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【勝手にブック・コンシェルジュ】昭和100年を迎える〝2025年さん〟に贈る一冊「東京自叙伝」

2025.01.13

【勝手にブック・コンシェルジュ】2025年さんに奥泉光の『東京自叙伝』(集英社文庫)を

2025年さん、地震も起こさずおとなしく年を明けてくださって、ありがとうございます。能登半島地震なんかで新年を迎えやがり、9月にはいまだ震災の傷跡が深い奥能登に豪雨をもたらしやがった2024年さんとちがって、あなたが温厚で物静かな方であることを祈ってやみません。

ところで2025年さん、あなたはご自分が昭和100年にあたることをご存じでしょうか。昭和といえば、若い世代から嫌悪と侮蔑の目で見られ、やれ「昭和の老人は差別用語を平気で使う」だの、やれ「昭和の上司はパワハラやセクハラを無自覚にしがち」だの、やれ「昭和の出世した女性は名誉男性としてふるまう」だの、やれ「昭和の笑いは古い上にポリコレ的にNG」だの、さんざんな罵倒と嘲笑を浴びっぱなしです。

そうしたご意見、ごもっとも。昭和36年生まれのわたしなぞも反省することしきりなのですが、しかし、ひとは誰しも「時代の子」なのです。21世紀生まれの皆さんだって、50年もすれば未来の若者たちから令和仕草を笑われたり、「老害」扱いされたりすることでしょう。もちろん、生きているその時々の時代に合わせ、価値観や倫理観を良い方向にアップデートしていくことは大事です。でも、自分と異なる時代に生まれ育った者を全否定するのはやめてください。昭和育ちの人間のふるまいをなるだけ公平な目で見て、批判すべき点は批判しつつも、若い世代と昭和世代の仲を取り持とうと腐心している石原壮一郎さんの『昭和人間のトリセツ』(日経プレミアシリーズ)を読んで、お互い世代間対立なんて不毛な争いに終止符を打とうではありませんか。

閑話休題。というわけで、今回は昭和100年にあたる2025年さんに本をおすすめしようと思ったのですが、なかなかぴったりくるものがなくて苦労いたしました。2025年さんは別に日本だけに訪れるわけではないので大変恐縮なのですが、奥泉光さんの長篇小説『東京自叙伝』(集英社文庫)で、東京という大都市に積み重なった長い時間を振り返っていただくというのはいかがでしょう。

東京自叙伝
奥泉 光
集英社文庫

この作品、〈どちらにしたところで東京は、と申しますか、日本はいずれ天変地異とともに滅び去るわけだから〉〈私の感覚からしたら、天皇家などはヨソ者にすぎぬ〉〈放っておいたっていずれ東京は壊滅するのだから、サリンなんか撒いたって仕様がない〉〈これで燃料プールが壊れて、原子炉が爆発でもすれば、放射性物質は東京全域にまで飛散して〉などなど、不穏当な文言だらけといっても過言ではないので、2024年さんとちがってきっと穏やかな気質であられましょう2025年さんには刺激が強すぎるやもしれませんが、しかし不肖トヨザキ、この新しい1年という未来を生きるにあたって過去を顧みる作業も必要と思うのです。

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