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子どもに対する感情をコントロールして大事な時間に対する考え方を養う方法

2025.01.13

 成功者に共通する資質を子供の頃から育てる『Five Keys』の代表・井上顕滋氏によれば、子どもと接する際、親が感情をコントロールできる状態であることが非常に大切だといいます。そこで、感情をコントロールする5つの方法を、井上顕滋氏の著書『子育てママに知ってほしい ホンモノの自己肯定感』から抜粋して紹介します。今回は、5つめの感情コントロールの方法を紹介します。

 感情コントロール(5)~時間:物事はすべてつながっている~

大きな出来事に関して感情をコントロールするには、時間という要素がいちばん重要です。「人間万事塞翁が馬」という中国の故事がもとになったことわざがあります。これは中国の北部のある村に住んでいた老人の話です。その地域の馬は品質が良いことで有名で、老人は雄馬を持っており、その馬が老人にとっては大切な財産でした。ある朝、老人が馬小屋へ行くと、その大事な馬が逃げていなくなっていました。村人は口々に「大変だね」「元気出しなよ」などと声をかけます。すると、老人はこう答えました。

「いやいや、そうとは限らん」

それから数日がたった頃、逃げた雄馬が野生の雌馬を連れて帰ってきました。老人の財産は数日で倍に増えたのでした。それを見た村人は「良かったね」「おめでとう」と声をかけます。その言葉に対して老人は再びこう答えました。

「いやいや、そうとは限らん」

雄馬が連れてきた野生の雌馬も人間の役に立つようにするには調教しなければなりません。そこで、老人の息子が雌馬の調教を始めました。すると、その最中に馬が急に暴れ出し、息子は落馬して大けがを負ってしまいます。村人たちは「災難でしたね」「お大事になさってくださいね」などと声をかけます。すると、老人はまた言います。

「いやいや、そうとは限らん」

そうこうするうちに、老人の住んでいる国で戦争が起きました。村人の中から若者が次々と徴兵されていきます。負け戦だったので、徴兵された若者たちはみんな亡くなってしまいました。しかし、老人の息子は大けがをしていて思うように動けなかったので、徴兵されずに済んだのでした。

お話はここで終わるのですが、老人の馬が逃げたことは良かったことなのか、悪かったことなのか改めて考えてみます。物語を最後まで聞くと、多くの人は良かったことだと答えます。しかし、もし老人の息子が落馬して大けがを負いましたというところでこの話が終わっていたら悪かったことだと答える人が多いはずです。馬が逃げたという出来事自体は同じなのに、話の結末次第で、その出来事のとらえ方が変わってしまうのです。私たちも村の人たちと同じように、物事を全部ぶつ切りに考える傾向があります。

これは良かったことでこれは悪かったことというように、物事を切り出して喜んだり悲しんだりします。この物語では、老人だけが、何か出来事が起きたらそれが新たな原因となって次の何かが起きるというふうに、出来事というものはそれ自体で完結するわけではなく、まだ知らない未来につながっているということを理解していて、何が起きても「いやいや、そうとは限らん」と言っていたのです。

これから、子どもたちは人生の中で何かしらネガティブな体験をするはずです。そのときに思い出してほしいのは、何が起きても「いやいや、そうとは限らん」と言っていた、あの中国の故事に出てきた老人の反応です。例えば、受験をして志望校に合格できなければ、子どもも親も落ち込みます。ずっと合格を目指して頑張ってきたのに叶わなかったら悲しいし、つらいのは当たり前です。でも、それが絶対的にマイナスな出来事だとは言い切れません。つらいときには、その出来事がプラスかマイナスかはまだ分からないのだということを思い出すようにします。自分の選択次第で未来がつくれるというのは紛れもない真実だからです。

ただ、良いことが起きたときに、老人のように「いやいや、そうとは限らん」と言っていたら人生が楽しめないので、良いことがあったときには素直に喜んでいいと思います。そうして良くないことが起きた時だけ「いやいや、そうとは限らん」という老人のリアクションを思い出すようにするのです。

これがあったからこうなった、これがあったからこういう自分になれたということを、これまでの人生を振り返りながら、どんな出来事がどうつながってきたのかを思い出して書き出してみてください。
実際に書き出してみると、ネガティブに思える出来事を、ネガティブな出来事だと決めつけないほうが良いことが分かると思います。これからそれをプラスに転換させることが可能だという感覚を大切にしていくことです。

ここまで、感情をコントロールする方法を5つ紹介してきましたが、いきなりすべてをやろうとする必要はありません。自分に合うものを選んで取り入れたり、状況に合わせて活用したりすることで、子どもとの関わり方、特に感情が変わってくるはずです。

子どもに対する感情をコントロールして大事な視点を育むという考え方

成功者に共通する資質を子供の頃から育てる『Five Keys』の代表・井上顕滋氏によれば、子どもと接する際、親が感情をコントロールできる状態であることが非常に大...

文/井上顕滋 

いのうえ・けんじ。1970年生まれ。2004年 Result Design株式会社を設立。最先端の心理学および脳科学を学び、それらを融合させることで人それぞれの持つ能力を最大限に引き出す、独自の能力開発メソッドを確立。3000社以上の企業で経営者・経営幹部への指導や研修を行なう。2011年に未来の成功者を育てるため、小学生を対象とする日本初の非認知能力専門塾Five Keysを設立。2015年には非営利型一般財団法人日本リーダー育成推進協会 (JLDA)を創設し代表理事に就任。現在は特別顧問。講座などを通じてこれまで指導した小学生の保護者は4万人を超える。近著『子育てママに知ってほしい ホンモノの自己肯定感』も好評発売中。

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