サウナの悩み「暗いサウナ室だと12分計が見えない」を解消するサウナ専用時計
サウナにハマり、いわゆる「整う」というリラックスした状態になるためには、サウナに5分から12分入り、水風呂に1分から2分、その後椅子に座って休憩するのが一般的。
それぞれの時間は人によって少しずつ違ってくるが、計測に必要となる時間が12分で、サウナ室のなかには12分で1周する時計「12分計」がつけられているところが多い。
そのため、自分で時間を意識して入るものの、座っている位置が遠かったりサウナ室のなかが暗いと12分計が見えなかったり、普段眼鏡をかけている人が外して入ると文字盤がよく見えない、施設によっては時計自体がないなど、なかなか思い通りにはいかない場合がある。
また、時間がわからないことで、サウナ利用の制限時間が設定されている店舗で時間オーバーによる追加料金が発生してしまい、整ったあとにいらぬストレスを感じてしまう場合も。
「対策として自分の手持ちの時計を着けていく方も結構多いようなのですが、(高温多湿のサウナ室内で)壊れてしまわないかという不安もあります。それをちょっと解決するのが、今回の『サ時計』になります」(山田さん)
大きな特徴は3つ。まずは耐熱・耐湿対策として、今回のために耐熱性のある特殊な電池を採用し、樹脂ケースも水や湿気に強い素材になっている。
また、サウナ専用だけでなく、通常の時計としても利用できるようにボタン一つで現在時刻と12分計を切り替えられる。これは、フェイスの右上の「MODE」ボタンを押すだけなので、ノールックで簡単にできる。
これにより、ワンタッチで自分だけの12分を簡単に計ることができる。これは、12分の計測中に現在時刻に切り替えても、そこでワンタッチすれば12分の計測中の時間に戻すことができるスグレモノだ。操作は「MODE」と「RESET」の2つのみで行うシンプル設計。
3つ目のデザイン面では、時計のバンド部分は、温泉などのロッカーキーからインスピレーションを受けたカールバンドを採用。フェイス部分のデザインも、シンプルで視認性のよい文字盤と、蓄光塗料を塗った針で暗いサウナ室内でもよく見え、自分だけの12分を計ることができる。
明るいサウナ室内で見た状態。
こぶりなサイズで、ユニセックスで使える。
カシオモデルと限定モデルの計3タイプで登場 一般発売を期待!
今回のクラウドファンディングでは、「カシオオリジナルモデル」をブラックとオレンジの各色1,000本ずつ、サウナイキタイとのコラボモデル「サウナイキタイモデル」300本を用意したが、前述の通りあっという間に完売した。これはカシオ計算機側としても全く予想しておらず、「もう入手はできない」と伝える事態になっている。
一番左がサウナイキタイとのコラボモデル、右2つがカシオオリジナルモデルの「サ時計」。
今後の一般発売についてはまったくの未定とのこと。あまりのスピード完売で収支の設計ミスは否めないが、とても面白い製品だったので、期間限定の受注販売など、再販は期待される。また、同様に同じ時間だけ計測したい企業など、2000個ぐらいはスタッフ用に欲しいなど、別途の企画製品も可能なのではないか。
同社の広報担当 石井信孝さんによると、「IBP」では現在までに、途中経過で審査に落ちたものあるいは査中のものも含めて累計で30件ほどの提案があった。
「当初は開発部門からスタートしましたが、今年度から営業部門の社員も対象に拡大しました。まだ確定ではないですが、将来的には全社員が参加できる仕組みにすることを見据えている」(広報担当 石井さん)
実際に製品になった例では、2023年11月からクラウドファンディングを実施した「ディメンショントリッパー」といものがある。ギターストラップに装着することでギターの音を変化させるエフェクターを操作できる新感覚のエフェクトコントローラーだ。
こちらが「IBP」から生まれた企画として実証実験を行った第1号となり、今回の「サ時計」は第2号にあたる。ディメンショントリッパーもクラウドファンディングを達成しており、現在はビジネスとして検証している段階で、一般販売は未定だ。
「IBP」を通じての製品化1号となった「ディメンショントリッパー」。
よく就職活動の企業の募集要項などに「IBP」のような制度は記載されているが、その具体例を外部でもわかる形に実現したことは、若年層の企業選びにおいて魅力を伝えるきっかけにもなるだろう。
取材・文/北本祐子