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日本のZ世代、ミレニアル世代の生成AI利用率や学習意向は世界でも最低レベル

2024.12.18

デロイト トーマツ グループから、日本のZ・ミレニアル世代の生成AIに関する学習意向などを明らかにした「2024年 デロイトZ・ミレニアル世代年次調査」の日本版、およびグローバル版和訳が公開された。本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。

2024年の日本版作成においては、日本とグローバル全体の比較に加えて、主要7か国(日本、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、中国)とのデータ比較が行なわれた。

その結果、日本のZ・ミレニアル世代は、生成AIの利用率や学習意向が調査参加国44か国の中で最低レベルであり、企業が打ち出すパーパスの重要性の認識や実感頻度についても、グローバルの同世代と比べてギャップが存在することも判明した。

日本のZ・ミレニアル世代の生成AIレディネスは国際的にも低い水準

日本のZ・ミレニアル世代の職場における生成AIの利用率は、Z世代で27.7%、ミレニアル世代で18.1%であり、両世代ともに調査参加国44か国の中で最も低い結果となった。

また「生成AI関連の研修を受講済み/1年以内に受講予定」と回答した割合は、日本はグローバルの半分以下であり、生成AIに関する学習意向に大きなギャップが見られた(Z世代:日本24.7% グローバル54.9%、ミレニアル世代:日本15.6% グローバル51.1%)。

さらに生成AIによる職場の変化として、「生成AIによって、若い世代は就職するのが難しくなる」、「生成AI主導の自動化により、仕事がなくなる」といった個人のキャリアへのネガティブな影響を予想する意見も、日本のZ・ミレニアル世代はグローバルに比べて弱い傾向にある。

■日本においては未だ従業員の意識転換にまでは至っていないことを示唆

総じて日本のZ・ミレニアル世代の生成AIに関する学習意向やキャリアへのインパクト認識は、グローバルに比べて遅れている現状が推察できる。

また、「自身の勤務先は生成AIがもたらす変化に備えている」との意見も、日本においてはグローバルに比べて低調に留まっている(Z世代:日本29.4% グローバル50.4%、ミレニアル世代:日本17.4% グローバル46.1%)。

生成AIは世界中の企業で導入が進んでいるが、これらの日本とグローバルのZ・ミレニアル世代の認識のギャップは、日本においては未だ従業員の意識転換にまでは至っていないことを示唆している。

パーパスの浸透においてもグローバルと日本には大きなギャップ

今回の調査からは”パーパスの浸透”においても日本と主要国の間でギャップがあることが明らかになった。

「企業に解決に向けて取り組んでほしい社会課題」については、総じてグローバルのZ・ミレニアル世代の方が日本の同世代よりも、解決に向けた何等かの取り組みを企業に対して期待している。

最大の関心事についてもグローバルでは「失業」、「気候変動」、「メンタルヘルス」などの社会問題が上位に挙がるのに対し、日本では「富と所得の不平等」、「出産・育児」、「経済成長」といった個人の経済的安定と将来設計に関わるものが関心を集めていた。

日本のZ・ミレニアル世代の特徴として、社会課題の解決に向けた企業への期待が弱く、そもそも社会課題への関心が低い傾向がある。

この違いに関連して、企業が社会に対する貢献・価値提供の在り方を言語化した“パーパス”の認識についても、日本とグローバルの各世代の傾向は異なっている。

■実質賃金の伸び悩みと少子高齢化が日本のZ・ミレニアル世代に与えた影響

「職場のパーパス実感は職場満足度やウェルビーイングに非常に重要だ」との意見に同意する回答者の割合に目を向けると、グローバルにおいてはZ世代で37.1%、ミレニアル世代で43.0%であるのに対し、日本はZ世代で19.8%、ミレニアル世代で13.9%とグローバルの半分程度にとどまった。

「職場でパーパスを感じることがある」と答えた回答者の割合についても、両世代でグローバルの同世代と20ポイント近いギャップが見られる(Z世代:日本61.6% グローバル80.9%、ミレニアル世代:日本61.5% グローバル82.1%)。

実質賃金が伸び悩み、少子高齢化が進む中で人生を歩んできた日本のZ・ミレニアル世代は、多くの企業の“パーパス”で謳われる社会への価値提供よりも、個人の経済的な不安に寄り添ったメッセージが発されることを望んでいる可能性がある。

調査概要
調査形式/Webアンケート方式、および一部対象者に定性インタビュー
調査時期/2023年11月~2024年3月
調査対象/44か国 2万2841名(うち日本802名:Z世代501名、ミレニアル世代301名)
※本調査では、Z世代は1995年1月から2005年12月生まれ、ミレニアル世代は1983年1月から1994年12月生まれとして定義。

関連情報
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/about-deloitte-japan/genzmillennialsurvey.html

構成/清水眞希

中学入試に役立つ!「AI脳が身につく図形ドリル」の著者・岩波邦明医師が語る〝図形センス〟の磨き方

中学入試向けの模擬試験や教育情報の収集を行なっている首都圏模試センターが2024年3月に発表した集計データによると、首都圏1都3県における2024年の私立・国立中学校の受験率は18.12%(推計)を記録。過去最高を更新した。中学入試熱が過熱するに従い、学童向け暗算ドリルの新書が次々に登場。その中で異彩を放つのが、2023年12月に出版された『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』(小学館)だ。筆を執ったのは、算数講師でも、学術系YouTuberでも、数学教師芸人でもなく、何とAI研究者である。

東京大学医学部を卒業後、医師免許を取得、現在スタンフォード大学の大学院コースでAIを専攻するAI研究者の岩波邦明医師は、最先端のAIを学ぶ中で「算数・数学で培われる理数センスは、来るべくAI時代を賢く生き抜くための必須スキルである」と実感。数字に対する苦手意識を払しょくする手段のひとつとして、ゲームのように楽しく学べて、同時に理数センスを高められる、学童向け算数ドリルを考案・執筆したという。そして2024年12月4日、岩波医師は新たな学童向けドリル『AI脳が身につく最強図形ドリル』(小学館)を出版する。

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なぜ図形なのか? そして、AI脳との関係は? 本稿から3回にわたって、著者・岩波邦明医師へのインタビューをお届けする。

計算が苦手な子どもたちでも図形センスは鍛えられる

――「暗算」に続くドリルのテーマとして「図形」を取り上げた経緯を教えてください。

2023年末に出版した『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』では、「あゆみ算」というオリジナルの暗算メソッドを収録しました。ヒットしたことはもちろんですが、中学受験塾の名門・日能研に興味を持っていただけたことは大きな自信になりましたね。

それで2024年3月からほぼ1年をかけて、全国の日能研の教壇で「あゆみ算」の授業をさせていただくことになったんです。新著で「図形」をテーマにした理由は、まさにそれで。授業後、子どもたち、それから保護者の方々から「図形問題が苦手」「図形問題を好きになってほしい」と、アドバイスを求められることが、ものすごく多かったんですね。僕自身は図形問題がとても好きで、得点源にしていた分野でしたので、なぜだろう?と突き詰めるきっかけになりました。

――なぜ、図形問題につまずく理由は何でしょうか?

回転、移動、対称、展開、断面、面積や体積を求めるなど、図形問題は問われる知識の幅が広い。それぞれのタイプごとに1つずつ対策していくのが一般的な学習方法ですから、やるべきことは山積みです。そういった側面も苦手意識がつきやすい原因のひとつなんだなというのが、子どもたちの話を聞いた印象ですね。それぞれの系統に合わせた勉強法は学校の授業や学習塾で教えてもらうことができますから、『AI脳が身につく最強の図形ドリル』では、計算などを組み合わせた図形問題を解く以前に必要とされる〝図形センス〟を磨くことを強く意識しました。

図形問題が得意になった原体験を再現したワークブック

――そもそも図形センスとはどのような力を指すのでしょうか?

大まかにですが、図形問題は、平面図形、立体図形、あとは作図する力、平行、対称、回転、移動がベースになります。それらすべてに共通するのは、図形を正確にイメージする力だと考えました。例えば平面図形を扱う問題で考えてみましょう。三角形や四角形が、ゴロゴロ転がりながら移動するとなった時、図形はどのように動くのか、図形に記された点はどういった弧を描くのか? そういったイメージを瞬間に思い浮べることができる。これを〝平面図形センスが身についた状態〟と考えます。

思えば、僕は手を動かすことが好きな小学生だったんですね。この立方体を展開図にするとどうなるだろう?と疑問に駆られた時は、実際に紙を切って組み立てるという遊びをよくやっていました。あの工作が僕の立体図形センスを磨くトレーニングになっていた。それをすべての子どもたちに~というのは、さすがに大変でしょうから(笑)。同じようなトレーニングを再現できないかと考えたのが、この『AI脳が身につく最強の図形ドリル』なんです。

――計算しなくても算数の力は伸ばすことができる?

そうですね。『AI脳が身につく最強の図形ドリル』は参考書や演習問題集のようなものではありません。パズルで遊ぶようにゲーム感覚で楽しく取り組むうちに、中学入試の算数に必要とされる図形センスが自然に身につくことを目指しています。計算力を使わずに解ける問題を中心に構成していますので、未就学児や算数の知識・図形問題の知識がまったくない人まで、誰でもすぐに取り組むことができますよ。

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