様々なツールが登場した現代であっても、「年賀状」は普段会えない人へのコミュニケ-ション手段として一定の支持を集めている。
パイロットは、日本のお正月の習慣で手書き文化の象徴ともいえる「年賀状」をテ-マに、毎年『ビジネスパーソンの年賀状に関するアンケート調査』を行っている。
今回で45回目となる本調査は、ビジネスパーソンを対象に11月15日(金)から約2週間にわたり調査を実施したので、結果をお伝えしよう。
1.年賀状を「出す」人は引き続き減少傾向。郵便料金の値上げは年賀状にはあまり影響無し?
2025年の年賀状を出すかどうかを尋ねた<年賀状の予定 1-1>では、年賀状を「出す」と答えた人は42.0%となり、引き続き減少傾向にあることが判明。昨年調査と比べ、1.8ポイント減となった。
<年賀状を出す理由 1-2>では、「新年の挨拶として」(71.3%)、「日頃、御無沙汰しているので」(52.3%)、「毎年、年賀状をもらうので」(38.0%)がトップ3に。
一方、<年賀状の予定1-1>で、年賀状を「出さない」と答えた人に<年賀状を出さない理由 1-2>を聞いてみると、「LINE等メッセージアプリで代用」(65.6%)がトップとなり、次いで「準備が面倒」(50.6%)という回答が半数を超えた。
2024年10月1日から値上げされた郵便料金については、「出さない」理由を「郵便代の値上げなどコストがかかるため」と選択した回答数は昨年の同調査から4.4ポイント増の13.8%となったが、他の「出さない」理由で、「LINE等メッセージアプリで代用」も同様に微増しており、郵便料金の値上げは出さない理由に大きくは影響していないことがうかがえる。
2.年賀状を出す枚数は平均「35枚」。もらってうれしい新年の挨拶は「LINE」と「年賀状」が2トップ
<年賀状を出す枚数 2-1>は、平均「35枚」となり、昨年の調査より微減という結果に。仕事・会社関係が「7枚」と昨年と比べ大きく減少していた。同僚の住所を知らないなどの要因も考えられる。
今回の調査での年賀状を出す予定枚数の最多は40代女性の「150枚」となった。
<新年の挨拶でもらってうれしい方法2-2>の問いには、「LINE等メッセージアプリ」(68.0%)がトップ、次いで「年賀状」(64.0%)。新年の挨拶は「LINE」か「年賀状」の2トップを占めた。
また、実際に<年賀状が届くとどう感じるか 2-3>を聞いてみると、84.6%の人が「うれしい」と回答し、年賀状をもらうことは今でもうれしいと感じる人が多いようだ。
3.もらってうれしい年賀状は「手書きのコメント」などオリジナルの内容や近況がわかる年賀状
具体的に<年賀状をもらって一番うれしい相手 3-1>を聞いてみると、「友人・知人」(53.3%)がトップで、次いで「親類関係」(13.3%)、「特にいない」(12.1%)という結果に。
<届いてうれしい年賀状のタイプ 3-2>を聞いてみると、「手書きのコメント入り」(78.7%)が多くの支持を集めてトップとなり、次いで、「家族や子どもなどの写真が入っているもの」(9.2%)、「手書きのイラスト入り」(4.9%)などのオリジナルの内容や近況がわかる写真入りの年賀状の人気が高いことがわかった。
また、<届いた年賀状のどこが一番気になるか 3-3>では、「添えられたメッセージの内容」(75.4%)が多くの支持を集めている。
次いで、「写真(誰が写っているか)」(10.8%)、「デザインのおもしろさ」(9.2%)など、「年賀状を出す人の個性が気になる」という声があった。
4.年賀状は身近な人や過去にお世話になった人に出したい。「仕事関係に出したくない」という意識は減少傾向
<誰に年賀状を出すか 4-1>を尋ねると、「友人・知人」(89.0%)がトップになり、「親類関係」(58.5%)が続いた。
また、「学生時代の先輩・後輩」(33.5%)、「恩師・恩人」(31.7%)など、長い付き合いのある、お世話になった人に年賀状を出すという声も見られた。
また、<できれば年賀状を出したくない相手 4-2>について聞いてみると、半数以上が「出したくない人はいない」(50.8%)と回答。
次いで、「会社等の上司」(30.8%)、「会社等の同僚」(25.4%)、「取引先」(24.1%)、「部下」(18.7%)と仕事関係がランクインしたが、仕事関係は前回調査からいずれも数字を下げ、「仕事関係に出したくない」という意識が減少傾向にあることがうかがえた。
5.年賀状を出す人の9割以上が「手書き箇所あり」
<年賀状の手書き箇所の有無 5-1>について、年賀状を出す人の多くが「手書き箇所がある」(92.1%)と多くの支持を集め、昨年調査(83.3%)からも大きく数字を増やした。今年は手書きのメッセージを添える意向が高い様子がうかがえる。
また、<手書き箇所がある 5-1>と答えた人(N=151)に、<手書きする理由 5-2>を聞くと、「気持ちが伝わる感じがするから」(65.6%)、「手書きの箇所がまったくないとDMのような感じがするから」(65.6%)が同数で上位に。
次いで、「自分が手書きの年賀状をもらうと嬉しいから」(55.0%)が入った。「手書き」は気持ちを伝えることのできるツールとして考えている人が多いようだ。
実際に、<手書きに使う筆記具はなにか 5-3>という質問では、インキの色や種類も豊富な「ボールペン」が80.8%と多くを占め、次いで「サインペン」(27.8%)、「筆ペン」(13.9%)が続いた。
6.半数以上が「年賀状」は「必要」と考えており、今でももらって嬉しいことは変わらない
<今後、年賀状の習慣は必要か6-1>について尋ねたところ、昨年から微減したものの半数以上の人が「必要」(53.3%)と答え、年始の習慣である年賀状には一定の支持がある現状がわかった。
それぞれの理由を聞いてみると、「必要」(N=208)と答えた人の中で、「年賀状をもらうと嬉しい」(52.5%)がトップで、年賀状は今でももらって嬉しいものであることがこの結果からもわかる。
また、「会えない人との連絡が途絶えてしまい困る」(48.8%)と普段会えない人との連絡ツールとして考えている人や、「お正月らしくなくて寂しい」(43.8%)など季節の風物詩として重視する人がいるようだ。
一方、「不必要」(N=182)と答えた人の理由を聞くと、準備を手間と考えている人(61.5%)や人間関係に悩まなくてすむ(59.9%)、SNS等別の手段で代用できること(57.1%)を理由に「不必要」と考えていることがわかった。
調査概要
調査期間: 2024年11月15日(金)~11月29日(金)
サンプル数(概数): 390人
調査対象: 企業・団体等に勤務する20代~60代のビジネスパーソン
調査方法: 質問用紙の配付・回収による無記名留置調査
*集計データのうち注釈なきものはすべて単数回答を百分率化した。
*単一回答でも小数点の都合上合計値が100%にならないものもある。
*複数回答可の設問では合計値が100(%)を超える。
構成/Ara