身体の健康状態を示す基準として血圧はとても役立つ一方で、測定には専用の機器が必要となり、ハードルが高いことが課題といえる。ウェアラブルという形でそれを解決してくれるのが、HUAWEIが手掛けるスマートウォッチ『HUAWEI WATCH D2』だ。実際に研究の現場でも活用されている本機器の実力とは。
介護やeスポーツの研究でも活躍
いまや日本人の3人に1人が抱えている高血圧は、放置すると様々な病気を引き起こすリスクが高まってしまう。しかし血圧を測定するには、安静にした状態で専用の機器を用いる必要があり、自宅や病院など限られた場所でしか測定できないことが課題だった。
これをスマートウォッチに血圧計を内蔵することで解決したのが、ファーウェイ・ジャパンが開発したウェアラブル血圧計の『HUAWEI WATCH D2』だ。2024年12月6日のクラウドファンディング支援受付開始にあわせて、製品説明会が催された。
ファーウェイはヘルスケアに注力しており、直近3年で中国やフィンランドにヘルスラボを開設するなど、研究開発の体勢を充実させている。
新たに搭載された自動血圧モニタリング機能は、事前に設定した測定間隔ごとに通知があり、そのタイミングで測定することで1日を通した血圧の変動を測定できるというものだ。
従来の血圧測定は健康診断時のように特定の日付・時間帯での測定値だったため、たまたまそのタイミングだけ正常値を示していた場合、血圧異常を見逃してしまう可能性があった。しかし1日を通して測定することで、1日の過ごし方に応じた血圧の変動を知れるのだ。
前モデルの『HUAWEI WATCH D』でも測定自体は可能だったが、自分でスケジュールを管理する必要があった。しかし自動血圧モニタリング機能なら自動でリマインドが通知されるため忘れる心配がない上、睡眠中の測定は全自動で行なってくれる。また、日中の測定値は医療情報としても使用可能だ。
測定精度も前モデル比10%向上したほか、表示面積の大型化や軽量化など本体自体の性能も向上しており、より使いやすくなっている。
『HUAWEI WATCH D2』は医療機器認証(306AGBZI00008000)を取得している。また計量法の規制を受けて販売流通するために、測定精度を計測する器差検査を全数実施しているそうだ。
説明会では前モデルを用いた実証研究の紹介として、岡山大学公衆衛生学の神田秀幸教授が登壇。介護福祉施設で上腕血圧計と前モデルとの測定差異を検証したところ、特に最高血圧はほぼ差異なく測定できたそうだ。また、高校生を対象としたeスポーツ実施時における血圧変動を測定したところ、勝利チームは血圧変動が大きく、血圧や交感神経がパフォーマンスに影響を与える可能性があると語った。
普通のスマートウォッチと何ら変わらない装着感で血圧測定が可能
説明会の後、展示用の『HUAWEI WATCH D2』を用いて血圧測定を実施してみた。筆者はHUAWEIのスマートウォッチ『HUAWEI WATCH FIT 3』を日常的に装着しているのだが、装着感や重量感は大きな差を感じなかった。通話や通知機能といったスマートウォッチとしての機能も備えているため、普段遣いとして問題なく使えそうだ。
日中の血圧測定時は座った体勢で装着側の腕を心臓と同じ高さに固定する必要がある。測定間隔はデフォルトで30分だが、15~60分の間で変更できる。
血圧測定時はカフが腕を抑えつけるが、強い圧迫感はないため不快感はない。測定も数十秒で終わるため手軽に実施できる。あくまで参考値とはなるものの、睡眠時も自動で測定してくれるのはありがたい。
測定したデータはスマートフォンと同期することで、専用アプリ内に蓄積されていく。許可したアカウント同士で記録の共有もできるので、家族間での見守りにも役立てる。
市場想定価格は税込み6万280円となっており、カラーはブラックとホワイトの2色で展開中。現在はクラウドファンディングサイトで販売されているが、2024年12月11日時点での目標達成率は1400%となっている。手軽に自身の健康状態を把握したい人にとって、スマートウォッチとしての機能を有しつつ血圧をリアルタイムで測定できる『HUAWEI WATCH D2』はきっとお役立ちのガジェットとなるだろう。
取材・文/桑元康平(すいのこ)