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YouTubeチャンネルの登録者数約70万人、4500人が相談の回答を待つ大人気僧侶・大愚和尚こと大愚元勝氏初の恋愛本『愚恋に説法』(小学館)が好評発売中!
2600年前の仏教の教えをヒントにして、現代人が抱える恋愛の悩みに対する処方箋や、愚かな感情に振り回されない心のあり方を指南しています。
@DIMEでは、同書に収録しきれなかった恋愛相談を特別に公開中。今回のお悩みはこちら。
悩み:恋人が奢ってくれないのは、私のことが大切ではないからですよね?
「奢ってくれる男性がカッコいい」「奢ってもらえると自分を大事にしてくれていると感じる」そんな本音を持つ人は多いのかもしれません。
どうして人は「お金」を使って自分に奢ってくれることに価値を感じてしまうのか。それは「相手」ではなく「お金」に信頼を置いているからだと思います。
人を好きになると、その人が一番大事にしているものを知りたいし、欲しくなりますよね。男性は、外に働きに行って、夢中になって「お金」を稼ぎます。そのために時間もエネルギーも注いでいる。
したがって、彼が一番夢中になって得る「お金」を自分につぎ込んでくれる=「愛情」である。こんなふうに、すり替えて考えてしまっているのです。
好きな人が一生懸命働いて稼ぐことに夢中になる姿を見れば見るほど、「お金」の価値が強化されてしまいます。結果として、相手が自分に対して「お金」をどれだけ使ってくれるかで愛情を図ってしまうようになる。
お金=愛情なのかという真実はさておき、そうやって勘違いを起こしていくのですね。
奢るのは「好き」だから?
男性女性に限らず「してあげたい」という気持ちがお互いにあるといいですよね。
そもそも奢る心理というのは人によって違います。もちろん「好きだから奢る」こともあるでしょう。ですが、大抵その裏にはこういった要素や気持ちが混ざっているんです。
(1)「男性が奢る」という価値観が自然に身についている
(2)メンツを守りたい、カッコつけたい
(3)奢ることで所有感的なものを味わいたい
(4)奢る代わりに何か自分に見返りを期待する
(5)純粋に「食べてもらいたい」「買ってあげたい」という気持ちがある
ね、いろんな可能性があるでしょう。ですからこれと同様に、奢ってくれない時の男性はこういう主義、思考なのかもしれません。
(1)対等で付き合いたいと考えている(割り勘主義)
(2)奢る価値を感じていない
(3)ただ、ケチ
(4)払って当然という姿を見て奢りたくなくなった
奢ってくれないだけで相手の好意を判断するのはちょっともったいないかもしれません。
確かに、太古の昔からつい近年まで、男性は獲物を取ってくる、女性が子どもを育てる、そんな役割分担がありました。でも現代は、女性も狩りに(仕事に)行く時代です。そっちのほうがよっぽど大きなマンモス(給与)を取ってくることもあると思います。
なので、現代、お金を出すのはどっちでもいいと思うのです。そういう考え方の人も増えていると思います。
人間が「大事にされている」と感じる4つの要素
人が相手に対して「愛されている」「大事にされている」と感じる4つの要素があります。
(1)言葉
(2)お金や金品
(3)時間
(4)スキンシップ
どれが重要かは、人によって違うんです。そして、大抵これがひとつではなく、複合的に絡んでくると思います。
例えば、私の妻が大事にされていると感じる要素は、「言葉」と「時間」です。私は結婚して以降、いろんな贈り物を妻にしてきましたが、最近は10年以上、毎年妻の誕生日に3枚の「お札」を送っています。
1枚目→あなたが欲しいものをなんでも買える券
2枚目→あなたが行きたいところに連れていく券
3枚目→疲れた時に私が整体を施術する券
有効期限は、次の誕生日までです。ある年、妻が「もったいないな」と考えているうちに、最終的に使わなかった年があったのです。その時、何をもらったらうれしいのかを聞くと「短くていいから直筆の手紙が欲しい。それが一番うれしい」と言ってくれました。
結婚して何十年も経った私たちですが、今でも「言葉」をもらいたい、と妻は言うのです。
人によって違うこの4つの要素を知っていれば、自分が大事にしていること、そして相手が大事にしていることを押さえることができます。つまり、すれ違いを防ぐことができるはずです。
ただそれが「お金」の場合は、すれ違いや勘違いが起きている可能性もあります。
瞑想で自分の気持ちを見つめよう
自分が「大事にされている」と感じる要素を知るために必要なテクニックが、瞑想です。瞑想とは「気づき」のことです。
【瞑想】
自分の内側に意識を向けて自分の心を詳細に観察する技法
しかし、練習をしないと「気づき」はなかなか得られません。では何をすればいいか。
自分の心、自分の言葉、自分の行いを客観的に見て、自分の理性で反省していくことです。今回であれば、こんな4ステップで解決します。
(1)自分の心の中で苦しみが生まれている
→「奢ってもらえないことで大事にされてないと感じてしまって辛い」
(2)自分の心の中の苦しみをよく観察する
→「恋人から大事にされている実感が欲しい」
(3)自分で心の中の「下手」な部分に気づく
→「お金の部分だけで恋人の気持ちを測ろうとしている」
(4)「下手」を変えていく
→「大事にされている実感が欲しい。そういえば最近ちゃんと好きだって言葉を聞いていないし、この先のことも話せていない。彼とちゃんと話してみよう」
これが「気づき」を育てていく練習になります。そして、こうやって自分の心にきちんと向き合うことで、あなたの心持ちや行動も変わってくるはずです。
あなたの「大事にされている」と感じる要素が瞑想で見つかったら、彼にちゃんと伝えてみましょう。そして、ぜひ彼が「大事にされている」と感じる要素を聞いてみてくださいね。
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■著者情報
大愚元勝
佛心宗大叢山福厳寺住職。慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。佛心僧学院学長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。 駒澤大学、曹洞宗大本山總持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。 僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。
YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」
取材・文/坂本実紀