お正月に食べられるおせち料理。その中身には黒豆や紅白かまぼこ、栗きんとんなど定番のものもあれば、その地域ならではの料理もあることだろう。
紀文食品はこのほど、「47都道府県 ご当地おせちマップ」を公開した。
紀文は正月やお節料理に関する「紀文正月調査」を1979年に開始。その後も様々な調査を実施し、これらデータの可視化のため2010年、伝承料理研究家である奥村彪生氏協力のもと、全国における郷土のおせち83点とその特徴を発表した。そして今回、その83点の中から現代でも再現可能な料理を、江上料理学院 副学院長の江上佳奈美氏とともに厳選・再現するとともに、それら各都道府県で代表的な「ご当地おせち」をまとめた日本地図を制作した。
ご当地おせちの一部を紹介
・氷頭なます(北海道)
氷頭と呼ばれるサケの頭の部分を大根と一緒になますに仕立てた料理。北海道ではルイベ、ちゃんちゃん焼などサケの料理が多い。
・コイのうま煮(山形県)
米沢市の名物料理。コイが貴重なたんぱく源として用いられ、祝いの席で食される。コイの臭みは酒とざらめを使って抑えるとよい。
・水ようかん(栃木県)
日光市にはようかん専門店が複数あり各家庭で好みの味があるそう。小豆は厄除けや魔除けとして食されてきた食べ物でもある。
・べっこう(富山県)
日光市にはようかん専門店が複数あり各家庭で好みの味があるそう。小豆は厄除けや魔除けとして食されてきた食べ物でもある。
・棒ダラの煮物(京都府)
関西地方の定番のおせち料理。真ダラの干したものを用い、京都府ではえびいもと一緒に炊くことも多い。
・アカガイ(サルボウ)の煮物(島根県)
アカガイより小ぶりなサルボウで作ることもあり、正月だけでなく祝い事には欠かせない。かつお節と昆布の出汁がおいしい。
・ブリの照焼き(福岡県)
成長につれて呼び名が変わっていく魚を「出世魚」と言い、西日本ではブリは年取り魚としておせち料理に欠かせない。
注釈:ここに登場する料理は複数の都道府県に出現するもの、県内の全域ではなく一部地域に出現するものと様ざま。また料理名が地域独自の名前を持つものもある。
奥村 彪生(おくむら・あやお)氏:1937年~2023年。和歌山県生まれ。日本で唯一の伝承料理研究家。飛鳥万葉時代から昭和の戦後まで、全国の雑煮を始めとして、様ざまな料理を文献に基づいて再現された。世界の民族料理にも造詣が深い。
江上 佳奈美(えがみ・かなみ)氏:1959年~。東京都生まれ。「パリ コルドンブルー料理学校」卒業、1989年より江上料理学院副学院長をつとめ、祖母江上トミ、母江上栄子から受け継いだ伝統をふまえながらも、より現代的な料理を発表している。
構成/こじへい