税金や社会保険料の負担の重さを表す指標として、しばしば「国民負担率」が用いられています。日本の国民負担率は、40%を超えて50%に迫る水準です。
「頑張って稼いでも、税金や社会保険料でたくさん持っていかれてしまう」という、多くの方が抱いている実感に近い数値といえるでしょう。
1. 国民負担率とは
国民負担率とは、租税および社会保障の負担を合わせた義務的な公的負担の、国民全体の所得総額(=国民所得)に対する比率です。
国民負担率は、以下の式によって計算します。
国民負担率=租税負担率+社会保障負担率
租税負担率=(国税額+地方税額)÷国民所得×100%
社会保障負担率=社会保障の負担額÷国民所得×100%
簡単に言えば、国民が稼いだお金の中から、税金や社会保険料をどれだけの割合で払っているかを示した指標が国民負担率です。
2. 国民負担率と「手取り」の関係性
最近では、与野党間で「手取り」に関する議論が活発化しています。手取りと国民負担率は、言うまでもなく密接に関連するものです。
会社から支払われる賃金からは、所得税や住民税、社会保険料が控除されます。これらの控除を行った後、残った自由に使えるお金が「手取り」です。
しかし、手取りとして残ったお金も、その全額を自由に使えるわけではありません。
消費税やガソリン税(揮発油税・地方揮発油税)など、物やサービスを購入する際に支払う税金があるからです。
国民負担率には、手取りを計算する際に控除する税金や社会保険料だけでなく、物やサービスを購入する際に支払う消費税などの税金も反映されています。
したがって、稼いだお金全体のうち何%を自由に使えるのかを知るためには、手取りだけでなく国民負担率にも注目すべきでしょう。