ビジネスパーソンの生存戦略として見習うべき藤子キャラのカワイさ
では、DIMEのメイン読者であるビジネスパーソンが藤子作品から学べることはあるのか?岸田さんに尋ねると「カワイさ」を挙げた。
「藤子作品はどんなにダメなキャラでも悪いキャラでも、みんなカワイイんです。カワイさは顔やスタイルではなく一生懸命なことからつくられるカワイさです。のび太のようなダメなキャラはダメなことに一生懸命ですが、自分のダメなところを何とかしたくて、『デキる人間になりたい』と必死にもがくも何ともならない。憧れを捨てられず一生懸命もがき続ける姿は愛おしくてカワイらしいんです。人間はカワイイ人を放っておけないので、生存戦略としてカワイくあろうとすることが大事だと思います」
【書籍紹介】
『藤子・F・不二雄がいた風景』
小学館ドラえもんルーム 編
小学館/4400円
老若男女、誰もが知る「ドラえもん」の生みの親、藤子・F・不二雄。今もなお愛され続ける作品を生んだ国民的漫画家は、いったいどういう生涯を送り、どのように人と接し、何を愛し、作品を描いてきたのか。彼の生前の姿を知る関係者に取材を重ねながら大変貴重な情報を集約し人柄に迫った。藤子・F・不二雄先生の生誕90周年を記念して発売の運びとなった究極の一冊。
【岸田奈美さんプロフィール】
岸田奈美(きしだ なみ)
作家。1991年生まれ。神戸市出身。2014年関西学院大学人間福祉学部社会起業学科卒業。在学中ユニバーサルデザインを手がける株式会社ミライロの創業に参加。10年にわたり広報部長をつとめたのち、作家として独立。著書に『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』『傘のさし方がわからない』『国道沿いで、だいじょうぶ100回』(以上、小学館)『もうあかんわ日記』(ライツ社)『飽きっぽいから、愛っぽい』(講談社)がある。
取材・文/大沢祐司