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外貨間両替もアプリで完結!韓国発のアウトバウンド金融アプリ「Travel Wallet」に日本人が学ぶべきこと

2025.01.09

「テクノロジーライター」なる仕事をしていると、海外で普及しているアプリを見て羨ましく感じることがある。

日本にはこんなアプリはまだないが……いや、まだないからこそ「一刻も早く同じようなものを作ってくれ!」と思ってしまう時が多々ある。今回は韓国のキャッシュレス決済アプリ『Travel Wallet』について解説していこう。日本は今インバウンド重視になっているが、そんな今だからこそ逆にアウトバウンドを強く意識した金融アプリの開発を思慮する必要があるのではないか。

Travel Walletは、これひとつあれば世界各国のVisaブランド提携店で「両替手数料を気にしない買い物」に打ち込むことができるという。

外貨から外貨への両替も可能!

Travel Walletは、アプリを使って残高をチャージする仕組みのプリペイドカードを発行する。紐付けの銀行口座からスマホでチャージし、カードで買い物をする。だが、韓国人の使うサービスだから紐付け先は当然ながら韓国の銀行。つまりウォン建ての口座である。となると、チャージ後もそれはウォン貨ではないか?

ところが、そうではない。チャージの際、日本円を含む世界46通貨の中からユーザーが予め指定した通貨に自動両替される仕組みだ。この両替にかかる手数料は無料。日本から帰国した際、残高をウォンに戻して元の口座に戻せる機能も備わっている。再両替にも手数料は発生しないため、「外貨を多めに持っていく」ということも気軽にできるという。

面白いのは、外貨から外貨への両替もできるという点だ。

たとえば、旅行者のキムさんがTravel Walletに日本円での残高チャージをしたとしよう。このキムさんはバックパッカーで、日本列島を一通り旅行した後は成田からグアムに発つ予定だ。グアムの通貨は、当然米ドルである。

その場合、キムさんは紐付けの口座(ウォン建て)から米ドルに両替チャージする必要はない。余った日本円の残高を米ドルにすればいい。つまり、Travel Walletには「外貨間両替」の機能が備わっているのだ。

デビットカードと同様の使い勝手

さらに、Travel Walletユーザー同士の送金も可能で、これはお互いの電話番号を知っていればすぐに実施可能だ。

現在に至るまでのカードの累計発行枚数は630万枚。もちろん、このカードを持った韓国人旅行者は日本にも押し寄せている。

その上で、今年から活発になった日本の公共交通機関のタッチ決済導入も加味して考えてみよう。

先述の通り、Travel Walletの発行カードはVisaブランドが付与されている。ATMに通せば現金の引き出しもできるため、これは実質的にデビットカードだ。その使い勝手は、クレジットカードと何ら変わりない。

このカードを使って、たとえば京王線のタッチ決済改札を通ることももちろん可能だ。外国人旅行者は、今までは到着地の最寄り駅で交通系ICカードを買わなければならなかった。もちろん、みどりの窓口に行ってJR PASSをクレカ決済で購入するという手もあるが、それよりももっと細かい電車移動―—山手線や中央線といった都心の短距離路線を利用する際は、やはり交通系ICカードが欲しいところ。

しかし、一番いいのは「普段使いのクレカでそのまま改札を通過できる仕組み」である。

クレカタッチ決済対応の自動改札機は、国際的なスタンダード規格でもある。が、日本では様々な理由からクレカタッチ決済の対応が遅れていた。今年後半になり、その遅れをようやく取り戻すようになったのだ。

アウトバウンドを想定した金融アプリ

日本円は現在安くなっており、海外旅行の経済的難易度はかなり高くなっている。

実際、東南アジアを旅行してみても現地の物価高と円安が相成り、「いつの間にかこんなに散財してたのか!?」と叫びたくなる時が何度も訪れる。が、実のところ2024年の日本人出国者総数はパンデミック期の異常事態から回復の兆しを表す数字である。JTB総合研究所のデータによると、2024年1月から10月にかけての日本人出国者総数は1,064万4,901人。パンデミック直前の2019年のちょうど半分程度である。完全復活までにはまだ道は遠いものの、「アウトバウンドの立て直し」は着実に行われているのだ。

出国者総数が2019年のような年間2,000万人台に回復した時、「海外でも活用できる金融アプリの開発」が必ず問題として取り上げられるはずだ。現状、日本の金融・キャッシュレス決済アプリはどれも「日本国内での利用」を第一に想定した設計で、それを海外で使うとなると普段の利便性を大きく損ねてしまう場合も見受けられる。

そうした状況が誰の目にも明らかになった時、アプリ内で両替も送金もできる金融サービスが日本人に熱望されるようになるだろう。

【参考】
Travel Wallet
アウトバウンド 日本人海外旅行動向-JTB総合研究所

文/澤田真一

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