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ラグジュアリーと健康を両立する20万円超のシューズブランド「LUXTH」、何がどうスゴいのか?

2024.12.29

ランボルギーニの歴史と伝統を受け継ぐライフスタイルブランド「FL Fuoriserie」と、日本の介護福祉サービスを総合的に提供する「アスモ」がコラボして誕生したラグジュアリーシューズブランド「LUXTH」から、2024年12月25日にシューズが発売となった。

今回のコラボで誕生したシューズが20万円超えというラグジュアリーな仕様になった理由やこだわり、そもそもこの異業種コラボがなぜ実現したのかを、アスモ代表取締役社長の花堂浩一さんにうかがった。

介護福祉の会社がシューズブランドを立ち上げたわけとは

介護のない世界を創造したいとLUXTHを立ち上げた株式会社アスモ代表取締役社長の花堂浩一さん。

「アスモ」は、介護保険制度が始まった2000年から、介護事業を提供する企業だ。そのアスモが、ランボルギーニの創業者一族であるファビオ・ランボルギーニさんが立ち上げたラグジュアリーブランド「FL Fuoriserie(エフエル フォーリセリエ):以下FL」とのコラボでシューズブランドを立ち上げると2024年11月に発表。それが、「LUXTH(ラグス)」だ。

「品格(Luxury)」と「健康(Health)」を融合させたという。そもそもなぜ、介護サービスから、シューズブランドを立ち上げることになったのか。それは、介護の現場での花堂さん自身の体験からだという。

「現場での仕事をしていたとき、介護利用者の自宅に行くと、トイレのわきで倒れたまま亡くなっていたという経験があります。介護は必要なものですが、高齢になっても元気で過ごせるよう、介護にならないためのお手伝いができないかと考えました。」(花堂さん)

健康でいられるために方法はいくつかあるが、歩くことで健康になるなどの本も多く見かけ、まずは外に出るのが大切だと考えたときに、靴に着目したという。

さらに、人は感情の生き物であることから、出かけるときに、「かっこいいシューズ」があれば、より外出する動機づけになるだろうと思いついたものの、高齢者向けの自慢したくなるようなデザインのシューズを見つけられなかったそうだ。

確かに、介護の現場では、介護する人が着脱しやすいようなデザインのものが多い。かっこいいシューズを手に入れたら、年齢問わず、ちょっと出かけてみようと思う気持ちになるのは納得だ。花堂さん自身も、50歳を過ぎても、おしゃれして出かけたいと感じていたことから、今回のプロジェクトがスタートした。

ランボルギーニのDNAを持つ「FL」とのコラボ

梅若能楽堂で行われた発表会には、「FL」のファビオ・ランボルギーニさん(中央)とFLブランドのライセンス管理会社社長ガブリエルさん。

出かけたくなる魅力的はシューズの開発ということで、「FL」のライセンス管理会社のアジア担当者との出会いから、コラボの道が開けた。最初は、冗談のような話だったそうだが、高齢者が使用するアイテムということで、シューズと杖のモックを製作し、イタリアのファビオ・ランボルギーニさんを訪ねたという。

「我々は、介護度がある人に対してのアイテムを考えていたのですが、若い人も含めて使えるものがいいため、シューズにして欲しいとリクエストがありました。そこで、シューズに絞り込んで、デザイン設計し、再度イタリアに赴きました。」(花堂さん)

訪れると、片道約2時間もかけて、ファビオさん自身がクルマを運転して迎えに来てくれたそうだ。現地では、2,3時間かけて、ワインを飲みながら昼休憩をとる習慣があるが、花堂社長は、お酒をすすめられ飲み過ぎたことから、午後の打ち合わせで体調不良になったそう。

FLのスタッフのみなさんと花堂さん。

「彼は、生きているのか」と心配されるほどだったというが、なんとかシューズを作る方向で話がまとまった。花堂さんの情熱が伝わった結果のようだ。ただ、納得のいくものがすぐには完成せず、多くのセレブが集まるお披露目会に間に合わないというハプニング。

「納得のできるものができるまで出したくないと伝えたところ、できるまで待とうと言ってくれたんです。ファビオさんには、本当に感謝しています。」(花堂さん)
そして、翌年の2024年5月、ようやく契約が成立している。

「お披露目会に出せなかったのは残念ですが、お金じゃなくて、ランボルギーニの名前を汚すようなことがあってはいけない、ファビオさんに恥をかかせるわけにはいかないと思っていたので、これでよかったと感じています。」(花堂さん)

介護に特化したモデルにならず、かっこよくてカラダ回復機能もあるラグジュアリーなシューズが完成した。

高機能のインソールにイタリアンレザーのアッパーを採用


LUXTH カラー:5色展開 価格:20万円~ 発売日:2024年12月25。※納期まで約1か月。

健康で快適に、しかもラグジュアリーなシューズにこだわった「LUXTH」は、スリッポンタイプの5色展開だ。アッパーには、環境保全団体LWGのゴールド認証を取得したイタリアンレザーを採用し、ソールは軽くてグリップ力のあるEVA素材を使用することで、見た目よりも軽く、返りがよく、歩きやすそうだ。

なかでも、一番のこだわりがインソールにあるという。インソールの専門家である「ミーボ」の中村昌嗣さんと共同研究し、ユーザーの脚の形状を測定しカスタムメイドされるインソールは、足底筋の柔軟性や指先のグリップ力、さらに、体全体の伸びやかさも引き出し、理想的な歩行に導いてくれるという。それにより、足腰やひざへの負担や疲労を大幅に軽減するというのだ。

特殊素材で足裏を支え、理想的なアーチ形状を実現するインソール。

インソールを見ただけではその効果がわかりにくいかもしれないため、発表会では、来場者の中から数名が、このシューズを体験する場面もあった。自分のシューズでは、バランスを崩してしまうが、「LUXTH」に履き替えるとバランスを崩さないという、見ているだけでは、なかなか信じられない光景ではあったが、体験者は「うそじゃないですよ。ほんとうです。」と、感想を述べていた。

もともと体幹が強く、しっかりバランスがとれている場合、極端に変わらないそうだが、年齢に関係なく、体幹が弱い人は、効果がすぐに実感できるそうだ。加齢とともに、運動する機会が減ることで、体幹も衰えそうなので、意識しておきたいと思った。

まずは富裕層に向けてスタート

インソールは、シューズのサイズによってカスタマイズされる。

「FL」とのコラボで、それぞれの足に合わせるカスタムオーダーでスタートする「LUXTH」だが、20万円を超えるとなると、要介護にならないためのお手伝いとの思いからスタートしたブランドであるにもかかわらず、手が届かないという人が圧倒的に多いのではないだろうか。

「足の形はそれぞれ違い、サイズだけでなく種類が多くなります。新規事業でもあり、売れるかどうかわからず、量産はできません。そこで、まずはアッパー層に向けて丁寧なモノづくりをし、認知が広がることで、中間層のみなさんにも興味を持ってもらえればと考えています。」(花堂さん)

現時点では、20万円を超える仕様だが、今後、アッパーの素材を変更するなどして、4万円から5万円くらいで展開できるのが目標だとも話す。介護の現場での気づきから誕生した「LUXTH」だが、すべての人が履くことができる健康シューズブランドに成長することも視野に入れている。

2024年12月下旬から、カスタムオーダーがスタートし、オーダー後、約1カ月で手元に届く予定だ。ウイメンズがなかったため、インソールのみ試してみたが、内ももあたりに1本芯が通ったような感じで、体幹にしっかり力を入れて立つことができた。

この効果を実感することで、欲しいと思う人はいるだろうが、ネックとなるのは、価格とオーダーするための計測の時間や場所だろう。アクセスポイントが近ければ、一度どのようなものか試してみようとは思えるかもしれないが、購入できる人は、現時点では、富裕層限定になりそうだ。今後、機能はそのままに、アッパーの素材変更やウイメンズアイテムが登場するのを待ちたい。

LUXTHオーダーサイト
https://asumo-kaigo.jp/luxth
(※専用サイトは2024年12月10日オープン)
株式会社アスモ
https://asumo-kaigo.jp/

取材・文/林ゆり

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