温暖化対策として削減が進められている温室効果ガス。CO2の排出量が全産業の約4割を占めるのが建設業関連だ。そのため、同業界の各社ともCO2抑制に関する技術開発を行なっている。そのひとつが、鹿島が建設する環境配慮型コンクリートドーム「CUCO-SUICOM(クーコスイコム)ドーム」(愛称:サステナドーム)だ。2025年に開催予定の日本国際博覧会(大阪・関西万博)へ向けて建設が進められている。
環境配慮型コンクリートドーム
同ドームの特徴として2点が挙げられる。1つ目は「KTドーム」という新工法で、ポリ塩化ビニル(PVC)の膜を膨らませたものを型枠とし、内側からコンクリートを吹き付けて構築する。柱や梁がない大空間を構築でき、工期の短縮や建設コストの低減も可能だ。
2つ目は、CO2排出を大幅に抑える2種類のコンクリート。躯体に用いる「ECMコンクリート」はセメントの代わりに高炉スラグ微粉末を60~70%使用し、製造時のCO2排出量を60%程度低減する。さらに、CO2を吸収・固定して硬まるカーボンネガティブコンクリート「CUCO-SUICOMショット」を躯体の一部に使用することで、ドーム全体で70%(約18t)のCO2が削減できるそうだ。
【DIMEの読み】
CO2吸収コンクリートを鉄筋コンクリートとして建築構造の躯体へ適用するのは、世界で初めてのこと。将来的には、ビルやマンションなど、より身近な建築物でも活用されることが期待される。
地球環境の課題解決につながる技術を世界中の人々にお披露目!
万博会場内に建設される「CUCO-SUICOMドーム」(画像はイメージパース/提供:鹿島)。万博会期中は環境教育の場として使用予定。本事業はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)グリーンイノベーション基金事業で進められている。
CO2の排出を抑える2種類のコンクリートを使用
コンクリートにCO2を固定する「CUCO-SUICOMショット」はCO2排出量を抑制するだけでなくCO2の固定で強度が高くなる利点も。
取材・文/小口 覺