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ビジネスシーンにおける「懸念」という言葉の正しい使い方

2025.03.11

懸念という言葉を、正しく使えているか気になる方もいるのではないでしょうか。懸念には物ごとを気にして不安に思うという意味があり、主にビジネスシーンで問題が起こりそうなときに使われる言葉です。本記事では、懸念の意味や使い方、類義語・対義語をご紹介します。

「懸念」とは?

懸念は、「けねん」と読みます。気にかかって不安に思うという意味です。

ここでは、懸念の意味や、懸念を使った言葉について解説します。

■懸念の意味

懸念は、気になって不安になるという意味です。「懸念を抱く」「先行きを懸念する」といった使い方をします。

懸念の「懸」は「ものに引っかかる」「心にかかる」という意味があり、「念」は「思い、気持ち」という意味です。これらを組み合わせ、「心に引っかかる思い」を表します。

懸念はもともと仏教用語で、「1つのことに心を集中させる」という意味もあります。

参考:デジタル大辞泉

■懸念を使った言葉

懸念を使った言葉に、次のようなものがあります。ニュースなどで聞いたことのある言葉もあるのではないでしょうか。

  • 懸念事項(けねんじこう)
  • 懸念材料(けねんざいりょう)
  • 懸念点(けねんてん)

懸念事項とは、今後問題が発生する可能性のある、気がかりな事柄や不安な物事を指します。ビジネスシーンやニュースなど、あらたまった場で使われることの多い表現です。

例文:反対意見があるのは、失敗につながる懸念事項が解消されないためだ

懸念材料は、心配や不安の対象となる事柄や、安心できない原因として残っている要素について使われます。

例文:流通経路が少ないなど、新事業には懸念材料がいくつもある

懸念点は、未来における不確実なことやリスクを指し、特にビジネスにおいて注意を払うべき潜在的な問題を表す言葉です。

例文:懸念点があれば、そのままにせずすぐに解決しておいた方がいい

懸念の使い方・例文

懸念の使い方については、実際の例文をみて確認していきましょう。

  • ライバルとなる店舗が近い距離に開店したことで、売上が減少するという懸念が生じている
  • このところ小さい地震が頻繁に発生しており、大地震の前触れではないかと懸念されている
  • 工場では何度も機械トラブルが発生しており、安全性への懸念が高まっている
  • 大きな台風が発生しており、今後の進路によっては災害の発生が懸念されている

懸念の類義語

懸念には、次のような類義語があります。

  • 懸案(けんあん)
  • 憂慮(ゆうりょ)
  • 危惧(きぐ)
  • 杞憂(きゆう)

それぞれの意味について、詳しくみていきましょう。

■懸案

懸案とは、以前から問題になっていながら、まだ解決されていない事柄を指します。

気にかかって不安に思うという意味では懸念と似ていますが、懸念は将来のことについて不安を覚えることを指すのに対し、懸案は以前から問題になっていることについての不安を表す言葉です。

(例文)

  • 新商品を開発する前に、これまでの懸案事項を解決しなければならない
  • 長い間の懸案が、経営トップの話し合いによりようやく解決した

■憂慮

憂慮と懸念は、どちらも将来の出来事に対する不安を表しますが、そのニュアンスは大きく異なります。憂慮は、すでに悪い状況が発生しており、それがさらに悪化する可能性が高いと強く感じている状態です。

一方、懸念は、まだ具体的な問題が起こっているわけではなく、将来、悪いことが起こるかもしれないという漠然とした不安を指します。

(例文)

  • 父親の病状が思わしくないため、彼女は憂慮していた
  • 被災地の救助は天候の悪化に阻まれ、憂慮すべき事態となっている

■危惧

危惧とは、悪い結果になりはしないかと心配し、おそれることです。心配し、不安になるという意味で懸念と共通しています。ただし、危惧の方が懸念よりも心配や不安の内容がより具体的で、程度も深刻なニュアンスがあります。

(例文)

  • 人手不足が深刻で、経営を維持できないのではないかと危惧している
  • AI技術の進化はめざましく、人間の仕事が奪われると危惧する声もある

■杞憂

杞憂とは、心配する必要のないことをあれこれと心配することです。取り越し苦労と言い換えることもできます。

杞憂という言葉は、古代中国の故事が由来とされています。古代中国にあった「杞」という国に「天が落ちてきたり地が崩れたりするのではないか」と余計な心配をしている男がいたという話があり、この話から「杞人憂天」という言葉が生まれました。

これが略されて「杞憂」という言葉になったとされています。

杞憂は「心配する」という点で懸念と似た言葉ですが、懸念はある程度根拠のある心配であるのに対し、杞憂は必要のない心配をしている点が異なります。

(例文)

  • 彼女は悪いことが起こるのではないかと心配していたが、何事も起こらず、杞憂に終わった
  • 杞憂かもしれませんが、その件は念のため上司に確認してみてはいかがでしょうか

懸念の対義語

懸念には、次のような対義語があります。

  • 安堵(あんど)
  • 確信(かくしん)
  • 放念(ほうねん)

安堵とは、気がかりなことがなくなったり、物事がうまく行ったりして安心することです。不安や心配をする「懸念」とは、対義語にあたります。

確信は、信じて疑わないという意味です。心配や気がかりな様子を表す懸念とは、反対の意味をもつといえるでしょう。

放念は、気にかけない、心配しないという意味です。「御放念ください(気にしないでください)」という使い方をします。「気にかける」という意味の懸念とは、対極となる言葉です。

懸念の意味を正しく覚えよう

懸念は気にかかって不安に思うという意味で、将来のことに対する心配を表します。ビジネスシーンや報道で使われることが多く、「懸念事項」や「懸念材料」という言葉で使われるケースもあるでしょう。

類義語には、「懸案」「憂慮」「危惧」「杞憂」があげられます。不安を表す言葉として共通していますが、それぞれのニュアンスや使う場面は異なります。違いを把握し、適切に使うようにしてください。

例文も参考にしながら、懸念の意味を正しく理解しましょう。

構成/須田 望

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