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当事者の声から生まれたコクヨの「HOWS DESIGN」が実現するウェルビーイングな職場とは?

2025.01.09

普段何気なく使用しているモノやサービスも、ある人からすると使い辛さや不便を感じていることがある。その課題や困りごとを解決することで、よりウェルビーイングにつながる新たな商品やサービスが生まれるかもしれない。

“社内外のWell-beingを向上”を実現するためにインクルーシブデザインの商品を開発

文房具やオフィス家具を製造・販売するコクヨ株式会社は、マテリアリティ(※企業や組織にとって重要とされる課題や社会課題)のひとつに “社内外のWell-beingを向上”を掲げている。その具体的なアクションのひとつとして、「インクルーシブデザインの商品開発」がある。インクルーシブデザインとは、高齢者や障がい者、性的マイノリティ、海外の方など多様な人々が利用しやすい製品やサービスを設計する手法のこと。よく耳にする「ユニバーサルデザイン」も多様な人々が使用できるデザインのことを指すが、手法やプロセス、ターゲットが異なる。

『HOWS DESIGN』やサステナビリティについて語るコクヨのメンバー

ユニバーサルデザインは、デザイナーが最初から可能な限りの想定をしてデザインするが、インクルーシブデザインは開発初期段階からユーザー(当事者)の意見を積極的に反映する。ユニバーサルデザインは最大多数の人々が利用できるようなデザインを目指すが、インクルーシブデザインは“特定のニーズを持つユーザー”を中心にデザインを考える。コクヨは、コクヨ流のインクルーシブデザインのプロセスを『HOWS DESIGN(ハウズデザイン)』と名づけ、2023年から本格的に推進してきた。24年のコクヨグループの新製品のうち、20%を『HOWS DESIGN』のプロセスを経て開発するという目標を定め、新シリーズ上市率(※商品開発の成功率)が28%に達し、目標を超えることができた。

今回は、コクヨがCSV活動(Creating Shared Value ※企業が社会ニーズや問題に取り組むことで社会的価値と経済的価値を同時に創造することを目指す経営手法)の最新動向を紹介。執行役員で監査委員会室長兼CSV本部長の梅田直孝氏と、サステナビリティ推進室の理事・井田幸男氏が、「Diversity & Inclusion & Innovation」(ダイバーシティ&インクルージョン&イノベーション、以下D&I&I)をテーマにコクヨの取り組みについて語った。

『ダイバーシティ&インクルージョン』に『イノベーション』をプラス 多様性を受け入れ新しい価値の創設へ

CSV本部長の梅田直孝氏

コクヨはもともと、1905年に創業者の黒田善太郎氏が和式帳簿の表紙を製造する「黒田表紙店」を開業したのが始まり。梅田氏は、「商品を通じて世の中の役に立つ」という黒田氏の言葉を紹介。「コクヨは『世の中が今何を必要としているか』『お客さまのニーズが何か』を愚直に調べ、製品や物、サービスに変えて仕事にしていきました。それが文房具からオフィス家具、オフィスづくり、通販などいろいろな事業につながりました。変わっていくお客さまのニーズに応える。その時のお客さまの困りごとを社会課題としてとらえて解決していく。それをずっと続けてきたのがコクヨの歴史です」と説明した。

“サステナビリティ推進”は「そもそもコクヨの精神」と語り、労働規則では『価値創造ストーリー』を打ち出している。「社員が自律し、ひとりひとりが個性を輝かせながら、みなさんと共に生きていく社会に変わっていく。会社として、そのような『自律協働社会』を未来の予想図に掲げています。それを応援する企業として、『ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする』をパーパスに、常にアップデートしております」と語った。

梅田氏は、社会のニーズが変化している中で、「多様化するニーズに応えていくことがコクヨの存在価値」だという。

「社会価値、世の中のニーズ、困りごとに貢献していくことが、コクヨの価値を世の中に出し続けていく根源であると思っています。そういった会社で在り続けたいというのが、サステナビリティの考え方の根本にあるのです」

近年では、多くの企業がサステナビリティを掲げ、SDGsのゴールも意識している。梅田氏はコクヨのマテリアリティを掲げる中で、「環境問題や自然破壊問題への貢献など、サステナビリティに関するマテリアリティを掲げると、会社名を隠して読んでみた時に、多くの会社が“同じことを言っている”ということに気づきました」と明かす。

サステナビリティへのコクヨらしい信念として5つの目標を掲げる

「そこでコクヨは、『“コクヨの信念”を出すためにどういったマテリアリティがいいのか』を考えました。『ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする』という意識で、5つの目標に絞って会社の活動につなげています」

コクヨらしい視点を取り入れたマテリアリティは、「Well-beingの向上」「社会価値創出に向けたマネジメントシステム変革」「気象危機への対応」「循環型社会への貢献」「自然共生社会への貢献」の5つ。その中でも「Well-beingの向上」の「社内外のWell-beingを向上させる」を重点課題としている。

「コクヨは会社としてオフィスやオフィスの使い方を提案する会社なので、社員が社内の働き方を実験しながら、新しい働き方を提案し、世の中に浸透させていく役割が必要です。そのためにいろいろな働き方の実験や、より働きやすい女性の活躍、残業時間の削減などを続けています」

一方で社外に向けては、「ダイバーシティ&インクルージョン&イノベーション(D&I&I)」を掲げ、「社会のバリアをなくして、活き活きと働き学ぶ人を増やす」ことを目指している。

「どういったモノ、どういったニーズを開発するかを考えた時に、『社内だけ』『日本人だけ』といった単一的なニーズを追いかけていると、なかなか新しいものが生まれない。海外からのお客様や、日本人の中にも多様な人が出てきて、なかなかみなさんのニーズを満たせないことも起こっている。会社としては、そういった多様性を認め合って、その中で新しいニーズが見えてくる。新しい商品やイノベーションにつながる。『ダイバーシティ&インクルージョン』という言葉の最後に、『イノベーション』という言葉をつけて、多様性を受け入れることが新しい価値の創設につながると信じていいます」

インクルーシブデザインを行う実践上のラボ『HOWS PARK』を設立 障がいのある社員と語り合い価値を共に作る場

サステナビリティ推進室の理事・井田幸男氏

多様性を受け入れ新しい価値を創設するコクヨの取り組みとして、障がいのあるコクヨ社員が開発に参加したインクルーシブデザインの新商品がある。井田氏は「“やらされるサステナビリティ”でなく、コクヨの全員がワクワクしながらクリエイティブに取り組む活動としてサステナブルをやろうと。経営、事業プロセスそのものを変え、従業員のエンゲージメントの高い活動になるように、3年間推進してまいりました」と振り返る。

「我々が、『ダイバーシティをインクルージョンしながらイノベーションまで起こすことで社会を良くしていこう』と考えた時に、まず何をしたか。コクヨらしい進め方をしたいと思い、まず場所を先に作りました。普通はビジョンや言語化が先なのですが、大阪に『HOWS PARK』という、インクルーシブデザインの実験ラボを作りました」

コクヨには障がいのある社員が約70人おり、その多くが大阪にある特例子会社で勤務している。そこで大阪本社に勤務している社員約200人と、障がいのある70人が「一緒に対話しながらインクルーシブデザインを開発しよう」と企画し、対話できる場所として『HOWS PARK』が完成した。井田氏は、「『HOWS PARK』でまず社内にどんな変化が起きるか試しました。試した中で多くの失敗をしながら、『僕たちの考えるビジョン・ダイバーシティの考え方はこうだね』というものを、『HOWS DESIGN』という言葉として打ち出し、我々の考え方を言語化しました」と語る。

当事者の意見を取り入れて開発されたハサミ

井田氏は『HOWS PARK』を通して、「十分対話ができていなかった」ことを実感したという。「障がいのある方の法定雇用率は維持していたけれど、ある意味セパレートされていて、『“共に価値を作る仲間”として一緒に仕事してきたか?』と。多くの企業でも課題としてあると思います。それが本当に共生社会なのか。“共に働く仲間”として、一緒に仕事をしていることになりません。僕たちは、『価値を作ることを一緒にやろう。一緒に価値を作るってなに?』というところから、インクルーシブデザインに絞っていきました」と語る。

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