アクティブ家族には、安全安心のファミリーワゴン
現実に戻り、オールテレインの運転席でポジションを調整する。9速ATのシフトは、コラム右から生えているメルセデス共通のポジション。R/N/Dをシフトし、Pはレバーの頂部を押す。ドライビングモード(DYNAMIC)はE/C/S/Iの4モード。C(コンフォート)を選んでスタートする。
直4、2.0Lのディーゼルターボはアクセル・オンでの唸り音が2500回転から大きくなる。Sモードだとアイドリングからシートに振動が伝わってきた。試乗車は生産初期モデルということを考えると、これはすぐに解決するはずだ。トルクは1700回転あたりから太くなり、アクセルレスポンスもよくなる。
一方、高回転域は、アクセル全開加速でエンジン回転計のレッドゾーン(4400回転)手前の4300回転まで上昇し、シフトアップ。0→100km/h加速は8秒台。車重2トンのディーゼル4WDとしては速い。パドル操作で4000回転を目安に引っぱると1速40、2速65、3速で95km/hに達する。高速走行では100km/hの巡航で6速2100、7速1700、8速1400回転。9速はかなり高速セッティングで、マニュアルモードで120km/h以上に達しないとシフトできなかった。日本仕様では100km/hで9速巡航を使用するセッティングにしたい。
燃費は試乗中にロングドライブができなかったこともあり、12km/L前後どまりだった。
オールテレインの魅力は、最低地上高が145mmと高いこと。これは、轍の深い山間部や郊外で安心感がある。サスペンションもAIRMATICはCモードではタイトコーナーでゆり戻しがあるほどソフト気味だが、Sモードでは乗り心地も硬めになり、重めの操舵力でスポーツ運転を楽しませてくれる。4輪駆動の頼もしさは、ウェットな山間路で、体感できる。コーナーでの動きや、高速直進性の安定感が違うのだ。
本格的なオフロード走行を楽しむというより、最低地上高145cm、という安心感と4WDの走りがオールテレインの魅力。1098万円の車両本体価格は同じエンジンを搭載する「220dステーションワゴンアバンギャルド」よりも140万円ほど高額だが、ファミリーで高速ドライブやオートキャンプが趣味というアクティブ家族には、安全安心のファミリーワゴンだ。
■関連情報
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/estate/e-class-all-terrain/overview.html
文/石川真禧照 撮影/萩原文博