新決済サービスはどう使う? お得な活用法を専門家に聞いてみた
新決済サービスは、いずれもメインのコード決済などの決済サービスと併用して持つことが多いだろう。せっかく併用するなら、お得な使い方をしたいものだ。キャッシュレス決済の専門家であるりゅーいち氏は、次の3つのポイントを挙げる。
【取材協力】
りゅーいち(斉藤 龍一) 氏
金融コンサルティング会社役員として多くの決済プロジェクトに参画。決済ツール「Apps」チーフエバンジェリスト。学校で教わらない「キャッシュレス」の知恵をSNSで発信。「X(旧Twitter)」フォロワー1.8万人、審査通過率5%「Voicy」パーソナリティ。
1.最も還元率の高いキャンペーンを選択的に利用
「主要な決済サービスと新決済サービスを併用することで、各サービスが提供するキャンペーンを利用して、より大きな還元率や特典を得ることができます。PayPayなどの主要サービスは広い範囲のお店での特典を提供しますが、新たな決済サービスは地域や店舗に特化しているケースが多いので、その中で最も還元率の高いサービスを選択的に利用することで、効果的に節約やポイント獲得が可能になります」
2.消費者還元キャンペーンを狙う
「キャッシュレス決済を利用した地域活性化施策などが増えており、税金を活用した消費者還元キャンペーンも活発化しています。その中で、主要な決済サービス以外に地域通貨などのサービスを持っていることで、より多くの恩恵が受けられることがあります。例えば、東京都が2024年12月に行った消費者還元施策(※2)では、PayPayや楽天ペイなどの主要決済サービスではありますが、複数の決済サービスを持っていることで、決済サービスごとに上限3,000円といった最大限の還元を受けることができました」
3.初回利用特典を狙う
「新決済サービス開始時は、魅力的な初回利用特典や高額なキャッシュバックを提供することが多く、通常よりも高い還元率や特典を得られる可能性があります。自分がよく利用する場所での新たな決済サービスであれば申し込む価値はあるでしょう」
新決済サービス利用時の注意点
またりゅーいち氏は新決済サービスを利用する際の注意点として、次のことを挙げる。
「新しい決済サービスを利用する際は、セキュリティリスクに十分注意を払う必要があります。国内はもちろん、海外でも利用できるクレジットカードに比べて、利用範囲が限定されている場合、不正利用の被害にあうリスクは少ないものの、大切な個人情報や資産を預けることになります。そのため不正利用やデータ流出のリスクを最小限に抑えるため、強固なセキュリティ対策がされているかどうかを意識しましょう。またフィッシング詐欺などのリスクも高まるため、むやみに新しい決済サービスに申し込むのは注意が必要です。利便性と安全性はトレードオフの関係のため、本当に必要なサービスであるかを検討して申し込むことをおすすめします」
●クレカ・銀行口座なしでも利用できるかどうかをチェック!
ところで、コード決済などのキャッシュレス決済を利用する際には、どのようにチャージができるのかの確認が必要だ。
例えばクレジットカードを持っていない人が、クレジットカードからしかチャージできない決済サービスを選んではいけない。銀行口座がない人も同様だ。そのような人が新決済サービスに登録する際には、クレジットカードと紐付けなくて良く、銀行口座を持っていなくともOKな、現金チャージに対応しているサービスを選ぶ必要がある。
例えば先に紹介した「ミャクペ!」は銀行口座、クレジットカードなどからのチャージに対応しており、現金チャージは行えないので注意が必要。また「CAINZ Pay」はCAINZセゾンカードと紐づけることが必須となっている。
最近では、クレジットカードを持ちたくない人、契約できない人、もしくはクレジットカードや銀行口座を持っていても、不正利用や個人情報を渡すのを警戒して紐づけたくない人などに向け、さまざまなチャージ方法に対応しているケースも多い。
ちなみにクレジットカードや銀行口座振替の代替となる選択肢としては、事前チャージした残高内で支払うプリペイドカード、コンビニ払いが挙げられる。
そもそもキャリア決済を利用するにしても、携帯電話の契約なくしては利用できない。現状、大手携帯キャリアの場合、クレジットカードか銀行口座なしでは契約できない。
そんなときには格安スマホを選ぶのも一案だ。例えばコンビニ支払いに対応している「誰でもスマホ」は、行政と連携して通信困窮者などを救うべく株式会社アーラリンクが提供している格安スマホ。クレジットカードはもちろん、銀行口座も持っていない人でもスマホを持てるよう、コンビニでの現金払いに対応している。キャリア決済は利用できないが、PayPayなどのスマホ決済は利用できるので、検討の余地がありそうだ。
新決済サービスは、さらに増加していく見込みがある。ぜひこの機会に、メインのコード決済との併用を検討してみてはいかがだろうか。
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取材・文/石原亜香利