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【未来オムニプレゼンス 】教育現場で活きる生成AIの未来とは?

2024.12.30

未来オムニプレゼンスは、カトウとスズキによって運営されるSFプロトタイピングカンパニーだ。彼らの使命はクライアントからの依頼に基づき、未来を「予測」するのではなく、未来を「創る」ことにある。

今回のクライアントは、生成AIの影響に悩む教育機関エデュコム高校だ。

学部長タカシマ氏は、生成AIの普及による教育の変化に危機感を抱いていた。学生たちはAIを使って論文や課題を生成するようになり、学びの本質を見失いつつある。生徒は自ら考えることを避け、AIに頼る姿勢が広がっていた。

依頼を受け早速ふたりは今回のSFプロトタイピングに取り掛かった。AIを使った10年後の明るい未来を提示するべく、未来オムニプレゼンスが作り上げたストーリーは次のものである。

SFプロトタイピング – CASE018:教育現場で活きる生成AIの未来

2034年の学校教育の現場では、生成AIが単なる知識供給や解答提供のツールではなく、学びの「挑戦者」や「パートナー」として機能し、生徒がAIと共に学びのプロセスを深める新しい形を提示していた。

今日もエデュコム高校では、生成AIを存分に活かした教育が行われている。10年前に比べれば遥かに学びの深度が増し、それでいて効率的な学習ができるようになったと、学部長のタカシマ氏は思いを馳せていた。

校舎内をまわっていると、ある教室で気候変動に関するディスカッションが行われている机を見つけた。

これは、AIが生徒の「挑戦者」として対峙するケースの良い例だ。この場合、AIは生徒に知識を与えるだけでなく、生徒と対話し、議論する存在なのである。タカシマ氏は邪魔にならないようにそっと後ろから様子を伺った。

AI:「温暖化の進行によって、世界の海面が上昇し続けているが、それが本当に人間活動だけの結果だと言えるのか? 他の自然要因も考慮に入れるべきではないか?」

生徒:「確かに、火山活動や太陽の活動も影響しているかもしれませんが、産業革命以降のデータを見る限り、人間活動の影響が一番大きいと思います」

AI:「その意見も有力だ。しかし、データを検討する際、何を基準に『影響が大きい』と判断するかも重要だ。どの基準で評価すれば最も適切だと思う?」

生徒:「そうですね…温室効果ガスの排出量や森林破壊などを考える際に、その継続性や変化を起こした割合などを数値として比較できるようにしたら、もっと具体的に見えてくるものがあるかもしれません」

タカシマ氏は優しく微笑みながら、この様子を見ていた。「生徒はAIとの議論を通じて自らの考えを深め、探求する力を養うことができるわ。AIは単なる知識を提供する存在ではなく、生徒の『挑戦者』として常に新しい視点を提供し、生徒の思考力を引き出す役割を果たす。かつての教室ではこんなことはなかった。AIはただ解答を生徒に示すだけの存在だったのに…」心の中でこの10年の変化に驚きながら言った。

タカシマ氏が隣の教室へと移動すると、そこでは数学の授業が行われていた

「数学はAIが『パートナー』として活きるのよね」そう呟くと、ひとりの生徒の後ろで立ち止まり、またもや様子を伺うことにした。「どうやら数学的な思考そのものに悩んでいるようね。AIはリアルタイムで生徒の学習進度を分析し、最適なフィードバックを提供するはずだわ。お手並み拝見ね」

生徒:「何かが腑に落ちないんだ。この定理は理解できるけど、なぜこの解法が最も効率的なのかが分からない。ただ公式を使って解くのでは、数学的な思考をしている感じがしないんだ」

AI:「君が感じているのは、公式をただ暗記して使うことに対する違和感だね。定理の背後にある原理や論理を深く理解したいという気持ちだろう。基本に戻って、解法の根本にある考え方をもう一度見直してみるのはどうだろう?」

生徒:「確かに、それが分かればもっと納得できるかも。でも、基本から始めると、どうしても遠回りしてしまう感じがして、ゴールまでの道筋が見えなくなるんだ。」

AI:「数学の美しさは、複数のアプローチを試しながら、その中で最適な道を見つけ出すことにある。2つの方法を考えてみよう。1つは、全てのステップを丁寧に証明しながら進む方法。もう1つは、定理を使って短縮して進む方法だ。これらを比較してみることで、効率性の裏にある理由が見えてくるかもしれない」

生徒:「確かに…。そのアプローチで試してみるよ。そうすれば数学的な思考が深まる気がする」

このように、AIは生徒の悩みを深く理解し、ただ解法を教えるのではなく、思考の過程を通じて数学を探求させる。複数のアプローチを提案することで、生徒が数学に対して感じる「なぜ?」に応え、数学的思考の深さを引き出す役割を果たす。タカシマ氏が満足したのは言うまでもない。

「本当にこの10年で、教育現場は変わったわ。学校は、単に知識を与える場ではなく、生徒同士が協力し合い、共に学びを深める場になった。もちろん、それは本来あるべき学校の姿なのだけれど、教育現場のシステム自体が大きなパラダイムシフトを経験した気がする」

タカシマ氏は、そんなことを考えながら数学の教室を出た。AIが知識や課題を提供する一方で、教師は対話を通じて生徒が学びの過程から何を得るべきかを導くガイドとしての役割を果たしていた。生成AI は教育現場の歯車として、抜群に上手く機能しているわけである。

別の教室では、科学の実験プロジェクトを進める生徒たちがいた。吸い込まれるようにタカシマ氏は入って行った。そこではAIのサポートを受けながら、教師と共に生徒たちが協力して研究を進めている。

「S先生は、当初はAIに戸惑いも持っていたわね。上手くやれているかしら?」タカシマ氏は少し緊張感を持って、様子を眺め始めた。

教師:「AIが提示した結果をそのまま採用するのも一つの手段だけど、君たち自身の意見も反映させることが重要だよ。どこに独自性を持たせるか考えてみようか」

生徒A:「AIの分析はすごく正確だけど、どうも自分たちのアイデアが少し弱い気がする。もっとオリジナルなアプローチができないかな?」

生徒B:「じゃあ、結果を踏まえつつも、私たちの独自の仮説を基に新しい実験方法を試してみるのはどうだろう?AIが導いたデータに頼るんじゃなく、自分たちの手で解決策を見つけたいよね」

教師:「それはいい発想だね。AIを活用しながらも、君たち自身の視点を大切にして、独自の仮説を試してみよう。科学の探求は、データだけではなく、新しい問いを見つけて、それに挑戦することに価値があるんだ」

生徒A:「じゃあ、AIが提示したデータを参考にしつつ、自分たちで別のアプローチを考えてみよう」

生徒B:「うん、試行錯誤しながら新しい方法を模索してみようよ。AIと一緒にやれば、今まで気づかなかったことが見えてくるかもしれない」

タカシマ氏は、足取り軽く教室を後にした。


以上が、今回納品された、未来オムニプレゼンスによるSFプロトタイピングのストーリーである。

後日、カトウとスズキはエデュコム高校の会議室でタカシマ氏と再会した。

「読ませていただいたわ」タカシマ氏が真っ先に口を開いた。

「いかがでしたか?私たちが描いた2034年のAIと共存する教育の姿は。AIは単なる知識の供給者ではなく、生徒に対話を通じて学びのプロセスを与える存在になります。AIが生徒の『挑戦者』や『パートナー』として機能し、生徒自身が深く考え、成長するための手助けをします」カトウは自信を持ちながらそう言った。

「その未来では、教育の現場で生成AIは重要な歯車として機能しているのです」とスズキが続く。

「教師は生徒とAIの間に立って、生徒が感情や価値観に向き合う手助けをする存在です。AIとの対話によって、生徒が自らの考えを深め、協力し合いながら学びを進めていく環境を作り上げます」

タカシマ氏は改めてプリントアウトされたストーリーをじっくりと見つめ頷きながら言った。「AIが生徒の良きパートナーになり、教師にも新たな役割がある…これは新しい視点ですね。今までの教育システムにはない未来を感じます。そして、希望も」

「そうなんです。私たちが提案する未来は、AIと生徒が協力し合い、同時に挑戦し合う環境です。AIがサポートすることで、生徒たちはより自律的に、かつ創造的に学びを進められます。そして、教師がその成長を見守り、感情や倫理的な指導を行う役割を担うのです」とカトウが応じる。

タカシマ氏は深く息をつき、未来のビジョンを思い描くように静かに目を閉じた。

「この提案は、私たちにいろんなビジョンを考えさせる未来の教育の姿です。AIと人間が共に学び合う新しい形が見えてきた気がします」タカシマ氏は、救われた気持ちになりながら、そう口にした。

後日、エデュコム高校は、未来オムニプレゼンスによって描かれた10年後の教育の姿を基に、AIと共存する新しい教育システムの導入を進めることにした。生成AIが単なる知識供給のツールに留まらず、生徒たちに挑戦を与え、共に学び成長するパートナーとして機能する未来へ進もうとしている。

「未来は予測するものじゃなく、創り出すものだよね。今回で言えば、AIがどれだけ進化しても、人間の学びの本質は変わらない。僕たちはAIと新しい未来で共存できる」カトウはエデュコム高校の決定を知ると、そうスズキに話しかけた。

「そうだね。オレたちのSFプロトタイピングがその最初の手がかりになると思うと、こんな楽しい仕事はやめられないよ」スズキは嬉しそうに応えた。

企業が直面する課題に対して、SF的想像力をもとにした現状にとらわれない発想を行う未来オムニプレゼンスのリアリティのあるストーリーは注目を集めようとしている。

「さあ、次の依頼に向けて準備を整えよう。未来はまだまだ、僕たちを待っているからね」

と、カトウが微笑みながら言った。

文/未来オムニプレゼンス

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