世界中の言語をパズル感覚で学べる本、 難関大学入試の悪問・奇問を鋭く斬る痛快な歴史本、 そして、パズルをアルゴリズムで解き明かす本。
遊び心満載なのに、知的好奇心と論理的思考を刺激する、 大人におすすめの3冊です。 年末年始の休暇に、脳トレに挑戦してみませんか?
「burjayn:2つの塔」「bahr:1つの海」……
ではBahrayn(バーレーン)は?
『パズルで解く世界の言語 言語学オリンピックへの招待』
著/国際言語学オリンピック日本委員会 監修/風間伸次郎
研究社 1760円
国際言語学オリンピック日本代表メンバーによって執筆された、世界の言語をパズル的に楽しめる本。言語学オリンピックというのは「多数の言語を自在に操れるマルチリンガルが出るもの」と想像する人も多いかもしれませんが、実際には語学力というよりも「初めて見る言語から文法などの法則を見出して解読する」というようなパズル的能力が問われる競技なのです。
本書では国際言語学オリンピックの問題をベースとし初心者向けにアレンジして作られた問題が収録されており、51の言語にふれることができます。「外国語はせいぜい高校英語くらいまで……」という人でも問題なく楽しめます。世の中にはこんな不思議な言語もあるんだなぁというおもしろい発見がありますし、外国語を勉強する意欲もわいてくる。分析力や論理的思考の訓練にも効果的です。
ギャグみたいな悪問を論破する知的なお遊び
『絶対に解けない受験世界史4 悪問・難問・奇問・出題ミス集』
著/稲田義智
パブリブ 2750円
〝世界史の鬼〟とも言うべき博覧強記な筆者(東大文学部卒)が早慶国立ほか難関大学の世界史の入試問題で実際に出された無茶な問題をぶった切るという痛快な歴史本シリーズ待望の第4作。
明らかに高校世界史の範囲を逸脱している難問・奇問や、難易度を上げるためだけに変に捻りすぎたせいで解答不能になってますよねと思える悪問が多数収録されており、普通なら「こんなの解けるか!」で終わるところを無理くり正解を導き出そうとする試みがまるで極上なパズルのようで実におもしろい。
難関大学の入試問題なので内容はやや難解ですが、鋭いツッコミを入れながら解説してくれる軽妙な文体がとても小気味よく、世界史に全然詳しくなくても笑いながら読めます。そしていつのまにか歴史の教養が身についちゃうのです。筆者の博学さと文才に脱帽。
パズルをロジックではなく、演算で無理矢理解く!?
『パズルで鍛えるアルゴリズム力』
著/大槻兼資
技術評論社 2948円
数独、虫食算、覆面算といった多種多様なパズル。普通は「この枠にはこの数字しか入り得ない」というところを見つけるなどしてロジカルに一歩ずつ埋めていく形で解くものですが、そうではなくコンピュータという文明の利器を使い、考えられる選択肢を総当たりで試すなどの方法で解を無理矢理導くとしたらどんなアルゴリズムを組んだらいい?というのを考える本です。
「ロジックで解く」のと「プログラミングで解く」のとではアプローチの方向は全く異なりますが、「問題解決のための論理的な考え方」が必要な点は同じ。多面的なモノの見方ができる力も身につきます。コラムも充実しており、「四色問題」「油分け算」など古今東西のパズルのおもしろ話や、バイオインフォマティクスなど最新技術へのパズルの応用の話などもたいへん興味深く楽しめます。
〈選者〉資格・勉強コンサルタント 鈴木秀明さん
All About「資格」ガイド。東京大学大学院修了。米国公認会計士、気象予報士、中小企業診断士ほか980以上の資格を取得。著書に『7日間勉強法』『小学生にもとれる! 資格・検定カタログ』など。
撮影/黒石あみ