2022年度からの学習指導要領で必修化となっている、プログラミングやデータ活用法などを学ぶ「情報Ⅰ」の授業。
実際のところ、履修する高校生のうちどれくらいが授業内容を理解し、また、今年度の大学入学共通テストで利用する人はどれくらいいるのだろうか?
スタディプラスのStudyplusトレンド研究所はこのほど、学習管理アプリ「Studyplus」上で全国の高校生を対象に「情報Ⅰの取り組みに関するアンケート」を実施し、1,673名から回答を得た。
約6割が高校入学前からPCに触れる機会あり、小学生になる前からの人も
「自宅でパソコンを使うことはあるか、またいつから使っているか」と質問したところ、約3割が「自宅でパソコンを使っていない」と回答した一方で、6割近くが高校に入る前からパソコンを使った経験があることがわかった。また、6.2%と少数ながら「小学生に入る前から使っている」と回答した人もいた。
「今まで学校以外でプログラミングを習う機会はあるか」と尋ねたところ、33.0%が「ある」と回答した。他の世代と比較したデータではないため一概には言えないものの、おそらくZ世代より上の世代が高校生だった頃よりもプログラミングが身近なものになっているのではないかと推察できる。
高校生の7割が授業内容「難しい」女子はより顕著な傾向
「『情報Ⅰ』の授業内容をどの程度難しいと感じるか」と尋ねたところ、全体の約68%が「かなり難しいと感じる」または「難しいと感じる」を選択しており、授業の難易度が高めであることがうかがえる。
また、男女別で見てみると、「かなり難しいと感じる」または「難しいと感じる」を選択した人は男子に比べて女子のほうが16ptほど上回る結果となった。
「情報Ⅰ」の授業の中で難しいと感じる学びの内容について具体的に聞いたところ、「プログラミング」(73.7%)に関する学びが難しいと感じる人が多い結果となった。学校以外で触れる機会も少なく、授業の内容だけで理解を深めるのはなかなか難しい領域なのかもしれない。
「『情報Ⅰ』の授業を担当している先生が、この分野を理解して授業を受け持ってくれているか」と聞いたところ、66.5%が「はい」と回答した。一方で、33.5%と約3割の学生は先生の理解度が不十分であると感じていることがわかった。
高校3年生の78.8%が入試で情報Ⅰを「利用する」、“国公立志望なら必須”が背景に
来月行われる今年度の大学入学共通テストからは、「情報Ⅰ」が出題教科に追加されている。そこで「大学入試で『情報Ⅰ』を利用するか」と尋ねたところ、来月の共通テストの受験対象となる高校3年生は78.8%が「はい」と回答し、約8割が利用予定だとわかった。
また、まもなく受験学年となる高校2年生でも66.5%と6割以上が利用予定と回答した。さらに、受験勉強が本格化するまでまだ猶予があるはずの高校1年生でも、利用する予定の人が44.7%と半数近くにのぼった。
「情報Ⅰ」を利用すると回答した人を対象にその理由を尋ねたところ、ほとんどが「国公立を志望しており、必須だから」(95.8%)という結果となった。その他の理由としては、「得意な科目で得点源にできる」が2番目に多く、あえて選択するという人もわずかながらいるようだ。
「情報Ⅰ」を利用すると決めた時期について聞いてみたところ、一番多かったのは「高校1年生の4~6月」(39.6%)となった。高校3年生のみに絞っても同じ結果となった。これは、「情報Ⅰ」が受験科目に必須となっている「国公立大学への受験」を高校1年生の早期から見据えているためではないかと考えられる。
「情報Ⅰ」を受験科目として使う予定の人を対象に、「情報Ⅰ」の受験勉強をどの程度しているのか聞いたところ、他の教科に比べて時間を割いていないと答えた学生が9割以上となった。
具体的な受験対策としては、学校の授業での内容や教科書で対策している人が61.9%、それ以外に参考書や問題集を購入して対策している人が26.7%となっていた。他の5教科とは異なり、基本的に学校の授業で習ったことや授業中に使った教科書で十分対策できる範囲なのかもしれない。そのためか、「対策していない」と回答した人も12.0%と少なくない。
受験対策においてはどのような点に難しさがあるか聞いてみたところ、「過去問などの情報が揃っていないこと」をあげる人が65.3%と6割以上となった。
中には、
・配点が高いので悩みの種。勉強法がわからない「情報Ⅰ」が増えて負担が大きい。
・模試の時間が長くなり精神的にも身体的にも厳しい。
・模試のレベルのものが当日出題されるのか不安になる。
・5教科でも精一杯で余裕がない。
といった回答も見られ、学生の間でも負担の増加や初めての科目ということで混乱が生じていることがうかがえる。