いまや大谷翔平という存在は、ひとつの社会現象として大きな経済効果を生み出している。観客増やグッズ売上増、関連試合の放映権料など……その影響力はいかほどなのか。経済学者による推計結果を示そう。
教えてくれたのは……
関西大学名誉教授
宮本勝浩さん
関西大学名誉教授(経済学博士)。2003年「阪神優勝の経済効果」の分析で注目を集め、その後も膨大なデータと綿密な計算を用いた様々な経済効果を発表する経済効果試算の第一人者として知られる。
空前絶後の経済効果をもたらす大谷翔平という唯一無二の存在
上記は、宮本名誉教授が試算した主な業界への経済効果だ。これらの金額を含む「直接効果」が計540億円、そこから日本・アメリカの様々な業界への波及を加味して「産業連関分析」と呼ばれる手法で試算を行なうと、その金額は1168億1181万円にものぼるという。これは、エンゼルス時代の2.3倍に相当する。
「イチロー選手などほかのトップアスリートの活躍時でもその経済効果は限定的で、社会現象とまでは言えない段階でした。一方、いまや大谷選手の存在は、野球に興味の薄い層にも性別や世代を問わず強い訴求力があります。今後も経済効果の拡大は続く見込みです」(宮本名誉教授)
経済効果は合計約1168億1181万円!の主な内訳はこちら
大谷入団後のホーム観客数は10万人増で約13億円の消費増。ビジターゲームでも大谷出場の対ドジャース戦は多くの観客を集め約27億円の消費増に。
旅行・観光会社が主催している約1週間の観戦旅行(1人あたり約70万円)で日本から年間約1万人が訪れると仮定すると、総額約70億円となる。
大谷関連試合の放映が大多数であることを考慮すると、MLBが大谷選手の活躍で日本から得ている放映権収入分は少なく見積もっても約112億円と推定される。
CMに大谷が出演するインパクトは絶大。企業のネームバリューや信用度が高まるだけでなく、実際の商品やサービスも約20億円の売上増が仮定可能。
大谷に関わる肖像権や商品化等に関して結ばれた20社以上との各種エンドースメント契約(スポンサー契約)は9月末試算時点で推定111億円。
人気球団ドジャースへの移籍後の大谷グッズの売上はMLBトップクラスだが、プレーオフやワールドシリーズも含めれば少なくとも20億円にのぼる。
DIME最新号では、大谷翔平選手の活躍を数字で分析、野球だけでなく経済効果やスポンサー企業へのインタビュー、ファン層の分析、メディアの動向など多角的にリサーチ。2024年を賑わせ、多くのヒット商品を生んだ大谷“SHO費”現象を深掘りします!
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取材・文/清友勇輔