睡眠の質が悪いと、脂肪肝のリスクが高まる可能性があることが、スイスの研究で明らかになりました。 睡眠が断片化していると、肝臓に脂肪が蓄積しやすくなるようです。 脂肪肝は、肝硬変や肝不全に進行する可能性もあるため、注意が必要です。
不規則な睡眠は肥満に関連する肝疾患の特徴?
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、夜中の頻回な覚醒や、入眠後の覚醒時間の延長など、睡眠の断片化に関連していることが、新たな研究で明らかになった。バーゼル大学消化器・肝疾患センター(スイス)のSofia Schaeffer氏らによるこの研究の詳細は、「Frontiers in Network Physiology」に12月4日掲載された。Schaeffer氏は、「MASLD患者は、頻回な覚醒や覚醒時間の延長により、夜間の睡眠が著しく断片化していることが明らかになった」と話している。
MASLDは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積する病態をいう。通常は、肥満や2型糖尿病と関連して生じ、肝臓に炎症や瘢痕化をもたらし、重症化すると肝不全に至る可能性がある。MASLDの世界的な有病率は25%程度と推定されている。マウスモデルを用いた過去の研究では、概日リズムの乱れが肝臓を含む複数の臓器の代謝に影響を与え、MASLDの発症に関与する可能性が示唆されている。また、睡眠に関する質問票を用いた研究では、MASLD患者における睡眠覚醒リズムの乱れも確認されている。
今回の研究でSchaeffer氏らは、手首に装着するタイプの加速度センサー(アクチグラフ)により、24時間連続で4週間にわたって記録された活動と休息に関する客観的なデータを分析して、MASLD患者と健常者の睡眠パターンを比較した。対象は、生検でMASLDが確認された35人(年齢中央値58歳)と健康な対照16人(同61歳)だった。睡眠リズムを整えるために、2週目に標準化された睡眠衛生教育セッションが1回実施された。
その結果、MASLD群は対照群に比べて、一晩当たりの覚醒回数が多く(8.5回対5.5回、P=0.0036)、入眠後の覚醒時間が長く(45.4分対21.3分、P=0.0004)、睡眠効率が低い(86.5%対92.8%)ことが明らかになった。客観的な睡眠時間に差は認められなかったが、MASLD群の自己報告による睡眠時間は対照群よりも短く(6時間対6時間45分、P=0.01)、睡眠潜時が長く、睡眠の質が低下していることが示唆された。標準化された睡眠衛生教育セッション後も、これらの睡眠パラメーターに変化は認められなかった。このほか、睡眠障害が心理的ストレスと関連していることを報告したのは、対照群ではわずか6%程度であったのに対して、MASLD群では32%に達していた。
Schaeffer氏は、MASLD患者の睡眠の質が低下する理由について、「根本的なメカニズムには、遺伝、環境要因、および免疫反応の活性化が関与していると考えられるが、最終的には肥満とメタボリックシンドロームが原因となっている」とジャーナルの発行元であるFrontiers社のニュースリリースで述べている。
また、論文の上席著者であるバーゼル大学消化器・肝疾患センターのChristine Bernsmeier氏は、「今後の研究では、MASLD患者の睡眠覚醒リズムを改善するために、継続的な睡眠カウンセリングセッションや光療法などの介入を他のライフスタイルの変化と組み合わせて検討する必要がある」と話している。(HealthDay News 2024年12月5日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.frontiersin.org/journals/network-physiology/articles/10.3389/fnetp.2024.1458665/full
Press Release
https://www.frontiersin.org/news/2024/12/04/broken-sleep-a-hallmark-sign-of-living-with-this-common-liver-disease
構成/DIME編集部
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