京王電鉄は新宿駅および府中駅にアサヒ飲料の「CO2を食べる自販機」を設置しているが、今回は回収したCO2吸収材を配合したコンクリート製ケーブルトラフ(電気配線用ケーブルを収容する保護管)をアサヒ飲料、およびアゲオと共同開発。
2024年12月18日より、京王電鉄施設内の浜田山駅~高井戸駅間に導入した。
なお、この取り組みはCO2資源循環モデルの推進を目的として実施されているものだ。
CO2 吸収材を配合したコンクリートケーブルトラフ
本件のポイント:脱炭素社会の実現に向けた取り組み
・アサヒ飲料「CO2を食べる自販機」を活用したCO2資源循環モデルの推進は、国内の鉄道会社初の取り組みとなる。
・ケーブルトラフに使用されるコンクリートの原料に、CO2吸収後の吸収材を配合することで、本ケーブルトラフの制作過程でのCO2排出量は従来と比較して274.89kg/立方mと9.2%減を実現。
・京王グループでは、「京王グループ理念」で掲げている「環境にやさしく」に基づき、環境に配慮した事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目指す。また、地球環境保護を目的とした機器の導入や省エネルギー施策の着実な推進、再生可能エネルギー由来の電力の活用検討等、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めていく。
本件の概要
■CO2を食べる自販機
自販機は周囲の空気を吸い込み、商品の冷却・加温をしているため、空気の通り道である商品取り出し口の下側にCO2を吸収する特殊材(CO2吸収材)を設置することで、大気中のCO2を効率的に吸収できる。
CO2吸収性能として1台当たりのCO2年間吸収量は稼働電力由来のCO2排出量の最大20%を見込んでおり、スギ(林齢56〜60年)に置き換えると、約20本分の年間吸収量に相当する。
■吸収したCO2の活用
アゲオにて、新宿駅と府中駅のCO2食べる自販機から吸収したCO2吸収材をコンクリートの原料に配合したケーブルトラフを製造。浜田山駅~高井戸駅間の約165m分のケーブルトラフについて、このタイプに交換した。
■ケーブルトラフを製作する過程で削減したCO2排出量
ケーブルトラフに使用されるコンクリートの原料に、CO2吸収後の吸収材を配合することで、従来のCO2排出量は302.87kg/立方mに対して、本ケーブルトラフの制作過程では従来と比較して9.2%減となる274.89kg/立方mとなった。
■今後の展望
今回の発表に際して京王電鉄は、「当社では本取り組みを機に、2025年度以降も順次、CO2吸収材を配合したケーブルトラフの導入を進める等、環境に配慮した活動を行なってまいります」とコメントしている。
構成/清水眞希