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こんにちは。 弁護士が解説する「ひざ枕&路上おんぶ」裁判の真相
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。
今回は、ホントウにあった不倫裁判です(東京高裁 R6.1.17)。
―― 奥さんが浮気したんですって?
夫
「はい。妻と男が【ひざ枕】でイチャいたり【路上おんぶ】をしているところを激写しました」
―― お泊まりは?ラブホとか。
夫
「それは……ありません」
果たして、裁判所のジャッジは!?
※ 実際の判決を基に構成
※ 判決の本質を損なわないようフランクな会話に変換
※ 争いを一部抜粋して簡略化
登場人物
■夫
S48生まれ
■妻
S48生まれ
H12 結婚
H23 長女誕生
■妻の不倫相手(以下「Y男」)
S49生まれ
仲が悪かった夫婦
―― 夫婦仲はどうだったんですか?
夫婦
「長女が生まれる前からあまり仲が良くなかったですね」
妻
「口ゲンカをして私が家を出ていくこともありました」
まぁ、1ヶ月半後には帰ってきましたが。
妻
「離婚届に署名押印までしたこともありました」
まぁ、復縁して離婚届が提出されませんでしたが。
こんな感じでギリギリの夫婦関係を保っていたのですが……。
決定的な口論
バトル勃発!長女のバイオリンの練習をめぐって、両者は決定的な激突をします。
夫は妻に向かって
「オマエには親権はあげない」
「オマエの好きな、ね、マッサージ行ったりするお金が欲しい男と一緒になって。親権はオレにちょうだい」
「オマエ今日で別れよう」と言いました。
妻が新たな男性を探す
そのケンカの1ヶ月後。
―― 奥さん、どうやって男を探したんですか?
妻
「マッチングアプリです。6つのアプリををダウンロードしました」
―― ワンパク!いい男性が見つかりましたか?
妻
「約3ヶ月後、Y男さんと知り合いました」
妻が警察署に行く
少し話が変わりますが、その約1ヶ月後、妻が警察署に駆け込みます。駆け込んだ理由は「夫が娘を叩く」「裸にして家の外に立たせる」「娘の教科書を破く」などです。
■妻、家を出る
その約1ヶ月後、ついに妻が長女を連れて家を出ました。その後も、妻は夫に、娘のバイオリンの練習の送迎をお願いしていました。
■夫、動きます
夫は「妻に男ができた……」と感じたのでしょう。探偵に依頼します。その後、探偵は妻の行動を調査し、以下の事実を突き止めました。
・午前10時30分、Y男が妻の自宅に行く。その後、夜8時20分まで滞在
・マンション1階のロビーで妻がY男のひざ枕で横になる
・妻の自宅付近で、Y男が妻の腰に手を回して歩く
・デートの際、腕を組む
・Y男が妻をおんぶして歩くこともあり
・Y男が妻の自宅で4時間ほど滞在(少なくとも4日間)
お泊まりの証拠は確保できませんでしたが、普通に考えれば「この2人は交際してるでしょ」と思うような親密さです。
その約2ヶ月後、Y男は「探偵につけられている!」と気づきました。そしてY男と妻はLINEの履歴を消去しました。
夫は探偵の調査報告書を証拠として、Y男に対して慰謝料請求訴訟を起こしました。