このキャラクターにピンときたあなたは、かなり感度が高い人と言えるだろう。『コンスタンティン』と名付けられたこのピンクのタコは、英国発の電力会社オクトパスエナジーの公式キャラクター。テクノロジーの力で世界のエネルギー問題に挑む、今注目のエネルギーテック企業だ。
日本で電力の自由化が始まってまもなく9年。だが、大手電力会社から新電力会社へ乗り換えたことがある人は、未だ3割に満たないとのインターネット調査(※)もある。円安や戦争による化石燃料の高騰や、それに伴う電気料金の上昇がこれだけ日々ニュースになっていても、見直しが行なわれていないということだ。
なんて、偉そうに書いたものの、実は筆者もそのひとり。ではなぜ、これまで乗り換えなかったのか。「1.手続きが面倒そう」「2.そんなに安くならないでしょ」「3.結局、大手が安心」という3つが、その理由だ。だが今回の取材を通じて、これらが単なる思い込みだったことを知った。もし同じような理由でためらっている人がいたら、新しい年を迎えた今こそ踏み出す好機だ。
※マイボイスコム『電力・ガス自由化』に関するインターネット調査(2024年6月実施)より
テクノロジーの力で、グリーンなエネルギーをより安く、快適に
オクトパスエナジーは2016年に創業したスタートアップだ。電力小売事業に参入してからわずか7年あまりで、大手エネルギー会社を抜いて、英国ナンバーワンの電力会社となった。なぜ、そんなことが可能だったのか。背景には「これまでにない新しい発想と、テクノロジーがある」と説明してくれたのは、日本法人オクトパスエナジーのCEO、中村肇氏だ。オクトパスエナジーは、東京ガスとオクトパスエナジーの合弁会社として、2021年に設立されている。
オクトパスエナジーの中村肇CEO
オクトパスエナジーが目指すのは、「再生可能エネルギーを、より低価格で、より快適に、楽しくワクワクするものにすること」だ。従来の化石エネルギーでは、需要にあわせて発電量をコントロールしてきたが、再生可能エネルギー、たとえば太陽光や風力による発電は、自然由来だけにコントロールが難しい。そこでオクトパスエナジーでは、テクノロジーの力で需要と供給をダイナミックに、かつ精緻にマッチングできるしくみを構築した。再生可能エネルギーを利用しつつ、電気料金を安くすることができ、かつ電力需要が高まる季節には楽しみながら節電ができるような、これまでにないサービスを提供している。
「脱炭素を目指して再エネを普及させていくにはどうすればいいか。オクトパスエナジーはそのためにユニークで革新的なサービスを設計し、実際にそれをどんどん広めて急成長を遂げています。日本でも2040年度には、太陽光発電を中心とした再エネを主力電源にしようとしている。我々のテクノロジーを活かして日本のお客様にも、再エネを広げていきたいと考えています」(中村氏)
オクトパスエナジーの歩み。沖縄県を除く全国でサービスを展開する
オクトパスエナジーの基盤となっているのは、自社開発のプラットフォーム「Kraken(クラーケン)」だ。自社開発だから、柔軟かつスピード感を持ったアップデートが可能。これがオクトパスエナジーの「電気料金の安さ」と「高い顧客満足度」の秘密である。オクトパスエナジーの国内契約数は、すでに30万件を突破。同社の調査によれば、他社からオクトパスエナジーに乗り換えて、電気代が安くなったと答えた人は、実に86.4%に上っている。
2024年12月3日(火)~8日(日)、他社から切り替え後、オクトパスエナジーに契約中のお客さま43,402人を対象に調査を実施(2024年12月時点)
オクトパスエナジーでは「安さ」だけでなく「快適さ」も重視しているが、その指標のひとつとなる満足度も、5段階評価で、★4が42.9%、★5が32.5%、★3が19.7%と、高い評価を得ている。楽しく節電に取り組めるキャンペーンや、親しみやすいサポート、使いやすさといった点が、高く評価されているようだ。
「問い合わせをいただく場合の窓口が一本化されていて、同じお客様には基本的に同じ担当者またはチームで対応しています。お客様との距離を近づけるテクノロジーを、自前で持っていることが大きい」と中村氏。コミュニケーションを大切にする姿勢が、良いリアクションにつながっているのだろう。SNSなどのレビューでも、ポジティブな意見が大部分を占めている。
シンプルでわかりやすい料金プランで月に1000円以上の節約を実現
一方で使いやすさは、シンプルでわかりやすい料金プランにも現れている。一般に電気料金は、基本料金に加えて使えば使うほど単価が上がるしくみ。ここに化石燃料代にあわせて変動する燃料費調整額が加算されるなど、複雑でわかりにくい。2024年5月にスタートした「シンプルオクトパス」は、わかりにくい電気料金を、文字通りとことんシンプルにしたプラン。単価が一律(12ヶ月単一)で、基本料金も燃料費調整額も不要だ。
単価が一律でわかりやすい「シンプルオクトパス」は、加入者に人気のプランだ
「燃料費調整額はいわば飛行機のサーチャージと同じですが、ここ2年くらいはこれがとても高くなっています。以前は再エネのような自然エネルギーの方が高かったのですが、今や逆転の現象が起こっている。そこでシンプルオクトパスでは、国産の再エネを使うことを前提に、燃料費調整額をなくしました」(中村氏)
オクトパスエナジーではこのほか、実質再エネ100%の「グリーンオクトパス」や、「オール電化オクトパス」、「ソーラーオクトパス」、「EVオクトパス」など、多彩なプランを展開している。前述の調査では、他社からの乗り換えで月に1000円程度安くなったという人が50.4%、2000円程度安くなったという人が25.8%。さらに3000円が9.7%、4000円安くなったという人も6.2%いる。
手続きは驚くほどカンタン!今すぐシミュレーションしてみよう
実際に月々の電気料金がどのくらいになるのかは、サイトから簡単にシミュレーションできる。筆者も試しにやってみたところ、月に3000円ほど安くなることがわかり驚いた。事務所物件で契約容量が大きいこともあるが、すでに乗り換えた友人によれば、電気使用量の少ない単身世帯でも、多いときには月に1000円くらいの節約になっているという。
シミュレーション後は、そのまま申し込みが可能。スイッチングシステムにより、解約手続きなどは不要で、申し込めば次の検針日には、自動的に電力会社が切り替わる。
シミュレーションは契約容量等と使用量を入力するだけで簡単にできる
やってみると手続きは驚くほど簡単で、毎月の電気料金もぐっと安くなる。かつ、オクトパスエナジーは、東京ガスとの合弁会社だ。斬新なエネルギーテック企業であると同時に、大手の安心感も併せ持つ。つまり、筆者の乗り換えない理由は、いずれも理由になっていなかったということだ。電気料金を節約しつつ、再エネの利用により脱炭素への貢献という満足感も得られるなど、まさにいいこと尽くし。もっと早く踏み出すべきだったと後悔しきりだ。
電力会社とは思えないポップで明るいオフィスは、テックスタートアップの雰囲気
オクトパスエナジーでは2024年11月から、スマートフォン向けのアプリケーションも提供。月々の使用量を見える化すると同時に、電力使用量の増える季節に楽しくお得に節電に取り組めるキャンペーンを展開するなど、インタラクティブなしくみを強化している。
さらに今後、太陽光発電の普及とともに懸念されている、昼夜の電力供給力の差についても、「昼の電力を無駄にせず、よりダイナミックに、より安くお客様に提供できるようなサービスを、日本でも作っていきたい」と中村氏。「再エネだけで快適に生活できるようにするには、もう少しだけ工夫が必要です。我々は独自の最先端テクノロジーでそれを実現していきたい。自然由来の優しい電気をもっと多くの皆さんに使っていただけるものにしていきます」と、力強く語った。
文/太田百合子 写真/江藤大作