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世界を周って気づいた日本の「マナー教育」の凄味

2024.12.22

日本のマナー教育はすごい。世界をまわってみると、改めてそう感じます。世界には、残念なことにマナーを感じることが難しい場面が多く存在します。実は、マナー教育を受けることができるのは、決して普通のことではないのです。マナー教育を受けるべき年齢には「期限」があると考えますし、そういったマナー教育が日本できちんとなされていることにも理由があるように感じます。これについて、私が外国で感じた「日本とのマナーの格差」について触れながら、詳細に述べていきます。

外国で感じた「マナーの格差」

私が世界をまわっていると、さまざまなところで日本とのマナーの違いを実感します。例えば、外国の公衆トイレに関しては、まずは清潔さが違うところがあります。日本のトイレは常に清潔に保たれているところが多いイメージですが、外国のトイレは、個室に入る際はドアを開けるのに勇気がいるほどです。トイレに関しては、まだあります。私がある日、飛行機に乗った際にトイレを利用したとき、前に入っていた外国の方のあとに続けてトイレに入ったら、驚くほど個室が汚れていたことがあります。こういったとき改めて、日本人は「自分のあとに使う人のこと」をきちんと考えて清潔にしているんだな、と感じます。

また、トイレで手を洗った後の所作にもマナーの違いがあります。この違いは特に子どもに多いイメージです。日本の子どもは手を洗ったあと、きちんとタオル、ハンカチで手を拭く子が多いです。一方で、アメリカの子どもにはパッ、パッ、とその場で手を払って水を切る子がいます。ここにも「マナーの格差」を感じます。

私がとある国の空港で列に並んでいたときも、びっくりさせられました。なんと、次々に列に割り込んで、私の前に入ってくるのです。日本では、あまり考えられない状況です。「他の人のことを考えている」とは考えづらい行為です。また、外国にも靴を並べて入れるための「靴箱」がありますが、ある国では靴箱の必要性すら疑うほど、無秩序に靴が放り投げられているのを見ました。いっぽうで、日本人は小さい時から靴を揃えて置く習慣があります。

このように、日本と外国では、さまざまな場面において「マナーの格差」があるように感じます。しかし、こういったマナーは、実は、ある程度年齢を重ねてしまってからだと非常に身につけづらくなるのです。

マナーの教育は6歳までに

私がいつも子どもを育てる際に気をつけていることの一つとして、「マナーの教育を6歳までに行う」ことがあげられます。脳科学や幼児教育の研究において、「人間の脳は6歳までには90%完成する」ことが明らかになっています。また、ユニセフが発行した「世界子供白書2001」には、「子ども時代の初期では、親や家族やその他の成人との関係や対話が子どもの脳の発達に影響し、十分な栄養や健康や綺麗な水などの要因と同じくらい影響力を持つ。この期間に子どもがどのように発達するかが後の学校での学業の成否を決め、青年期や成人期の性格を左右する。」とも記されています。

幼児期の教育として、読み書きや計算などの勉強をさせている方もいらっしゃいますが、私はマナー・正しい生活習慣を学ぶ方がより重要であると考えています。「先取り学習」をした子どもは、小学校4年生の段階で、「先取り学習」をしなかった子に学力で抜かされる可能性が高いことが、アメリカのボストンカレッジで心理学の研究教授を務めるピーター・グレイ教授の論文にて、示唆されています。

一方で、6歳までにマナーをきちんと身につけると、年齢を重ねても、なくなることがありません。上述した内容にならうなら、「トイレはいつも清潔にする」「手を洗った後はきちんとタオルなどで手を拭く」「列は割り込んで入らない」「靴はきちんと並べて置く」といったことを6歳までに身につけておくと、これらの習慣は年をとっても無くならないのです。しかし、このように6歳までに身につけるべき習慣、マナーを列挙したときに、そもそもマナー教育を受けるのには実は「条件」があるのではないか、と感じます。

日本で「マナー教育」を受けることができる理由

世界各国の事情と、マナーを並べて考えたとき、マナーに欠けていると感じる国では、心の余裕を持てていないところが多いのではないか、とも思います。たとえば、生きるか死ぬか、を賭けて日々暮らしている国においては、「他の人のことを考える」といった習慣があまりないように感じます。他の人のことを考えて行動していたら、競争に負けて、生きていけない可能性すらあるからです。つまり、マナー教育は、「人の心を思いやる余裕」があってこそ成り立つものなのではないでしょうか。

日本は、「人の心を思いやる余裕」が持てる程度に、日常が安定しているように思います。世界をまわって見渡してみると、これはとても「普通」とは言えないのではないか、むしろ非常に恵まれているのではないか、と感じます。こういった恵まれた環境下で、「マナー教育」を怠ってしまうのは、もったいないことのように感じます。ぜひ、推奨する6歳までに、「マナー教育」をしっかりと子どもに受けさせてみてはいかがでしょうか。

文/中内玲子

なかうち・れいこ。台湾生まれ、日本育ち、アメリカ在住のトリリンガル(日・英・中)。3人の子どもたちもトリリンガルに育てた、2男1女の母。グーグルなどシリコンバレーの企業に勤める親たちから人気の日英バイリンガル幼稚園Sora International Preschool創立者。AMIモンテッソーリ国際免許取得。サンフランシスコ州立大学音楽学部を卒業後、モンテッソーリの幼稚園勤務を経て、2007年に自身の理想の教育を実現する教育施設をつくり、2011年にカリフォルニア州認可幼稚園を設立。教育事業のアドバイスをするコンサルタントとしても活躍中。

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