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昆虫ハンター・牧田習が解説!2025年は巳年、ヘビそっくりな昆虫たちの生き残り術

2025.01.01

あけましておめでとうございます!2025年の干支はヘビですね。ヘビは爬虫類なため、昆虫とはあまり関係がないと思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。昆虫の仲間にはヘビにそっくりな種類がいたり、ヘビ要素を意外な所に持っている種類がいたりします。今回はヘビにそっくりな昆虫とはどんな種類なのか、そして彼らがヘビにそっくりな理由について解説します。

ヘビそっくりなイモムシ!?

ヘビに似ていると言われる昆虫は実はたくさんいるのですが、その中でも「スズメガ」というガの仲間のいくつかの種類の幼虫はとてもヘビに似ています。今回は、スズメガの幼虫の中でも、ヘビにそっくり度合いが高くて、身近にも見ることができる種類である「ベニスズメ」という種類について紹介いたします。

(1) ベニスズメとはどんなガなのか?

ベニスズメは胴体の部分が太いスズメガの一種で、羽を開くと5~7cmほどの中型のガです(同じ名前の鳥がいますが、ガの方です)。ピンク、茶、黒色の模様をしており、その色より”ベニ”スズメと名前が付けられました。北海道から沖縄までの平地から山地まで分布しており(海外ではアジアからヨーロッパにかけて広く分布)、春から秋まで見ることができます。身近な場所にも生息していて、夏にカブトムシなどを探しに行くと樹液に来ている姿を見かけることがあります。夜行性で、樹液以外にも花や灯りにも飛んできます。そんな特別、珍しい生態を持っているわけではないベニスズメですが、幼虫は驚きの姿をしています。

(2) ヘビそっくりな幼虫

成虫がピンク色の美しい羽を持つベニスズメですが、幼虫時代はヘビそっくりで、「眼状紋」というヘビの目のような模様も持っています。さらに、危険を察知すると、ヘビの目の模様がある所の周りを膨らませて、より一層ヘビそっくりになります。その再現度の高さには驚きです。

(3) どこで幼虫を見つけることができるのか?

ベニスズメの幼虫はアカバナ科やツリフネ科、ミソハギ科などの植物を食べて成長します。この中にはオオマツヨイグサやホウセンカなど、身近な種類も含まれています。

冬の間はサナギなため、そのヘビのような姿を見かけることはできませんが、秋には幼虫が現れるはずです。ぜひ身近な場所にいないか探してみてくださいね。

ヘビの顔を持つ超巨大なガ

さて、お次は体の一部にヘビの顔を持つ「日本一大きいガ」を紹介します。

(1) ヘビの顔を持つ日本一大きいガ・ヨナグニサン

ヨナグニサンは日本では沖縄の八重山諸島のみ、海外ではアジア各地に生息する超巨大なガで、羽を開くと20cmほどにもなり、その存在感は凄まじいです。さて、その大きな羽をよく見てみると、前羽の先の方にヘビの顔があるのが分かるかと思います。左右にヘビの顔を持っており、まるで2匹のヘビ使いのようです。

(2) 裏から見てもヘビそっくり!

前羽の先がヘビそっくりなのは、表面だけではありません。裏からみても前羽の先はヘビそっくりです。裏側のヘビの方が白っぽい印象で、2種類のヘビ使いとも言えるでしょう。

(3) ヨナグニサンはとても貴重な昆虫

日本では八重山諸島にしか生息していないヨナグニサンは、沖縄県の天然記念物にも指定されているほどの貴重な種類です。与那国島では方言で「アヤミハビル」と言われています(「アヤミ」は模様のあるという意味で、「ハビル」はチョウという意味です)。

ヘビになりきる理由

ここまで、ヘビそっくりなベニスズメの幼虫やヘビの顔を持つヨナグニサンを紹介してきましたが、なぜ彼らはそのような姿へ進化したのでしょうか?それは天敵に食べられないようにするためです。自然界ではガの幼虫も成虫も鳥などの天敵に常に狙われています。そこで、鳥の天敵でもあるヘビの模様を持つことで、鳥たちを驚かせ、食べられないようにしようという作戦です。

特に今回紹介したベニスズメが含まれるスズメガの仲間の幼虫には「眼状紋」を持つ種類が他にもいますし、「ジャノメチョウ」というチョウの仲間にもこの眼状紋を持つ種類が多くいます。彼らは食べられないように天敵が怖がる姿になりきろうと進化してきたのです。

眼状紋を持つジャノメチョウの仲間

昆虫では、「見た目を使って食べられないようにする作戦」はヘビの目を持つ以外にも多くの作戦が使われています。例えば、ナナホシテントウの赤い体は「警告色」と言われており、これにより毒があることを天敵にアピールして、食べられないようにしています。

ナナホシテントウ

今回はヘビそっくりな昆虫を紹介しましたが、昆虫たちの模様や形には何かしらの理由が込められています。「なんでこんな形や色をしているのだろう?」と考えながら昆虫たちを観察すると、2025年はより一層楽しい昆虫ライフが送れるはずです!

昆虫ハンター・牧田習

1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学、現在、博士課程在学中。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発表している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。

著書:「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my

文/牧田習

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