわれています。大人たちがどれだけ理路整然と理論を並べ立てたところで納得できなければ、子どもたちは頭を縦に振りません。また、図形問題をたくさん解くことは、
解き方の引き出しを増やす(ひらめきを得る)ために必要ですが、図形問題が得意になる前に“苦手意識”が芽生えてしまっては本末転倒です。ではどうして図形問題につまずいてしまうのでしょうか。それは図形センスの習得を疎かにしているからだと私は考えます。

 本書は、中学入試の算数の図形問題を解くために必要となる(平面図形のイメージ力、立体図形の把握力、 作図力など)のトレーニングを目的にしています。算数の知識のいらないパズル問題を数多く収録しているので未就学の子どもたちでも、楽しく図形センスを磨くことができます。また、本書はもうひとつ重要な力が身につくことを目的にしています。みなさんは「生成AI」という言葉を見聞きした覚えはないでしょうか。新聞などで盛んに報道されている通り、現在、AIは進化の渦中にあります。その飛躍はすさまじく、ゆくゆくは人間社会の在り方を大きく変えるだろうと予測されています。

 AIが人間の仕事を奪うのではないかといった危惧を目にすることもありますがどのような形であれ、来るべきAI時代に向けて備えておくべき能力があります。それが「AI脳」=AIを使いこなす力です。私がスタンフォード大学でAIについて学ぶ中で、気づきを得たことが2つあります。ひとつはAIの開発・研究において、数学の習熟が不可欠であること。もうひとつがAIを使いこなす上で基本的な仕組みをイメージとして認識・理解できる力が必要であることです。それこそが「図形センス」なのです。図形センスとは、複雑な物事を頭の中でシンプルな図へと変換できる力であるとも言い換えることができます。例えば、図のようなAI の仕組みをホワイトボードに書いてわかりやすく伝えられる人は、図形イメージ力が高く、
AIを使いこなしている人といえるでしょう。本書が、子どもたちが図形問題を好きになるきっかけとなり、AI時代を賢く生き抜く一助となることを願っています。

 この図形ドリルには、図形計算が得意になる8つのテクニックが網羅されている。著者の岩波邦明医師は、2011年に独自の暗算方をまとめた小学生向けドリル「岩波メソッド ゴースト暗算」を刊行し、シリーズ累計66万部の大ヒットを記録。2023年にはこのメソッドをバージョンアップさせた「小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル」を出版。こちらもたちまち重版になっている。現在は、米スタンフォード大学大学院コースでAIを専攻し、最高評価の成績を収めたというまさに数学のプロ。その岩波氏が、今回、中学入試までの1か月で図形問題が得意になるというドリルを監修した。岩波氏が「問題集でも参考書でもない、画期的なワークブックです」というように、内容もとてもユニークなものとなっている。算数、とくに図形問題が苦手だというお子さんにプレゼントしてみてはいかがだろう。

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