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タイパに疲れた20代が農業に注目する理由

2024.12.18

JA共済連は、「農作業安全研修実施強化期間」(12/1~2/28)に合わせ、全国の20代男女を対象に農業に対する意識と実態について調査を行ない、その結果を公開した。

20代の理想の就農スタイルは、人や社会とつながる持続可能な半農半X型

JA共済連では、農業の新たな担い手に向けた支援をはじめ、さまざまな農業振興活動に取り組んでいることから、次の社会を担う20代にフォーカスし、“効率重視の現代を生きる若者と農業に対する意識”についての調査を実施。

その結果、20代の半数が効率を重視し過ぎて疲弊してしまう「タイパ疲れ」を感じている一方で、手間をかけることや自給自足の生活に憧れていることが明らかに。さらに、タイパ疲れを感じている20代の6割が「将来農業をやってみたい」と農業への関心が高いこともわかった。

■【調査結果(1)】20代男女10,000人の生活価値観

効率化やタイパなどが重視される現代社会。そんな環境の下、20代の若い世代はどう感じているのか全国の20代男女10,000人を対象に、日常生活の価値観に関する調査を行なった。

・効率やタイパを重視する20代、しかし半数以上が「タイパ疲れ」を実感

まず、何事にも効率性は重要だと思うかと聞くと、27.8%が「そう思う」、47.8%が「ややそう思う」と答え、合計で75.6%は効率性が重要だと思うと答えている。また、最近耳にするタイパについてもほぼ同じレベルの74.3%(「そう思う」27.2%、「ややそう思う」47.1%)が重要だと思っている。一方で、タイパ疲れを感じるかと聞くと、半数を超える56.1%(「そう思う」19.0%、「ややそう思う」37.1%)がタイパ疲れを感じると回答しており、タイパは重要と認識しつつも、タイパ疲れも感じている様子がうかがえる。

・タイパ疲れを感じる20代、「手間」「自給自足」「自然」「地方移住」への意向が強い

次に生活価値観について聞き、20代全体とタイパ疲れを感じる20代(該当者5,608人)を比較してみたところ、生活の中であえて手間をかけてやっていることがある(そう思う)は、全体46.6%に対し、タイパ疲れの20代は54.6%と手間をかけることをしている人の割合が高くなっている。

また、自給自足をやってみたいのは、全体41.9%に対し、タイパ疲れの20代は49.7%と自給自足への意向割合も高くなっている。さらに、自然の中で働きたい(全体40.9%:タイパ疲れの20代48.9%)や、地方移住しても構わない(全体47.6%:タイパ疲れの20代53.3%)もタイパ疲れの20代の方が高くなっており、タイパ疲れを感じる20代は、あえて手間をかけて自分の手で生活し、自然の中で暮らしたいという意向が強くなっていることがわかる。

・20代の半数が「将来、農業をやってみたい」

さらに、20代男女10,000人に、将来、農業をやってみたいか聞いてみると、21.4%が「そう思う」、30.6%が「ややそう思う」と答え、合計で52.1%と20代の約半数が、「将来農業をやってみたい」と思っていることがわかった。また、タイパ疲れを感じる20代では60.2%と、将来農業をやってみたいと答えた人の割合が多くなっている。

■【調査結果(2)】将来農業をやってみたい20代男女700人の農業に対する意識や実態

続いて、「将来農業をやってみたい」と回答した20代男女700人(大学生200人、ビジネスパーソン500人)に、農業に対する意識や実態について詳しく聞いた。

・農業は自然や自分に向き合える、全てのプロセスに関与できる仕事

まず、農業の魅力について質問したところ、「自然と向き合える」(38.4%)、「自分と向き合える」(30.0%)、「成果や過程が目に見える」(27.6%)が上位に挙げられた。農業をやってみたい20代は、農業が、自然と向き合い、自分自身とも向き合うことができる、結果だけでなくプロセスに深く関わり、自分の手で創意工夫していく仕事であることに魅力を感じているようだ。

・農業に従事する際に必要な力は、「体力」「忍耐力」「計画力」「判断力」「観察力」

また、農業をやってみたい20代に、農業に従事する際に必要だと思う力を聞きいたところ、「体力」(61.9%)が最も高く、次いで「忍耐力」(46.4%)、「計画力」(44.0%)、「判断力」(43.6%)、「観察力」(41.9%)、「情報力」「トラブル対応力」(同率34.0%)、「マネジメント能力」(31.4%)、「リスクマネジメント力」(28.6%)がランクイン。現代社会に不可欠なビジネススキルも就農には欠かせない力と考えられているようだ。

さらに、その中で現在の自分に足りていない力を聞くと、「体力」33.4%がトップで、次いで「経営力」29.6%、「判断力」24.1、「計画力」23.7%、「トラブル対応力」21.9%、「忍耐力」21.7%が上位に上げられ、就農するには、まずは「体力」が肝心だが、自然と向き合うための「忍耐力」や経営者としての「経営力」や「マネジメント能力」も重要と考えられていることがわかる。

・就農を考える大学生の農業への道のり

さらに、農業をやってみたい20代のうち、大学生200人に就農への道のりについて聞いた。まず、卒業後の進路について質問したところ、「卒業後、すぐに農業を始める想定」と答えたのは6.5%で、ほとんどの大学生が「卒業後、すぐに農業を始めるのではなく、会社などに就職するなど、農業以外のことを職業にする予定」(93.5%)と回答。将来農業をやってみたい意向があるものの、卒業後すぐに農業を始める直農志向の人は少ないようだ。

とはいえ、7割近くが「将来就きたい職業を見据えて、ファーストキャリア・セカンドキャリアを選んでいる」(67.5%)と答えているため、就農を見据えたキャリア選択をする人が多いと考えられる。

「すぐに農業を始めない」と答えた187人に理由を聞くと、「最初は安定した収入を得たいと思ったから」(52.9%)が多く、「いきなり農業を始める勇気がなかったから」(43.9%)、「普通に就活して就職してみたかったから」(39.0%)、「農業以外にもやってみたいことがあったから」(34.8%)などがその理由として挙げられた。将来農業をしたいと考えている大学生は、まずは社会人としての経験を積に、その上で、ネクスト・キャリアとして就農を考えるケースが多いようだ。

・リタイア後ではなく、「40代までに」農業を始めたい人が4割

農業をやってみたい20代のうち、卒業後「すぐに農業を始めない」と回答した大学生187人と、農業以外の職業で働くビジネスパーソン500人の計687人に、何歳ぐらいで農業を始めたいか聞いてみたところ、「40代頃」と答えた人が20.4%と多く、40代までに始めたい人が合計で41.5%と約4割を占めた。社会人生活をリタイアしてからではなく、比較的若いうちから農業を始めたいと考える人が多いようだ。

・将来やってみたい農業は、人や社会とつながる持続可能な半農半X型

続いて、農業をやってみたい20代全員に、将来目指したい農業ライフについて質問。すると、「農業と自分のしたいことを両立したい」(33.0%)、「別の仕事をしながら農業をする半農半X的な働き方をしたい」「家族や仲間と協力しながら、家庭的な農業を楽しみたい」(ともに28.6%)、「地域と連携しながら、コミュニティに貢献する農業を行いたい」(22.7%)といった意見が多く挙げられた。効率や生産性よりも、社会や人とのつながりを重視する持続可能なスタイルで、専業農家ではなく自分がしたいことと「複業」する農業が理想と考える20代が多いようだ。

・将来農業を始めるために、農業志向の20代の5割以上が準備を始めている

さらに、将来、農業を始めることに備え準備として行っていることがあるかを聞くと、全体の約半数(56.0)が何らかの準備を始めていると回答。具体的には「農業に関する情報収集」(32.7%)や「資金を貯めている」(30.4%)、「農業をしている人や農業を始めた人からの話を聞く」(28.6%)、「農業や農業をしている人のブログや動画、SNS などの定期的な閲覧」(26.8%)などが挙げられており、まずは身近で取り組みやすいことから始めているようだ。

・農業をやってみたい20代の8割が農作業事故防止プログラムを「体験したい」

続いて、今後農業について学びたいことを聞くと、「農家経営について」(26.6%)、「土壌や作物の栽培方法など」(24.0%)、「起業のための補助金や補助制度など」(21.9%)が上位に挙げられまた。なお、「農作業事故の事例や安全対策」について学びたいと答えた人は17.7%とおよそ6人に1人だが、農作業でのケガや事故を防ぐプログラムを体験したいかと具体的に聞くと、78.9%(「そう思う」25.0%、「ややそう思う」53.9%)と約8割が農作業事故防止プログラムを「体験したい」と回答した。

■【専門家コメント】農業キャリアコンサルタント深瀬貴範さん、「就農を考える若い皆さんへ」

・農業に本気で向き合う20代、農業は自分の介在価値を確認できる仕事

私は農業キャリアコンサルタントとして農業人材の確保にも携わっていますが、最近は仕事として農業に向き合う若者が増えています。農業求人サイトの新卒向けのイベントでも参加する学生が増え、就農や農業への向き合い方の本気度を感じます。若い世代に農業が人気の理由のひとつが、農業が自分の介在価値を確認できる仕事だからです。

自分が関わった仕事を褒められるとすごくうれしいと思うのですが、農業は作った野菜を「美味しい」と言ってもらえるなど、介在価値をじかに感じられます。そういった意味で、いわゆるタイパ疲れを感じている若い世代の選択肢のひとつとして、あえて手間をかけたり自然の中で働き、介在価値を確認できる農業に注目が集まっているのかもしれません。

また、以前は農業がどんな仕事かよくわからない人もいたと思うのですが、今はネットでいろいろ調べられるので、自分の仕事の候補として考えられるようになっています。若い人たちに仕事としての農業の情報が入りやすくなり、農業が身近になってきたことも就農人気の要因だと思います。

・ネクスト・キャリアとしての農業、大切なのは始めやすく続けやすい選択

働き方改革やコロナ禍で、私たちの仕事に対する価値観は大きく変わりました。仕事をする中で、自然の中で過ごしたい、自分のペースで働きたいという自己実現を目指し、ネクスト・キャリアとして就農するケースも増えています。また、副業・兼業、転職が当たり前になり、キャリアチェンジしやすい社会の環境もネクスト・キャリアとしての農業選択の後押しになっているのかもしれません。

今は、初心者でも農業を始めやすい制度や環境があります。ネクスト・キャリアとして農業に携わるのであれば、まずは農業法人で知識や技術を吸収し、その後独立するのもオススメです。いきなり新規就農するより、始めやすいし、続けやすいのではないでしょうか。

・農作業事故につながる「無意識」「無理」「無茶」の3M、VR体験で事前のリスク回避を

とはいえ、農業は自然を相手にしており、決して容易な仕事ではありません。お金と経営計画はしっかり準備しておきましょう。また、農作業事故に備えて、「農作業事故体験VR」を経験しておくのもオススメです。農作業事故を疑似体験できるのでテキストでの知識よりぐっとリアルで、その危険性を認識することができます。

農作業事故の原因は「無意識「無理」「無茶」の3Mです。天気を気にしない無意識、ここまでやっておこうとつい無理をする、危険なのに面倒だからと無茶してしまう、誰にでもありがちな3Mが大きな事故を引き起こします。「農作業事故体験VR」で危険性を強く意識することも、就農への第一歩です。

■【調査概要】
実施時期:2024年11月1日~11月4日
調査方法:インターネット調査
調査対象:調査(1)全国の20代男女10,000人/調査(2)将来農業をやってみたい20代男女700人
・調査委託先:電通マクロミルインサイト
※本調査に記載の数値は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合や表記した数字の合算した値と異なる場合がある。

関連情報
https://www.ja-kyosai.or.jp/

構成/立原尚子

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