昨今のスーパーカー・メーカーのSUV開発の口火を切ったのは、ランボルギーニだ。「ウルス」がその存在を初めて公にしたのは、北京モーターショー。それは今から12年前の2012年のことだった。その後、公道テストを繰り返し、2017年12月にイタリアのランボルギーニ本社で発表会を開催。翌2018年から販売を開始した。
ランボルギーニは、それ以前にも1980年代から1990年にかけてクロスカントリー4WDの「LM002」を発売した実績がある。「ウルフ」はランボルギーニの親会社であるフォルクスワーゲンや同じグループのポルシェ、ベントレー アウディと共同で開発を勧めているスーパーSUV用のシャーシを採用しているが、それぞれのブランドが独自の特色を出そうとしている。ランボルギーニの場合、かつてのクロスカントリー4WDでのノウハウがここで生かされているのだ。
走りとパワーを強調した「Performante(ペルフォマンテ)」に試乗
今回試乗した「ウルス」は「Performante」(ペルフォマンテ)。走りとパワーを強調したモデルだが、ドライブモードに「RARRY」モードが追加されている。スーパーSUVの中でもダートトラックでワクワクするような走りを打ち出している。「ペルフォマンテ」は発表に先立ち、アメリカのパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムレースに出場、市販SUV部門の新記録を樹立し、ダートでの走破性の高さを証明している。
ボディもノーマル仕様の「ウルス」とは異なり、フロントバンパーのエアカーテンをはじめ空気抵抗は減少させ、カーボンファイバーの軽量ボンネットをはじめ、ボディ全体にカーボンファイバーを採用。その使用範囲はスーパーSUVの中でトップクラスと言われている。オプションのカーボンファイバールーフは同じランボルギーニの「ウラカン ペルフォマンテ」や「スーパートロフェオ」などのスーパースポーツモデルを連想させる。
新しく設計されたリアスポイラーはリアのダウンフォースをノーマル車より38%も増加させているという。全長もノーマル仕様より25mm長い。それでも全体のプロポーションはウインドウ部分1,ボディ部分2の比率を保ったサイドデザインをキープしている。この比率こそがランボルギーニの美学だ。
インテリアはブラックのアルカンターラを用いたセミバケットシート、インテリアトリムのアルミはブラックアルマイト加工が施されている。着座位置をやや高めにセットしてもAピラーやルーフの圧迫感はない。視界に関しては、さすがに左後方はCピラーなどで死角はあるが、極端に狭いという感覚はない。
後席の居住性だが、着座位置は低め。それでもドア上縁は頭がぶつかりそうなので、乗り降りはコツが要る。座ってしまえば、足元は広く、頭上のスペースも余裕がある。背もたれは多少だがリクライニングもする。ドアウインドウは高めで、乗員の肩あたりまでしかなく、ウインドウは全開しても1/4ほど残ってしまう。2/1/2で分割前倒する背もたれは、倒せば広いラゲージスペースになる。ラゲージスペースも奥行は、左右幅とも1m以上あり広いが、サブトランクはない。