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灯油代が月2万円!?北海道の最北東端に移住した女子の「極寒住まい」事情

2024.12.26

連載/りんの移住裏トーク

登録者数50万人以上の大人気YouTubeチャンネル「りんの田舎暮らし」のりんが〝移住の裏側〟を紹介する連載企画「りんの移住裏トーク」。北海道の最北東端、日本のすみっこから、田舎暮らしのリアルをお届けします。

こんにちは、りんです。今回は、私が移住した「北海道最北東端の住まい事情」をテーマにお送りします。

快適とはほど遠いかもしれない田舎暮らしの住まい

快適な住まいは、あなたが田舎での生活に何を求めるかで変わってくると思います。

田舎のお家といえば、築何十年の伝統的な日本家屋、縁側に座りお庭を眺めながらのんびり……といったイメージや憧れを持つ方も多いのではないでしょうか。

しかしながら、昔ながらの広い古民家には、

・広さゆえなかなか暖房が効かない
・お風呂場やお手洗いがとても寒い
・スリッパを履かないと足が冷たくて歩いていられない

など、共に暮らしていく上で幾つもの苦労や不便があります。

もちろん、お手洗いにはパネルヒーターを設置する、廊下やリビングは灯油ストーブで暖めるなど解決策は多数あります。

でも、その解決策には継続的な費用と労力がかかります。

実際、私が住む知床の家は冬が近づくと冷え冷えとします。零度を下回るようになると、リビングだけでなく凍結を防ぐため廊下や水回り付近で灯油ストーブ稼働させます。

ちなみに、私はトヨトミのストーブを愛用しています。

空間をムラなく暖めてくれてフォルムもかわいい、窓から煌めく炎はずっと眺めていたくなる。見た目も性能も良いですが、実に大食らいなのです。

灯油タンクを満タンにしても一晩持ちません。知床に来たばかりの頃は具合が分からず何度も燃料をすっからかんにしてしまい、不完全燃焼をさせてストーブに負担をかけていました。

冬を重ねるごとに火力や時間の調整が上手になり、今では灯油切れの2歩手前で給油できるようになりました。

目盛り半分でも減ったら追加すれば良いじゃないかと思うかもしれませんが、私はものぐさなのでなるべく給油回数を減らしたいのです。

寒い土地への移住で知っておくべき「灯油のあれこれ」

灯油のポリタンク、わかりますか?

灯油を持ち運んだり、保管ができたりする赤色や青色の高密度ポリエチレンでできたタンクです。18Lがメジャーかな。

一方でトヨトミのストーブは6.3L入ります。ひとつの灯油タンクで過ごせる夜は3回。最近は店頭価格で灯油1L120円程、18Lで2000円を超えます。

ストーブ一台稼働させるだけで月2万円。真冬は昼間も稼働させるのでもっとかかります。

さらに、リビングに備え付けられたストーブ、車庫で作業する時のストーブ、湯沸かし器など、灯油を食べるのはトヨトミストーブ一台だけではありません。

灯油は町へ買いに行きますがガソリン代を考えてなるべく出かける回数を減らしているので、一度に車の荷台いっぱいのポリタンクを積んでいきます。ずっしりと重たくなったアクセルを踏み込んで帰ったあとは1個15~16kgの灯油タンクを両手にぶら下げて車と玄関を何往復もします。

手間だけではなく、ある程度のお金と体力も必要な北海道の最北東端での田舎暮らし事情です。

「移住しました、はい終わり」ではない家づくり

田舎で新築のお家を建てた方のお話を聞いたことがあります。

オール電化、玄関からお手洗いまで全て床暖房完備、寒冷地仕様エアコン付き。都会では考えられない広さと、都会と同じように感じる快適さを兼ね備えたお家と生きる田舎暮らし。

風情がないと捉える人もいるでしょうが、快適なお家が田舎暮らしの決断を後押しする人もいるはずです。

あなたが田舎暮らしの中で何を重んじるか、譲れないものは何か。

立派な梁天井を手に入れたければ部屋が暖まるまで待てる心も必要です。薪ストーブの前に座り、窓外の雪景色を眺めたいなら、木を切り出して丹念に乾燥させるところから楽しむのもいいかも(もちろん買えますが)。

「移住しました、はい終わり」ではありません。

選んだ場所で長い日々が続いていきます。憧れを日常に落とし込むには多少の苦労や不便もありますが、それをも踏まえて楽しめたらいいですね。

快適な住まいよりも大事なこととは?

家の中も大事ですが、家の外、さらにいうならその土地の特性のほうが何倍も大事です。

移住政策を打ち出す地方も増えましたが、それは名ばかりで移住者を快く思わない場所ももちろんあります。地域のことをほとんど知らない新参者が突然現れるのですから、こうした考えや対応があるのも不思議なことではないでしょう。

挨拶は返さずにじっとこちらの様子を窺っていたり、数時間の外出が村の中で共有されていたり。「地元の飲み会に参加して仲良くしないと受け入れられない」といった地域もあるのが移住のリアルです。

逆にぐいぐい干渉はしないが顔を合わせれば挨拶や立ち話をするし、緊急時には助けてくれる方々がいる田舎もあります。

どんな土地なのかは、実際移住しないとわかりません。

「現代にそんなことあるわけない」と思ったあなたは、この先も嫌な経験をすることなく過ごせたらいいなと思います。共感したあなたには、もう二度と嫌な思いをしませんようにと願っています。

人は自分が経験していない事柄に対して理解しようとしないきらいがありますが、自分が知らない世界はたくさんあることを覚えておくと、移住生活で何かがあった時に動揺せず、自分なりの対処をしながら生活していけるはずです。

快適に暮らすために一番大事な環境の良し悪しは住み始めるまでわからないという、何とも困った結論になりましたが、これがリアルです。

最近では、自分の移住経験をもとに田舎暮らしで抱える問題についての相談に乗る活動を始めました。田舎の様々な面を知った人間として、ひとりでも多くの方が穏やかで幸せな日々を過ごせるお手伝いができれば幸いです。

文/りんの田舎暮らし
登録者50万人のYouTube「りんの田舎暮らし」で北海道の自然や田舎暮らしの様子を配信中。交通安全運動で一日警察署長に任命されるなど北海道のくるま旅を盛り上げる活動も行なっている。

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