「いきなり!ステーキ」で知られるペッパーフードサービスが、今年12月6日に一人すき焼き専門の「すきはな 新橋銀座口店」をオープンした。肉の味わいをより堪能できるよう、野菜を提供しないスタイル。店員が目の前で焼き上げるすき焼きを一人一人提供する。
真新しいように見えるが、すでに2年前より肉だけの一人すき焼き店「すき焼き ちかよ」が存在していた。今回の新店をきっかけにいよいよメインのグルメトレンドになっていく予感もある。
すき焼きに限らず焼き肉店など、「肉だけ+一人」の肉料理店がトレンドになる可能性も。そこで今回はホットペッパーグルメ外食総研の研究員に、トレンドの背景を聞いた。
また2年前から存在していた肉だけの一人すき焼き店「すき焼き ちかよ」の実食レポも紹介する。
「肉だけ+一人すき焼き」のグルメトレンドの背景は?
ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員である田中直樹氏は、「肉だけ+一人すき焼き」のグルメトレンドについて、次のようにコメントする。
【取材協力】
ホットペッパーグルメ外食総研上席研究員
田中 直樹氏
2008年リクルート入社後、主に飲食領域を担当。2016年からは飲食グループマネージャーをつとめ、2024年からホットペッパーグルメ外食総研上席研究員に。飲みに行くのは専ら立ち飲みで、日常的に一人飲みも。
●「肉だけ」などの「特化型業態」のトレンド背景
「近年は肉だけ、餃子だけ、サーモン丼だけなど、何らかのメニューに特化した特化型業態の流れがあります。
店舗にとってはオペレーションがシンプルになり、価格も1品に松竹梅の価格バリエーションを設けることで客単価のコントロールもしやすいのが特徴です。
お客さんとしては、同伴者含めてメニュー選びに迷う必要がないのはもちろん、ドン・キホーテのフライドチキンの皮だけ弁当などに見られるような『自分のために作られたもの』といった特別感が味わえます。また、『自分がそれほど食べたくないものにはお金を払いたくない』『好きなものにならお金を払える』といった、価格を抑えながらプチ贅沢を楽しみたいという若者のコスパ志向にもフィットしていると思います」
●「一人外食」のトレンド背景
「飲食店にとっては提供スペースを簡略化することで、比較的小さな物件での開業が可能なため、コストを抑えることができ、少数精鋭での営業も可能なためフットワークが軽いと言えます。
お客さんにとっては『好きなものを好きなだけ』『他人を気にせず自分のペースで』と、嗜好に合わせて気軽に利用できるため、こちらもフットワークが軽くなります。
個の時代といわれ、変化の激しい世の中において、フットワークの軽さは店側客側共にフィットするのかもしれません」
肉だけの一人すき焼きは、2つのトレンドを掛け合わせた業態。「肉だけサッと気軽に楽しみたい」コスパやフットワークの軽さを求める客側にとって気になる店といえそうだ。