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古墳王子の2024年歳末総決算!大ニュースの陰に隠れた考古学的新発見に刮目せよ

2024.12.30

連載/古墳王子の早口コラム

こんにちは、小学生の頃から古墳の魅力に目覚め、訪ねた古墳は3000基以上の高校生、古墳王子です。

このコラムでは皆さんにディープでマニアックな古墳の魅力が伝わるよう、僕が感じた感動や発見をオタク特有の早口でお伝えしていきます。

古墳王子の2024年歳末総決算!

2024年も残すところあとわずか。今年は様々な古墳ニュースや話題の特別展が目白押しで、歴史ファン界隈だけでなく幅広い層で考古学が大いに盛り上がった一年でしたね。

今まで、なかなか遺跡や埋蔵文化財にご縁や興味がなかった皆様に、古墳や埴輪の存在を注目いただけたことは大変喜ばしく、その可愛さやユルさにハマってしまう方も増えたのではないかと思います。

また世紀の大発見の成果を生きているうちに一目見ようと、お年を召された方々を奮い立たせ大行列となった富雄丸山古墳出土・蛇行剣の初公開もありました。

しかし!そんな世間が大フィーバーしているニュースの陰で、実は他にも素晴らしい発見があった古墳や大変貴重な出土品を蔵出しした特別展開幕など、日々さまざまな考古学的ニュースは発表されています。そこで今回は数ある文化財ニュース速報のなかでも特にぼくが刮目して馳せ参じた特ダネを厳選してお伝えします!

富雄丸山古墳出土の蛇行剣

【2024年前半】富雄丸山古墳出土の蛇行剣初公開ニュースの陰では何が!?

2023年1月に日本全国を大いに騒然とさせた、富雄丸山古墳の巨大な蛇行剣と盾形銅鏡出土のニュースは、その興奮も覚めやらないまま、翌2024年春に、応急処置と分析を終えた蛇行剣のみ、奈良県立橿原考古学研究所附属博物館にて初公開となったのは、記憶に新しいですね。

今回は、保存処理前の短期間限定公開ということもあり、全国から老若男女問わず多くの人々が集まり、その数なんと1万6千人に達したという。

もちろんぼくも公開4日目の夕方にお伺いしましたが、今までの博物館通いではありえないほどの人出と、「九州から飛行機で来た」「私は関東から新幹線で」「生きてるうちにひと目見たい」などなど、ご年輩の方々の声を多く聞いたし、入館を待つ列はまるで蛇行剣のように長く、そして幾重にも波打っていたことに驚きを禁じ得ない出来事であった。

またその蛇行剣初公開に先立ち、富雄丸山古墳の発掘調査現場で公開された、木棺と水銀朱の生々しさよ!こちらも大変長い大行列だったと聞く。


富雄丸山古墳発掘調査現場公開

そんな大ニュースの陰にすっかり隠れてしまったようだが、ぼくが刮目したニュースは他にも3件ございます。

【1】国内初事例!上塩冶築山古墳出土の大刀が赤鞘だったと判明(島根県)

1887年(明治20年)に古墳の石室が発見されたと同時に、大量の副葬品が出てきた上塩冶築山古墳。もちろん現地はいつでも見学可能で、丸い墳丘や横穴式石室内のでっかい家形石棺に驚愕したり、出雲弥生の森博物館には煌びやかな副葬品たちが展示されている。

そんなおなじみの上塩冶築山古墳から出土していた金銀装捩環頭大刀が、なんと全国初の赤鞘であることが判明しました!

出雲弥生の森博物館

……え?それがどうしたって?まぁ普通はそういう反応でしょう。当然、縄文時代からずっと赤色の顔料は存在していて、土器や壁画、衣服や化粧にも使われていたであろうと考えると、刀の鞘にだって塗っていた可能性はある。

でも、今までそれを証明するに至っていなかったのが、ここにきて研究者の皆さんの熱意と科学の進歩により、国内初事例の発見となったのであります!

もしかしたら各地の博物館の展示室や収蔵庫に眠っている考古遺物にも、思わぬ新事実が見つかるかもしれない。そんな新たな視点の大切さを実感したニュースでした。

【2】川の中にあったのは……なんと前方墳後円墳だった!(滋賀県)

5年前の2019年、滋賀県近江八幡市を流れる日野川でバードウォッチングを楽しんでいた人が、川の中の埴輪を見つけたのをきっかけに滋賀県が調査したところ、人工的に土を積み上げた跡や、一列に並んだ円筒形の埴輪が6本見つかり、古墳である疑いが浮上。

そしてさらに去年10月から今年2月にかけて、県文化財保護協会が同じ場所を調べると、新たに13本の円筒形の埴輪が一列に並んだ状態で発見され、埴輪の焼き方の特徴などから5世紀後半から6世紀前半頃に築造された前方後円墳である可能性が高いということがわかったのです。

これはぼくにとってかなりインパクトあるニュースで、例えば山の中とか森の奥とか建物の地下に実は……というケースはよくありますが、まさか川の中からとは!もう居ても立っても富雄丸山古墳から一気にワープで駆けつけましたよ。

江頭南遺跡の古墳(川の中に沈み中)

まぁ当然といえば当然だけど、発掘調査を終えた古墳は川の中だから見えなかったよね……。せめて出土した円筒埴輪が見たくて、安土城考古博物館へお伺いしたところ、川の中で長い年月を過ごしていたからでしょうか、ずいぶんお肌の色素が白くなった朝顔形埴輪に会うことができました。

今回の川の中からの思わぬ発見から、全国にはまだまだ見つかっていない隠れた古墳が眠っているかもしれないと実感する出来事でしたね。

安土城考古博物館

【3】祝・青谷かみじち史跡公園完成!(鳥取県)

2024年3月24日、弥生時代推しの皆様が心待ちにしていた、青谷上寺地遺跡の史跡公園が完成し盛大なオープニングとなりました。

青谷上寺地遺跡といえば、なんといっても弥生時代の人間の頭蓋骨から脳の一部が見つかり、そこから採取されたDNAを基に、弥生人の顔を復元することができた驚きの遺跡として知られています。

そんな青谷上寺地遺跡が、史跡公園化と共にガイダンス施設や文化財展示施設も誕生したというのだから駆けつけずにはいられますまい!

おそらく、プロジェクトチームによる数年にわたる各地のミュージアム視察や最新技術の導入、来館者のニーズに合わせた付帯設備の検討を重ねたのでしょう。小さいお子様から歴史考察に一家言あるお年寄りまで楽しめるポイントを押さえた施設となっていました。

青谷かみじち史跡公園ガイダンス棟

そしてなんといっても、国の重要文化財に指定されている青谷上寺地遺跡の出土遺物がエレガントに配置された展示室は、思わず息をのむ美しさ!

約2400年前の弥生時代に使われていた木製品が、当時の姿そのままの状態で出土し、最新の保存処理技術で鮮やかな色彩が蘇っているのです。全体を朱塗りに黒の渦巻き模様を施したインパクト大の盾や、シンプルでスタイリッシュな器の数々にうっとりします。

青谷かみじち史跡公園重要文化財棟

アクセスは鳥取市内から車で30分、JR青谷駅からは徒歩15分です。これを機にぜひ鳥取県へ。砂丘だけじゃない、新たな観光スポットの誕生です!

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