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怒りや悲しみは「ほとんど妄想」だと割り切って生きるコツ

2025.01.07

「家族と仲が悪く毎日イライラしている」「職場の上司と性格が合わなくてつらい」「恋愛がうまくいかず苦しい」。

私たちの人生には、このような乗り越えるべき「壁」がたくさんあります。その中でも最も大きな障害は「自分自身」かもしれません。なぜなら、悩みや苦しみは、「他人」が生み出しているのではなく、紛れもなく「自分」から生まれているものだから。

YouTube登録者数約70万人を誇る大人気僧侶・大愚和尚こと大愚元勝氏による累計5万部突破のベストセラー『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』から一部を抜粋・編集し、自分を知り、受け入れ、変えていくためのヒントを紹介します。

「ほとんど妄想」と割り切って生きる

ここでは「仏教の存在論」についてお話ししていきます。私たちが見たり感じたりしているモノやコトが、どこにどのように存在し、人間はそれをどう認識しているかについてです。

仏教では、人間は「六根」という6つの感覚器官を通じて、存在をとらえることができるとしています。

六根の内訳は「眼」「耳」「鼻」「舌」「身」「意」の6つです。最初の5つは、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」に置き換えるとわかりやすいでしょう。目の前にあるリアルなものを存在として認識する感覚です。

6つめの「意」は意識の意、すなわち私たちの心のことで、これだけが唯一例外的に、過去や未来など目の前にない存在を認識することを可能にします。そしてこれが、時に問題を起こします。

過去を悔やんだり、良くない未来を妄想したり……。

というように、苦しみを生む種になってしまうことがあるのです。

昨晩やらかした夫婦喧嘩を翌日も引きずっていて、旦那さんや奥さんに対して、怒り続けていたり。

あるいは、友人から言われて傷ついた一言が忘れられず、何年も経ってからも何度も思い出して「許せない」と腹が立ったり、落ち込んだり。

こういう怒りや悲しみは、目の前にある存在が生じさせているリアルなものではありません。

あなたが心の中で勝手につくり出した〝創作物〟、つまり妄想です。今、目の前にないものを意識して、それに対して心を反応させ、自ら怒りや悲しみをまねいているだけなのです。

■すべての存在は自分の内側にある

続いて、目の前にあるリアルなものも含めて、その存在はどこにあるのか、という話をしていきます。

説明がやや抽象的すぎるかもしれませんので、シンプルに考えましょう。

その「モノやコト」の存在は、あなたの外側にあるのか、内側にあるのか、それをどのように認識するか、という話です。

例えば、目の前に自転車が置いてあったとします。

この自転車は、あなたの外側にあるのか? それとも内側にあるのか?

このように問われたら、たぶんほぼすべての方が「外側」と答えることでしょう。

ところが、じつはその自転車は、自分の「内側」に存在するものなのです。

目というレンズを通して脳に投影された自転車は、私たちの心が「そこに自転車が存在する」と認識して初めて、存在として成立します。

「ここに自転車がありますよね」とあなたが誰かに説明する場合、その「ここ」はあなたの心の中で認識されている場所のことを指しています。だから仏教的には、外側ではなく内側にあると考えるのです。

要するに、この世に存在するすべてのモノやコトは、すべて自分の内側にあるとするのが仏教なのです。

しかもそれらは諸行無常であり、つねに変化しているので、永遠なるものはひとつもありません。

「私」にしても、いつの時点の、どういう状況の「私」なのか?と考えます。つまり、「つねに同じ私」「変わらない私」などというものは、存在しないということです。

しかも、私たちは自分の内側にあるモノやコトに余計な妄想を加え、巨大化させたり変形させたりしてしまいます。だから、あなたが存在として認識しているものは、ともすると実態とはかけ離れたハリボテだったりするわけです。

抱えている苦悩に向き合う前に、まずはそういった心のメカニズムを理解しましょう。

心に苦悩が生まれるのは当然であり、やむを得ないこと。

でも、そのほとんどは自分が生み出した妄想混じりの虚像なので、自分の力で変えていくことができる。

そのように考えてみてください。

「自分の心の中で好き勝手に虚像をつくり出して、それに対して勝手に反応しているだけなんだ」

それがわかっていれば、マイナスの感情を生じさせることはやめられなくても、なにかつらいことがあったときに受けるショックを和らげることができる。本来であれば震度10レベルのものを2とか3あたりにとどめることができるようになります。

そう自分で仕向けるように、割り切って心の練習を積んでいけば、マイナスの感情にいちいち動じることがなくなっていくでしょう。

☆ ☆ ☆

いかがだったでしょうか?

『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』は、自己との向き合い方を深く考えさせてくれる一冊です。

人生の壁に直面した時、それを他人や環境のせいにするのではなく、自分の内側を見つめ直すことで新たな道が見えてくるかもしれません。

大愚和尚のメッセージは、読む人の心にそっと寄り添い、勇気を与えてくれます。本書を通じて、人生に立ちはだかる「壁」を超える力を、一緒に見つけてみませんか?

今回紹介した書籍はこちら

自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法

怒り、悲しみ、不安、嫉妬、後悔――。あなたを苦しめるネガティブな感情との向き合い方、上手な手放し方を身につける方法とは?長年にわたり数多くの人々の悩みや苦しみと向き合ってきた禅僧である大愚和尚が、仏教の思考法に基づき、自分の心との向き合い方、負の感情の手放し方を伝授する必読の一冊!

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■著者情報

大愚元勝
佛心宗大叢山福厳寺住職。慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。佛心僧学院学長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。 駒澤大学、曹洞宗大本山總持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。 僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。

YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答

構成/DIME編集部

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