ABB FIAフォーミュラE世界選手権のシーズン11の開幕戦が、2024年12月7日にブラジル・サンパウロにて開催され、最後尾スタートのミッチ・エヴァンス(ジャガーTCSレーシング)が、全車を抜いて優勝するという波乱の結末となった。
新型マシン「GEN3 Evo」の初レースとなった今大会は2回の赤旗など波乱の展開に
新型マシン「GEN3 Evo」の初レースとなった今大会。予選でエヴァンスはトラブルに見舞われ、決勝はグリッド最後方からのスタートとなったが、111回のオーバーテイク、首位となったドライバーが5人、そして2回のレッドフラッグなど、目まぐるしく順位が変わる劇的な展開の末、グリッド最後方からのスタートで勝利を飾った初のドライバーという栄冠を手にした。
その他のドライバーでは、オープニングプラクティスセッションで首位となったオリバー・ローランド(ニッサン フォーミュラEチーム)は、力強いパフォーマンスを見せるも、レース終盤にドライブスルーペナルティという厳しい判定を受け、勝利を逃す結果に。
NEOMマクラーレン・フォーミュラEチームのテイラー・バーナードとサム・バードが、混乱に乗じてそれぞれ17番手と16番手から3位と4位でフィニッシュとなり、見事な追い上げを見せた。
特にテイラー・バーナードは、20歳と189日目という年齢で表彰台に立ち、これにより2015年にダニエル・アプトの最年少記録を更新している。
今大会の結果を受けて、エヴァンスはドライバーズランキングで、NEOMマクラーレンはチームランキングで首位に立った。次戦は、シーズン11第2戦となり、2025年1月11日にメキシコシティで開催される。
■ジャガーTCSレーシング:ミッチ・エヴァンス(No. 9)のコメント
正直、今回のレースは自分にとっても驚きの展開でした!予選では、不運に見舞われ、1周もできずに最後尾からのスタートとなったので、このような結果になるとはまったく予想していませんでした。 何ポイントか獲得してシーズンをスタートできればいいと思って臨みましたが、気づけば1周目で18台抜いて、すぐに上位に位置することができました。そこからは、より多くのポイントを獲得して表彰台にも上れるかもしれないと考え、気持ちを切り替えました。いくつかのクラッシュにより、他のドライバーがダメージを負ったことも追い風となりました。もちろん、パスカル・ヴェーレイン選手のクラッシュでは、彼が無傷で済んで本当に良かったです。今回の勝利には 運というのも少しあったと思います。 戦略に沿って、どのタイミングで何をすべきかを判断するのが非常に難しく、劇的なレースでした。 チーム全員に感謝したいです。 最高のレースでした。
■タグ・ホイヤーポルシェ フォーミュラEチーム:アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(No.13)のコメント
この2年間は衝撃的な出来事が多かったので、厳しい幕開けとなりました。しかし、チームとして強力なマシンやパッケージを手に入れ、テストも順調に迎え、周囲を信頼しながら臨むことができました。そして、表彰台に上がる結果が出せてうれしいです。ミッチ選手とは優勝を争う接戦でしたが、最後尾から追い上げてきた彼を称えたいと思います。これは素晴らしい結果ですし、どのように至ったかは重要ではありません。 最後に、パスカル・ヴェーレイン選手が無事で良かったです。 私たちの仕事は危険を伴うものであり、全員が互いに敬意を払う必要があることを改めて認識させられました。 ニック・キャシディだけでなく、私たち全員にとって良い教訓になったと思います。
■NEOMマクラーレン・フォーミュラEチーム:テイラー・バーナード(No.5)のコメント
表彰台のスピーチは準備していませんでした!特にスタート直後、フロントウイングが外れてしまい、交換しなければならず、ピットに戻ってドライブスルーペナルティを受けてしまいました。うまく言葉にできないですが、チームは2回目のアタックモードで素晴らしい仕事をしてくれました。おかげで、私とサム・バード選手にとって追い抜きやすい状況となり、トップに立つことができました。2人とも良いレースができたと思いますし、終盤には彼が守ってくれました。素晴らしいチームワークに感謝します。まさか自分がここに立っているなんて思ってもみませんでした!
フォーミュラEの直近の取り組み
・2024年12月4日、フォーミュラEは公式ファウンディングおよびロジスティクスパートナーであるDHLと協力し、航空貨物を最適化して大半を海上輸送に切り替えることで、シーズン11の貨物輸送による排出量を25%削減し、二酸化炭素換算で約5500トンを削減すると発表した。
・フォーミュラEは、ITV、LaLiga+、Red Bull Media House、Tencentとの主要な放送契約を発表。また、MARCAとのエディトリアル・パートナーシップにより、ファン層へのグローバルな報道へのアクセスをさらに拡大した。
・フォーミュラEとHackett Sportは、パートナーシップを継続することを発表した。昨シーズンのパートナーシップの成功を基盤に、シーズン11においても、ユニフォームやその他の衣類をフォーミュラEの全スタッフに供給。プレミアムウェアとアクセサリーのサプライヤーを務める。
関連情報
https://www.fiaformulae.com/ja/calendar/2023-24/r5-tokyo
構成/清水眞希