糖尿病の人は歯周病になりやすく、歯周病の人は糖尿病が悪化しやすい!? 実は、歯周病と糖尿病は互いに悪影響を及ぼし合う恐ろしい関係にあることが判明。この悪循環を断ち切るためには、歯科と医科の連携が不可欠。世界で10億人以上が苦しむ歯周病、その脅威と糖尿病との関係について詳しく解説します。
歯周病と糖尿病の強固な関連
歯周病と糖尿病は、健康にダメージを与えるという点で恐ろしい関係性を持っていると、研究者らが警告している。その1人であるベルン大学(スイス)のAnton Sculean氏は、「最近の研究から、糖尿病は歯周病の主要なリスク因子であるだけでなく、この二つの病気の関係は双方向であって、互いに悪影響を強め合うことが分かっている」と解説する。なお、同氏は欧州歯周病連盟(EFP)の年次総会(EuroPerio11)の会長も務めている。
Sculean氏によると、この二つの病気の関係は、時間が経つにつれて致命的な結果を招く可能性さえあるという。中等度から重度の歯周病は、長期的には心臓病や全死亡(あらゆる原因による死亡)のリスク上昇と関連してくるとのことだ。
糖尿病は現在、世界中で8億人以上が罹患していると推定されている。この病気は、体内で十分なインスリン(血糖値を調節するホルモン)が産生されないか、インスリンに対する細胞の反応が弱くなることで発症する。EFPは、11月14日の世界糖尿病デーに発行したニュースリリースで、糖尿病は重度の歯周病のリスクを3倍に高めると述べている。実際に、糖尿病患者の血糖コントロールが不十分になると、歯周病の重症度が上昇することも報告されている。それはなぜだろうか?
Sculean氏らはその理由を、血糖値が適切にコントロールされていないと、免疫システムの働きが低下し、歯周病を引き起こす細菌感染と戦うことが困難になるからだと解説する。また糖尿病は、体の炎症反応を高め、歯周組織へのダメージをより悪化させる可能性もある。加えて、歯周病が悪化すると全身の炎症反応が引き起こされ、それによって細胞のインスリンに対する反応がさらに低下するというメカニズムも、EFPのリリースには解説されている。このように、歯周病と糖尿病は互いに作用して状態を深刻にするという「悪循環」を作り出す。
しかし、逆に言えば、歯周病を治療することで、糖尿病をコントロールしやすくなるということだ。EFPは、「歯周病と糖尿病が悪循環を起こすという事実は、歯科の専門家がほかの医療提供者と緊密に連携を取り、口腔の健康と糖尿病管理の双方に対応した包括的なケアを、患者が確実に受けられるようにする必要性のあることを再確認させるものだ」と表現している。
EFPの推計によると、現在、世界中で10億人以上が重度の歯周病を患っているとされる。マドリード大学(スペイン)のEduardo Montero氏は、「EFPは糖尿病と歯周病の関連という課題に取り組むことを大変重視している。なぜなら、糖尿病と歯周病は口腔の健康だけでなく、世界中の何百万人もの人々の全身の健康状態に影響を与えるからだ」と述べている。同氏はまた、「一般の人々、医療専門家、政策立案者の意識を高めることが不可欠である。糖尿病と歯周病の双方向の関係を認識し、口腔の健康を世界の保健戦略に組み込み、より総合的な医療システムへと移行していかなければならない」と強調している。(HealthDay News 2024年11月14日)
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(参考情報)
Press Release
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構成/DIME編集部
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