マンション購入時に欠かせない重要な要素である「間取り」。この間取りについて、エリアごとでどのようなニーズの違いがあるのだろうか?マンションリサーチはこのほど、東京都における中古マンションのエリア別「間取りのニーズ」を発表した。
人口統計と物件供給の関係性
■東京都23区の人口統計データ
グラフ1:東京都23区の人口統計データ
【出典:東京都総務局統計部とマンションリサーチ株式会社のデータを統合分析】
東京都23区は、エリアごとに人口構成や世帯数が大きく異なる。例えば、新宿区や渋谷区は単身世帯が多い一方で、江戸川区や練馬区はファミリー世帯が多い傾向がある。このような違いは、住環境や物件の需要に直接影響を与える。
調査によると、1世帯あたりの平均人数が多い区では、広い間取りの物件が人気だ。一方、平均人数が少ない区では、1LDKや2LDKのようなコンパクトな間取りの物件が多く供給されている。これらのデータをもとにエリア特性を理解することが、不動産選びの成功につながる。
ファミリー世帯と単身世帯では、求める住環境が大きく異なる。ファミリー世帯は、広いリビングや複数の個室がある物件を好む傾向がある。また、学校や公園、スーパーなどが近くにあるエリアが選ばれることが多い。
一方、単身世帯は利便性を重視するため、駅近や商業施設が充実したエリアを好む。また、物件自体もコンパクトで維持費が抑えられるものが選ばれる傾向にある。このように、世帯構成によってニーズが異なるため、エリア選びの際には事前の情報収集が重要だ。
新宿区は単身世帯が多く、1LDKやワンルームの供給が多いエリアだ。一方、江戸川区はファミリー世帯が多く、3LDK以上の広い間取りの物件が豊富に供給されている。
この違いは、エリアの特性や住民のライフスタイルを反映している。新宿区では利便性が重視されるため、駅近物件やコンパクトな間取りが人気だ。対照的に、江戸川区では子育て環境の良さや広い住居が求められるため、ファミリー向けの物件が多くなっている。
専有面積と人口統計の相関分析
■40m²以上の物件とファミリー世帯の関連性
グラフ2:40m²以上の物件とファミリー世帯の関連性
【出典:東京都総務局統計部とマンションリサーチ株式会社のデータを統合分析】
調査では、40m²以上の物件がファミリー世帯の多いエリアで高い需要を示していることがわかった。広い間取りの物件は、家族全員が快適に暮らせるため、ファミリー世帯にとって必須の条件と言える。
また、40m²以上の物件は売却時の価値が高い傾向がある。これは、ファミリー世帯の需要が安定しているため。不動産投資を考える際には、このような需要の安定性も考慮することが大切だ。
グラフ2の横軸は一世帯平均人数を示しており、数値が大きいほどファミリー世帯が多いことを示している。縦軸は、40m²以上の物件の全体の売出数の割合を示している。上記グラフから、人口統計と物件供給の間に非常に強い関連性があることを示している。このデータを活用することで、エリアごとの需要を的確に予測することが可能だ。
例えば、人口増加が見込まれるエリアでは、広い間取りの物件の需要がさらに高まる可能性がある。一方、人口減少が進むエリアでは、需要が低下するリスクがあるため、注意が必要だ。
まとめ
間取りの希少性を評価する際には、人口統計と物件供給数を組み合わせて分析することが重要だ。例えば、ファミリー世帯が多いエリアで3LDK以上の物件が少ない場合、その物件は希少性が高いと判断できる。
希少性の高い物件は、需要が集中するため、価格が下がりにくい特徴がある。不動産投資では、このような物件を選ぶことで、安定した収益を得ることが可能だ。ただし、希少性が高いからといって、必ずしも投資が成功するわけではない。エリアの将来性や維持費なども総合的に判断する必要がある。
構成/こじへい